
一聴してコミカルではあっても、RICK ROSSのハードコアなハスラーソング“HUSTLIN'”が全米レベルで大受けすることをリリース当時誰が予想出来ただろうか?(ひょっとすると、SLIP-N-SLIDEとジョイントでも彼とのサインに踏み切ったJAY-Zには出来ていた、のかもしれない)その背景には、同曲が(今向こうで受けている)着メロ市場で異例の大ヒットになったことも間違いなく関係するだろうが、恐らくはPITBULLが“M.I.A.M.I.”以降、REGGAETONの垣根を越えて無数の客演をこなしてきたこと、バッデスト・ビッチことTRINAが“GLAMOREST LIFE”でついにブレイクを果たしたこと等を受けて、にわかにマイアミへの注目が集まっていた時流も深く関わっているのではないだろうか?その熱にあてられて(?)TRICK DADDYが“BET THAT”で目を覚まし、PITBULLは早くも2NDアルバム“EL MARIEL”を完成させた。 ── ちなみに、タイトルの“EL MARIEL”とは、1980年に国外追放となった同性愛者や一部の犯罪者ら12万人のキューバ人がキューバのマリエル港からマイアミなどに上陸した『マリエル事件』のことで、ピットブルはキューバ系移民の血をひく自分がアメリカのヒップホップ・マーケットに進出して活躍するという意味が込められているとのこと ──PITBULLが、“EL MARIEL”の一曲目を(日本でも新たに御当地ソング・ムーブメントが巻き起こっている)BUSTA RHYMES“NY SHIT”を受けて“MIAMI SHIT”としたのも大いに着目すべき点であり、彼が内にも外にも認められたかの地の、いまやリーダー格の一人であることを顕著に示す好例だとも言えるかもしれない。(同時に、“EL MARIEL”は50万枚以上のセールスを叩き出した前作“M.I.A.M.I.”をも凌ぐ大作だ!)今、最もホットな地区、マイアミに注目するなら、2度目の『マリエル事件』が勃発する直前、このタイミングを置いて他にない。長年に渡ってかの地を支えてきたSLIP-N-SLIDEのカタログを中心に、近年のマイアミ作品を振り返ってみてはいかがだろうか?TEXT: TAKASHI KUROKAWA(JET SET KYOTO)
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