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Vol.1

2012-01-09

どうも初めまして、山崎まどかです。

これから連載で、私が気になるミュージック・ビデオについて気ままに書いていきたいと思います。


* * *


で、2011年はどんなMVがあったっけなあとインディ・キッズのご意見番Pitchforkの選ぶベスト・ミュージックを見て驚きました。何と、ドリュー・バリモアが監督したBest Coastの「Our Deal」のビデオが入っていないではありませんか。

  恋人なのかセフレなのか微妙な男子が自分の部屋から出て行った後の諦観と切なさの入り交じった乙女心を淡々と歌う曲に合わせて、『ウェストサイド物語』にインスパイアされたティーン・ギャング団同士のロミオとジュリエット的悲恋ストーリーが展開されるというこのビデオは今年屈指の出来映えだというのに。話題になり過ぎたのがいけないのでしょうかね。優れたミュージック・ビデオは短編映画に匹敵するという、いいお手本だと思います。

  クロエ・モレッツが主演して評判を呼びましたが、実はこのビデオ、他にも新世代スターが大挙して出演しているので、後々まで名作として残りそうです。特に注目しておきたいのは、夜を仕切るギャング団「ナイト・クリーパー」に対して、昼の街を支配する「デイ・トロッター」側にいるスタジャンの似合うキュートな女子リーダーのシェイリーン・ウッドリーです。アレクサンダー・ペイン監督の映画『ファミリー・ツリー』でジョージー・クルーニーの娘役を務め、二十歳の若さで様々な映画賞で助演女優賞にノミネートされるようになったのは、このMV公開の数ヶ月後。ドリュー・バリモアの嗅覚の鋭さに驚かされます。同じく「デイ・トロッター」に所属するアフリカ系新世代コメディアンのドナルド・グローバーの名前も音楽ファンなら押さえておきたいところです。彼はChildish Gambino名義でラッパーとしても活躍。ヒップホップの世界でも大いに注目されています。

  Pitchfork選出で私が納得したのは、M83の「Midnight City」。世間から隔離された超能力少年少女たちの施設から脱出劇は、スティーブン・キングからゼナ・ヘンダーソンのファンまで納得させる思春期SFです。この曲の持つメランコリックな優しさとフューチャリスティックな感覚が物語として可視化されているところが素敵です。

  2011年、MVの監督で気になったのはDas Racistの「Brand New Dance」を手がけているジョセフ・ゼンティルでしょうか。Kreayshawの「Gucci Gucci」も彼の作品ですが、Das RacistのこのMVはショウのフッテージを中心としたシンプルなものなのに、閉塞感とほの甘いセンチメントが同居する今時の東海岸シーンの空気をとらえている感じがして、印象に残りました。

 作り込んだ物語調のミュージック・ビデオもいいけれど、今の気分に合うのは、こんな風にロー・キーでありながらムードがあるものなのかもしれません。サンフランシスコの三人組のガレージ・ポップ・バンド、The Sandwichesの「In The Garden」のMVなんて、どんぴしゃな感じです。もともとガールズ・バンド&女子がヘタクソなダンスに興じるビデオが好きなので、彼女たちがしょぼいクラブで歌い踊るこのMVはまさに好物。ローファイなトリップ感がたまりません。音楽の方も、もちろん素敵です。私が好きな六十年代ガールズ・ガレージ・バンドの雰囲気とアシッドでフォーキーな感じがミックスされていて、こういう面白いガールズ・バンドが次から次へと出てくるアメリカのインディ・シーンはやっぱり層が厚いなあと思うのです。



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Profile

コラムニスト。東京都出身。著書に『オードリーとフランソワーズ』(晶文社)『イノセント・ガールズ』(アスペクト)、共著に『ハイスクールU.S.A.』(国書刊行会)等。今年、新しい本『都市と女子の文化史(仮題)』を上梓予定。

http://romanticaugogo.blogspot.com

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