Interview » vol.159

Kido Yoji

2011-10-28

久しぶりに現れた、国内エレクトロ・シーンにとって新局面となるニューカマーではないでしょうか。まだ若干21歳のトラックメイカー、Kido Yoji。Kidz Rec.の最新コンピレーションへの提供楽曲を高く評価された彼が、遂に初のオリジナルCD『Call A Romance』をリリースしました。エレクトロ以降のソリッドなビートを巧みに消化しつつ、80年代ディスコ的なシンセ・ブギと甘く洒脱なメロディ・センスで、煌びやかなインディ・ディスコ・ポップへと仕立て上げ。そのウェルメイドな作風は、BreakbotやPhoenixといった海外の一線級を引き合いにされています。これまでの国内エレクトロ・シーンに欠乏していた、その卓抜したソングライティングの才は、新しい世代の台頭を感じさせるのに十二分に足るでしょう。まだメディア露出はさほどない彼ですが、JET SETユーザーのみなさまにこそ紹介をすべく、インタビューをお願いしました。

Interview/Text: Ryota Tanaka(JET SET KYOTO)
Kidz Recが送りだす大注目新人★クリスタルA.O.R.ディスコ・ポップ驚異の天才登場です!!
80Kidz主宰Kidz Recordsのレーベル・コンピ第3弾!!Kido Yoji、Nob、Scam Circleなど注目新人も多数参加。
  • よろしくお願いします。
  • Kido Yoji今回デビューEP『Call A Romance』をリリースさせて頂く事になりました、Kido Yojiです。「あんた誰?」って思う人が多いと思いますが。。。心躍るファンキネスを皆さんに届けられればと思います。よろしくお願いします。
  • Kidoさんがエレクトロニック・ミュージックを作りはじめたきっかけは、どういうところからなのですか?
  • Kido Yoji元々音楽を作り始めたのは中学頃で、ギターでちょろちょろ弾いたものをメモに取っていましたが、高校に入って本格的な音楽理論とか、そういう類いのクラスを先攻で取ってDAW等に触れる機会が増えました。そのときは教授のスタジオを使っていたんですが、これがまた高級な機材ばっかりであんまり触らせてくれなかったんです。なので基本的にサンプルなどをカットアップして当時は色々作っていました。最初に作った作品はMumとかI Am Robot and Proudとかを連想させる、いわゆる"エレクトロニカ”でしたね。
  • 今の作風に通じる音楽を作りはじめるにあたって、特に影響を受けたアーティストはいますか?
  • Kido Yoji最初はChromeoとかを意識しましたね。だからトークボックスを駆使したり、、、あんまりこの人達って日本では盛り上がってない印象もあったので、ちょっと良い機会かなと。でもだんだん作っていくうちに自分の声って中々その類いの曲のミックスに合わない事に気付いた。そこでAnoraakとか、フレンチ系のアーティストの歌ものを意識してモダンっぽさを加えて、泥臭さを中和させようと思いました。
  • 今作がデビュー・リリースにあたるわけですが、制作する上で、意識したことはありますか?
  • Kido Yoji今回は本当に素直で、暖かい物を作ろうと思っていたんです。特に震災後はそういう思いが強くなって、ネガティブでポリティカルな印象とは全く逆に、ポジティブでシンプルな感情を沸き立たせようと思いました。勿論其れは僕のミュージシャンとしての根本的なアイディアでもありますし、これをリリースをした事によって、自分が何をしたいのかをより理解出来たと思います。
  • Kidoさんの制作環境について、制作に使っている部屋の様子や、実際に使用している機材など、可能な範囲で詳しく教えてください。
  • Kido Yoji自宅の寝室で全て行っています。部屋は普通なんですが、天井がなぜか海の模様をしています。でもリラックスできて楽に作曲出来ますよ。使用している機材は基本的に少ないです。でっかいiMac一台に六角形のビザールギター、80kidzのJunさんから頂いたアナログシンセ等等。マイクも良いのは使ってないです。
  • Kidoさんの楽曲からは夜のイメージを受けることが多いのですが、実際に制作している時間帯はいつごろが多いのでしょうか?
  • Kido Yoji僕も実は夜を意識して作ったので、そういうイメージを持って頂いたと聞いて非常に嬉しいです。昼に頑張ってやろうとおもうのですが、やっぱり浮かばないんですよね。で、せっかく天気がよかったりすると散歩とかしたくなるじゃないですか。結局夜まで引っ張るパターンが多いです。それで、アイディアが浮かんだら朝までずーっと曲を作っていますね。逆に浮かばなかったらそそくさ止めます。
  • 80年代ディスコやAORなどを思わせる、煌びやかでアーバンなサウンドは今作の大きな魅力となっていますが、Kidoさん自身は、そうした音楽をどのように発見していったんですか?リアルタイムではないですよね。
  • Kido Yojiなんというか、ある意味リアルタイムだったんですよ。親がそういう類いの音楽が好きな方々だったので、子供の頃から聞いていました。もちろん当時はそこまで意識していなかったんですが、自然とそういうグルーヴ感だとか、コード感とか、ソウルフルな響きが「心地よい」と感じる様になったんでしょう。再発見したのはニューヨークの高校に行っていた頃です。結構回りに黒人の友達が多かったんですが、親が実はそういうバンドを80年代初期にやっていた、とかそういう奴が居たんですよね。で、そのルーツであるジャズとかファンクを学ぶ様になったんです。もちろん平行して色々他にも聞いていましたけどね。サイケとかシューゲイズとか。。。レディヘとか。でも、やっぱり根にあるのはこの年代の音楽だったと思います。
  • アルバムのタイトル『Call A Romance』というのは?
  • Kido Yojiこの響き、凄くポジティブじゃないですか?最初に受ける印象を暖かい物にしたかったんです。
  • "Call A Romance""More Than Real"といった曲名からも喚起されるように、Kidoさんは音楽においては、リアリズムよりも、ちょっと浮世離れしたロマンチシズムを優先づけているように感じます。実際のところ、いかがでしょうか?
  • Kido Yojiそうですね。基本的に僕がやっている事って結局エンターテイメントであるし、いつも曲を作る時は「こうなりたい自分」を意識して作るんです。そうなると自然とちょっと現実離れした物が出来上がってきます。現実逃避の一種なんだと思いますけど、大昔から音楽ってそういう物でしたし。要は自分は普段暗い人間だから、作品はちゃんとハッピーでキラキラしたものにしようと必死だったんでしょうね。
  • ほとんどの曲でヴォーカルも入れられていますが、今作の歌詞についてはどういったモチーフのものが多いのでしょうか?
  • Kido Yojiモチーフというよりは如何に滑舌良く歌えて、自然とメロディーにマッチするかを考えました。ありきたりなんだけども、自然と耳に残る感じで。多分そういうアプローチは正に80年代初期のディスコサウンドと被るんでしょうけど。
  • 1曲目には"AM 3:33"というタイトルが付けられていますが、午前3時33分という時間を、Kidoさんのはどんなふうにイメージしますか?
  • Kido Yoji中途半端な眠気が襲ってくる時間帯。つまんないイベントに行って、帰りたいけどめんどくさいなぁという感じ。その間、ベッドで眠っている人はきっと夢を見ている時間。何か素敵じゃないですか。本当はこの曲3:33分で終わるはずだったんですけど手違いで3:38とかになっちゃったんですよね。
  • Kidoさんの考える、今作を聴くのにベストなシチュエーションというのはありますか?
  • Kido Yoji夜のドライブ等。自分をロマンチックに演出したい時に。
  • アルバムの最後には、Walter Sobcekによるリミックスが収録されていますが、彼にリミックスを依頼したのはどういう理由からですか?
  • Kido Yoji最初、彼らの"Miami"という曲のリミックスをやってくれないかと依頼されたのがきっかけです。(10/9にリリースされました)「じゃあ俺のもなんかやって」と聞いたら快く受けてくれたので、そのまま。結構締め切りギリギリだったんですけどね(笑)。 シンセたっぷりのLAサウンドがギラギラ光るデュオなんですが、きっと間違いないリミックスを作ってくれると期待していました。
  • Kidoさんの、初のパッケージ収録はKidz Rec.からの『Kidz Rec.03 -A Compilation of Kidz Records-』でしたが、あのコンピレーションに楽曲収録されることになったいきさつは、どういったことだったのでしょうか?
  • Kido Yoji1、2年くらい前に知り合いがとあるイベントのオーガナイザーをやっていたんです。彼のDJを見る為に足を運んだら、たまたまスペシャル・ゲストが80kidzのAli&さんだったので、すかさずデモを渡しました。収録されていたのは今と大分違うテイストの、ロックでギタギタなサウンドだったんですけど。で、他と同じ事をしてたらつまらんと思い作ったのが、コンピに収録された"Won't You Come Again"でした。それからマネージャーさんとお会いしたり、Kidz Rec.メンバーと交流して自然と溶け込んだ感じです。
  • レーベルの主宰でもある80Kidzは、Kidoさんにとってどんな存在と言えるでしょうか?
  • Kido Yojiロックスター!かと思いきや、普段は気さくなお兄さん達。00年代から日本でのインディ・ダンス・シーンを引っ張ってきている存在だと思います。
  • DJとしての活動もされていますが、DJのプレイにあたって特に意識していることは?
  • Kido YojiもともとDJからプロデュースに入ったわけじゃないので、ここに関してはまだまだピヨピヨだと自分は思っているのですが、基本的に僕は今あるフレンチ・ハウスだったりとか、古いレア・グルーヴ物を混ぜてプレイしています。でもDJってお客さんにコミットするのが一番だと思うから。ちゃんと空気を読める様になりたいですね。
Kido Yoji
  • (可能でしたらJET SETの在庫のなかから)最近のセットに組み込まれることの多い、お気に入りのレコード/CDを5枚教えてください。
  • Roc TraxのBazzさんとやられているというSalmanについても教えて下さい。Salmanでのグループ・コンセプトはどういったものでしょうか?
  • Kido Yojiこれ、実は僕のソロワークだったんですよ。ライブしてぇなぁ!って事になってバンドとしてアウトプットしてみたんです。あと僕のヴォーカルが何処まで海外のリスナーに通用するのか試してみたかったというのもあります。Bazz君とは知り合って間もなかったのですが、正直彼のセンスを信じて疑っていなかったのでノリでバンドに誘ったんですよね。そしたら、「やってみよう!」と。コンセプトというと特に此れと言ってまだ決めていないのですが、イメージは「イギリスの海辺沿いに建ってる家に住んでいるカッコいいイギリス人」です。リラックスして進めたいプロジェクトなので好きな時に曲作ろうと思っています。
  • Salmanでのリリースのご予定などはあるのでしょうか?
  • Kido Yoji特に無いですね。あまりプランを組まないで勢いに任せようと思っています。それまではソロに集中したいですね。
  • BazzさんやKidz Rec.界隈を筆頭に、Kidoさんの周りには可能性を持った若手アーティストが多数おられるかと思いますが、Kidoさんが特に衝撃を受けた存在を教えてください。
  • Kido Yoji若手かどうかは分からないですがLuvraw & BTBさんのライブ見た時はもう興奮しました。「おれの歌を聴け!」って感じのバンドっぽさは感じさせないし、でもDJのパフォーマンスでも無い。純粋にあのトロトロのトークボックスとグルーヴにみんな夢中になってる。楽しい!ああいうアーティストに中々出会えてなかったので、新鮮でした。
  • では、キャリア問わず同時代の日本ないし海外のミュージシャンやDJのなかで、音楽性の面で共感する存在がいれば教えて下さい。
  • Kido YojiBazz君は勿論なのですが、海外だとShookあたりですかね。かなり前にリミックスで流行ったと思うんですがまた再熱してよく聴いています。なんというか同世代のフレンチ勢には常に刺激を受けています。面白いもの作りますし、グルーヴとかクオリティも案外しっかりしているんですよね。あとはJensen Sportagが絶妙です。かっこ良い。ファンキーなアプローチを忘れず都会的な雰囲気があって好きです。
  • 今作のアートワークに登場されているのはKidoさん自身でしょうか?もしそうなら、ご自身のイラストを使用した理由は?ダンス・ミュージックの作品では珍しいですよね。
  • Kido Yojiそうです。これは僕の横顔ですね、、、若干イケメン補整が入っていますが、気にしないで下さい。僕は個人的にダンス・ミュージックを作っているというよりは、ポップスとかファンクを作っているノリでやっているんですよね。だから「自分」をたっぷり主張して「この人がつくっていますよー!」という実態がどこかに欲しかったんです。それに隠したら隠したでありきたりなアートワークになるのが怖かったので。要はスーパーの野菜コーナーでよく見かける、農家の方々の写真を写した証明書みたいなもんだと思って下さい。「安心安全、わたしが保証します!」的な。
  • アートワークでのKidoさんは、眠っているようにも見えますが。
  • Kido Yoji目を開けたら絵的に怖いよね、というのが当初の意見だったんですよね(笑)。 きっと現実ではありえないロマンチックな物語を一人、妄想しているんじゃないのでしょうか。イケない事は考えてないです。
  • 最後にKidoさんがKido Yojiというアーティストとして成し遂げたい夢を教えてください。
  • Kido Yoji僕はやっぱりリスナーの方々に少しでも幸せな時間を提供したいです。媒体は何でも良いのです。iPodだったり、ラジオだったり、朝方クラブだったりと。僕の曲はフロアにドロップしてみんなが踊り狂う曲調じゃないんだけど、そこではない別のフィールドでだれかの心を踊らせたい。それが僕にとってのダンス・ミュージックだし、決してそこはぶれないと思います。

Kido Yoji Live/DJ Schedule

  • 10/29 (sat) LIVE@渋谷gee-ge
  • 10/30 (sun) DJ@渋谷SUNDAY ISSUE
  • 11/18 (fri) DJ@代官山UNIT
Website
http://kidoyoji.com