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POST POST ELECTRONICA POP!!!

2003-09-16

みなさん覚えていますか?インディ・ポップというジャンル。かつて華々しく盛り上がったような気がしますが、いまや誰も口にしなくなってしまいました。

ですが、音楽自体がなくなってしまったわけではありません。あまりにデイリーでミニマルなために既存のロックン・ロールの枠組みには収まれない人たちによるファンタジックなポップ・ミュージックは、ネオアコ〜ギター・ポップ〜インディ・ポップと名前が変わりながらも脈々と演奏され聴かれてきました。その中心地はイギリスだったりドイツだったりアメリカだったり日本だったりと変化してきましたが、じゃあ、今はどの辺にその面白いところがあるのかというと、やはりというかなんというか、ドイツのエレクトロニカ以降のシーンに色々とあるみたいです。今回はそのあたりのレコードをご紹介しましょう。

もともとエクスペリメンタルなエレクトロニク・ミュージックのIT革命として始まったエレクトロニカはドイツで隆盛を極めましたが、それは同時に個人レヴェルの活動が活性化する契機ともなり、一時沈静化していたアーティストやインディ・レーベルの動きが活発になりました。中でも、MORR MUSICやKARAOKE KALKといったレーベルのWUNDER、HAUSMEISTERなどのアーティストたちはエレクトロニカ・ポップと呼ばれて幅広い人気を博し、停滞したギター・バンドに見切りを付けたインディ・ファンが流れ込むことになりました。決定的だったのは、2001年にリリースされたLALI PUNAの"SCARY WORLD THEORY"と、KOMEITの"KOMEIT"の2枚。

柔らかいエレクトロニクスに囁くような女性ヴォーカル、ネオアコ・マナーのメランコリックなメロディ、という黄金のスタイルを確立したこの2作は、どうしてもジャーマン・プログレやカンタベリー・サウンドなどの色が濃かったそれまでのエレクトロニカ・ポップとは一線を画し、ポップス志向/ギター・オリエンティッドなソング・ライティング志向を明確に打ち出したという意味で、エポック・メイキングな作品でした。

また、同じ年にリリースされたNOTWISTのシングル"PILOT"とアルバム" NEON GOLDEN"は、ギター・バンドのサウンドにエレクトロニカの音作りを取り入れたロック・アルバムとして、その後の流れに大きな影響を残しています。

2002年になるとアメリカやイギリスからも同じ方向性を持ったアーティストが続々と現れ、ポスト・エレクトロニカの一分野として「インディトロニカ」という名前も登場、サウンドはさらにポップス化していきます。この時点で、従来のエレクトロニカ・ポップのリスナーであったテクノ/エレクトロニカ・ファンからの支持がなくなっていき、かわってインディ・ファンの間での定着度は上昇しました。この2002年にリリースされた重要作は、MORR MUSICのコンピレーション"BLUE SKIED AN' CLEAR"とGUITAR"SUNKISSED"、MASHA QRELLA"LUCK"の3枚。LALI PUNAと同じMORR MUSICからリリースされたGUITARは、後期のMY BLOODY VALENTINEを徹底的に砂糖漬けにしたサウンドで、そのGUITARやLALI PUNA、KOMEITなどが参加した"BLUE SKIED…"は、なんと90年代初頭に時期に活動したイギリスのギター・バンドSLOWDIVEのトリビュート盤。そしてKOMEITもリリースするMONIKAからのMASHA QRELLAは、70年代アメリカのフォーク系シンガー・ソングライターにエレクトロニカ的なトリートメントを施した音作りで、いずれも単なる電子音響ポップという言葉ではくくれない新しいインディ・ポップ・サウンドを展開していました。ここで、エレクトロニカを通過したサウンド感覚を吸収しつつ、インディ・ポップとしての魅力を兼ね備えた新しい世代のインディ・サウンドのベストな形が提示されたと言えます。

こういった試みの最良の結果は、もちろんコーネリアスの『ポイント』です。それ以外の世界中のアーティストにも同様の試みはあったものの、単なるエレクトロ懐古趣味に陥るか、つまらない文学趣味のBGMに堕してしまうものばかりで、長年インディ・サウンドを聴き続けてきたリスナーには物足りないものばかりでした。その理由としてはエレクトロニクスを用いたサウンド・メイキング、そして何よりソング・ライティングの2つのクォリティの問題が最も大きかったため、電子音響工作に関してどの国よりも秀で、しかもインディ・ポップの華々しい歴史も持つドイツで、ポスト・ポスト・エレクトロニカ・ポップが盛り上がりを見せるのは必然的なことだったと言えます。

こうして2003年に入ると、LALI PUNAの最新シングル"LEFT HANDED"、STYROFOAM" I'M WHAT'S THERE TO SHOW THAT SOMETHING'S MISSING"、 そしてGUTHERの傑作"I KNOW YOU KNOW"と、MORR MUSICから素晴らしい作品が立て続けにリリースされ、現在のシーンの充実度を伝えてくれました。さらに、ベルリンやケルンでひっそり活動を始めた小さなレーベルから、次の世代を感じさせるアーティストたちが徐々に現れ始めています。その代表はケルンの男女デュオMIKROFISCHで、新興レーベルKEPLERからCDが、さらに新しいレーベルSCHINDERWIESからLPがリリースされたファースト・アルバム" GLEICHSTORM/WECHSELSTROM"は、これまでのインディ・サウンドの流れを一気にまとめてしまったかのような素晴らしい内容で、間違いなく現時点での最重要作。今後こういったアーティストが続々と登場し、シーンはさらに盛り上がりを見せるはずです。

TEXT: MAKOTO ONO [JET SET TOKYO]

2003年ジャーマン・インディ・ポップの最先端

ジャーマン・ポスト・ポスト・エレクトロニカ・ポップ・クラシック>

ドイツ以外での現在進行形