KM : Japanese Hip Hop - [2018-12-20]

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トラックメーカー。ヒップホップに根ざしたスタイルを保ちながらも、ジャンルという概念に縛られる事のない音楽性はリリースの度に話題となる。kiLLa、BAD HOP、IO、Weny Dacillo、ECD、SKY-HI等、メジャー・アーティストへの楽曲提供やリミックスワークに加え、AbemaTVのオーディション番組「ラップスタア誕生」のトラックを手掛ける等、活動の幅を広げている。2017年末に自身初となるインストゥルメンタル作品集「lost Ep」をリリース。2018年9月には待望のファースト・アルバム『Fortune Grand』をリリースした。

 

 

 

1. Lil Peep / Come Over When You're Sober Pt.2 (Columbia) LP
昨年11月に夭逝したLil Peepの遺作。初めて彼の曲を聴いたのは2016年頃。僕が当時Soundcloud上でやり取りをしていたラッパー、P2THEGOLDMA$Kに音源のリライトとミックスを依頼された曲"Running Out Of Time (R.O.O.T)"にフィーチャーされていたのがLil Peepだったのだ(P2のSoundcloud上では僕の名もちゃんとクレジットされている)。当時の音源から続く、トラップ・スタイルとロックとパンクをミックスしたプロダクションは多くのアーティストがインスパイアされ続けているが、このジャンルにおいて、このアルバムが持つエネルギーを越える作品は、今後リリースされることは無いと思う。

COME OVER WHEN YOU'RE SOBER PT. 2

LIL PEEP - COME OVER WHEN YOU'RE SOBER PT. 2

2017年11月にオーバードーズにより事故死してしまったLil Peepの遺作アルバム!

LP |  ¥3,450 |  COLUMBIA (USA)  |  2019-01-03 [再]  | 

 

 

 

 

 

 

 

2. Mac Miller / Swimming (Warner Bros) 2LP
さすがに気が滅入った。今年9月にLil Peep、XXXTentacionに次いで、Mac Millerまでもが夭逝した。このニュースを知った時点で僕はまだ本作を聴けていなかった(リリースは8月で、僕は自身名義のアルバム制作に追われていた)ので、冷静な評価などしようがない。生前と死後では全く曲の印象が変わってしまうから。『Blue Slide Park』や過去のミックステープから聴き比べると、トラックは随分と洗練され深化していたが、ジャズやゴスペルの要素をポップに聴かせるプロダクションは当時から一貫していて、その上を喉を枯らしたようにしっとりフロウするMac Millerのヴォーカルは切なく、リリックも26~27歳の、嫌でも将来も見据える不安定な時期のリアルが詰まっているように感じた。

SWIMMING

MAC MILLER - SWIMMING

生前最後の録音作品となった5th.アルバムが2LPヴァイナルで登場。

2LP |  ¥3,950 |  WARNER BROS (USA)  |  2018-11-15  | 

 

 

 

 

 

 

 

3. Brockhampton / Iridescence (Question Everything / RCA) LP
Odd Futureと比べられるのも本作まで。元々持っていたメンバーの「個」をゴッタ煮したようなスタイルが、より音楽として洗練されたアルバムになっている。先ず、ジャンルをなんて表現してよいのかわからない。"San Marcos"なんて、カントリーバンドに聖歌隊とオーケストラを呼んだような、超キャッチーな曲になっている。もう一曲のお気に入りは、"Weight"。壮大なストリングスのイントロからオールドスクールなジャングルに雪崩れ込む構成で、また一つリミッターが外れた感じがした。

IRIDESCENCE

BROCKHAMPTON - IRIDESCENCE

2LP |  ¥3,750 |  QUESTION EVERYTHING INC / RCA (USA)  |  2019-02-25 [再]  | 

 

 

 

 

 

 

 

4. Diplo / California (Mad Decent) LP
Lil YachtyとSantigoldをヴォーカルに迎えた"Worry No More"は、今年一番プレイした曲かもしれない。Yachtyの「もう何も心配したくないんだ。金持ちになって、デカイ家も買って、男を上げるために、夢を見てんだ」とシンプルでキャッチーなフックが繰り返されるだけでも、気分がとても高揚してくると思う。トラックも、構成はEDM的でありながら、一聴しただけでは見えてこないくらい複雑にメロディーが絡んでいて素晴らしい。

CALIFORNIA

DIPLO - CALIFORNIA

【Record Store Day限定盤】2018年最新EPがアナログ・リリース!!

LP |  ¥3,100 |  MAD DECENT (USA)  |  2018-08-17 [再]  | 

 

 

 

 

 

 

 

5. Joji / BALLADS 1 (88rising) LP
何はともあれ一曲目の"Attention"。ローファイでシンプルなピアノにビット・クラッシュしたような小さいドラムが入り、どこか懐かしい00年代のエレクトロ・サウンド的な、静かなアルバムの幕開けかと思いきや、突如808をぶっ潰してクリッピングさせたような(XXXTentacionの"Look At Me!"のような)邪悪ミックスでひっくり返ってしまう。しかも、アルバムを通してこの音像はこの箇所だけなので、「一体なぜ?」感がすごく、こういうのが大好きなのである。RL GrimeやClams Casinoがプロデューサーとして参加しているという前情報を裏切るような、全体を通しても、00年代のエレクトロニカやローファイの要素が中心となり、いちいち切ない感じが素晴らしい。お気に入りはShlohmoとD33Jを迎えた"Why Am I Still In LA"。

BALLADS 1

JOJI - BALLADS 1

88risingクルーの男性シンガーによるデビュー・アルバム!!

LP |  ¥5,700 |  88RISING (USA)  | 

 

 

 

 

 

 

 

6. Quickly, Quickly / Over Skies (823/Jakarta) EP
Jakarta Recordsに所属するビートメイカー。なんと作品リリースの時点で17歳!!ドラムはブーンバップ主体で、シンセ類は全て弾きによるもの(だと思います)。それをサンプリングっぽさを出すためにプラグインでピッチを揺らしていたり、とにかくやっている事が段違いに細かい。Mura Masa以降、他に好きなアーティストが出にくかったけど、自分の中でついに更新されました。お気に入りは"Lie"と"If You Only Knew"、ドライブ中に聴いていて泣きそうになったメロディ。

OVER SKIES

QUICKLY , QUICKLY - OVER SKIES

オレゴン州ポートランド出身の驚異の17歳、Quickly, Quicklyのデビュー盤が独Jakartaから!

EP |  ¥2,300 |  823 (GER)  |  2019-01-27 [再]  | 

 

 

 

 

 

 

 

7. Tek.Lun / Allow It! (HW&W) 2LP
HW&Wに所属するビートメイカー。こちらはレーベルからフィジカルがリリースされているという事でピック。というのも、SoulectionやHW&W、Jakarta、Film Noir、DTWなどなど周辺のビートメイカーはリリースも多く、常にチェックしているし紹介したい曲は山ほどあるのだが、フィジカル・リリースが無い! これと言って「誰々がベスト!」とは決められないけれど、日常的に部屋で鳴らしているのは確かなんですね。その中でもTek.Lunの作るトラックはすごく好みで、エレクトロニカとローファイ・シーンの中間にいるイメージ。本作もラウド過ぎず、タイトでエレガントなインストトラック16曲、全曲しびれます。

ALLOW IT!

TEK.LUN - ALLOW IT!

ボルティモアのビートメイカーによる初のヴァイナル作品!!

2LP |  ¥3,550 |  HW&W (USA)  | 

 

 

 

 

 

 

 

8. Blaze / Dancehall (Animal63) LP
アルバムからのセカンドシングルの"She"を聴いて好きになった。そもそも、片割れのGuillaume Alricは映像作家であり、ビジュアルも同時に制作するんだそう。"Queens"のMVは、生と死のイメージが交互に展開して、スピード感があって好きなMVの一つ。2小節おきに展開される間延びしたコード展開に気だるいヴォーカルが繰り返され、徐々に高揚感を煽ってくるプログレッシヴ・ハウス的なグルーヴ。明け方に酩酊しつつ、おぼつかない足取りでリズムを取ってみていたら、いつの間にかトランスしてきて、意識だけクリアになっていくような曲が集まっているアルバム。

DANCEHALL

BLAZE - DANCEHALL

FKJとJungleが出会ったようなフレンチ・エレクトロ・ポップ・アクト!!

LP |  ¥3,350 |  ANIMAL63 (FRA)  |  2019-01-02 [再]  | 

 

 

 

 

 

 

 

9. DJDS / Big Wave More Fire (Loma Vista) LP
KhalidとEmpress Ofを迎えた"Why Don't You Come On"も今年本当によくプレイした1曲。僕は、パンチラインを何度も繰り返してトラックが展開していくような、ダンスミュージックに軸足を置いている曲が好みなんですが、このアルバムはまさに全体を通して、ダンスミュージックとヴォーカルとメロディ感とドラムの粗さが絶妙なバランス。アンダーグラウンドだけれど、裾野はポップシーンへいくらでも広がっていくようなアルバム。

BIG WAVE MORE FIRE

DJDS - BIG WAVE MORE FIRE

激ヒットした『Stand Up And Speak』に続くサード・アルバム!!

LP |  ¥3,100 |  LOMA VISTA (USA)  | 

 

 

 

 

 

 

 

10. Mabanua / Blurred (Origami Productions) LP
以前からファンだった氏のアルバム、本作からは"Tangled Up"をパーティでヘビープレイしています。こんなにセクシーで真夜中のフロアが似合う日本語の曲は無い。ハイヒールじゃなくて、VANSの、黒髪でショートの女の子が、フロアでテキーラを両手に持った男に声をかけられて、女の子は鋭い目つきで睨み付けると、男の分のテキーラまでひょいっと奪って飲んじゃって、一言「おつかれさま」。女の子はまた踊り出す。そんなイメージの曲、です。。。夜はいつでも映画のよう。氏の歌う抽象的で、どこか夜をまとった雰囲気のリリックとダンスビートは、聴く人をいつかの、そんな夜のフロアに連れ戻してくれる。

BLURRED

MABANUA - BLURRED

2018年8月にリリースされた激名作サード・アルバムが限定アナログ化!!

LP |  ¥3,300 |  ORIGAMI PRODUCTIONS (JPN)  |  2018-12-04  | 

 

 

 

 

 

 

 

11. KM / Fortune Grand (Manhattan Recordings) CD
最後に、僕のアルバムをピックさせて頂きます。最近では、日本語のラップシーン内でもタイプビートを海外から買って、アルバムを作るケースも普通になってきました。だから、ここ日本でもプロデューサーとして名を上げるためには、海外のトラックメーカーより、当たり前にヤバい曲を作るしかない。とは言っても、最初から複雑なビートを歌い手に渡しても、上手くコミュニケーションを取る自信が僕には無かった。故に、先ずはトレンドに沿ったシンプルなトラップ・スタイルのビートを渡して、ヴォーカル素材を貰った後に全く新しくトラックを作り直すという手法で、このアルバムは作られていきました。いわば、勝手にリミックス・アルバムです。ヴォーカルに沿ってメロディやドラムを作り込んでいったので、色々な要素が複雑に絡み合っています。是非、楽しんでください。また、このアルバムのおかげでJET SET様から「夜のパパ(feat. 田我流) / Distance feat. Weny Dacillo, Taeyoung Boy, Lui Hua」の7インチの企画も頂き、ご好評頂けているようです。こちらも是非、手にとって楽しんで頂けたら幸いです。ありがとうございました。

FORTUNE GRAND

KM - FORTUNE GRAND

注目プロデューサーKMの1st.アルバムがリリース!!

CD |  ¥2,530 |  MANHATTAN (JPN)  |  2018-09-18  | 

 

 

 

 

 

 

 

 


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FORTUNE GRAND

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CD |  ¥2,530 |  MANHATTAN (JPN)  |  2018-09-18  |