Mr.Oizo のファースト・アルバム『Analog Worms Attak』にスクラッチャーとして参加したことで広く知られるところとなり、以降、トラックメーカーとしては、ドイツの Bpitch Control を拠点に、一年に一枚というゆったりとしたペースで 12" を発表してきた Feadz。今回の route#08(>>REPORT) には DJ として参加してくれたが、エレクトロからグライミー・ガラージまで、高速ブレイクビーツをクイック・ミックス、さらにリュダクリスやジェイ・Zといった US・メジャー・ヒップホップのアカペラもブレンドしていくファンキーなプレイは、骨太のグルーヴを武器に、アンダーグラウンド・ヒップホップ、ミニマル・ハウス、エレクトロ・クラッシュ……と、さまざまなシーンをクロス・オーヴァーする彼のスタンスそのものだった。それにしても素晴らしいプレイだった。実際、日本ではまったくの無名にも関わらず、フロアを完全にロック。彼はこれからもっともっと人気者になっていくのではないだろうか。Feadz は、人懐っこい笑顔でインタヴューに応えてくれた。

TEXT: RYO ISOBE(JET SET TOKYO)





── まず、DJ としてのキャリアを教えてください。
「DJ を始めたのは 13歳で、ヒップホップとドラムンベースをかけていました。でも、しばらく経つと、このふたつのジャンルのレコードだけを使っていたのでは、クリエイティヴなことは出来ない、と思うようになったんですね。というのは、ヒップホップとドラムンベースでは、ユニークなミックスがしにくい。一曲終わって、また次の曲をかけて、みたいなことになりがちです。そういう時に、テクノの DJ を聴いて、彼らがやっていることを自分なりにやってみようと思って、いろいろ試していく中で、今の自分のスタイルにたどり着きました」
── DJ を聴いて、ミックスの仕方はテクノっぽいけど、時々入ってくる、バック・スピンやスクラッチのラフさにヒップホップを感じました。
「姉がヒップホップの DJ で、彼女がかけているレコードを聴きながら育ったようなところがあるので、ベーシックな部分で、自分はヒップホップ・チルドレンだなと思いますし、ヒップホップ自体、様々な音楽のミックスで出来ていることから考えれば、いま僕がやっていることもヒップホップだと言えるんじゃないでしょうか」
── 自分とセンスが近いな、と思うような DJ はいますか?
「DJ Assault ですね」
── では、トラック・メイカーとしてのキャリアを教えて下さい。
「トラックをつくり始めたのは 7年前ぐらいからです。その頃からテーマは変わりません。ダンス・ミュージックの中にある "トランス"、……ジャンルの名前ではありませんよ、聴いていて違う世界に連れて行かれるような感覚のことです。それを自分なりに表現しようとしています」
── Oizo の『Analog〜』に参加することになった経緯を教えて下さい。
「何しろ、まず友達だったということがありました。『Analog〜』のレコーディング期間中は、デモづくりの段階から含めて、ずっと彼と一緒にいて、多くのことを学びました。そして、リリースされた後は、世界中から DJ のオファーがくるようになりました。シカゴやイビサのレイヴで DJ をしたのは貴重な体験でしたね。つまり、トラックメーカーとしても、DJ としても、『Analog〜』に参加したことが、僕にとって大きな転機となったのは間違いないです」
── トラック・メイキングに関しては、Oizo からの影響はかなり大きいんじゃないですか?
「そうですね。もちろん彼の影響をものすごく受けているし、今も昔も、彼がいちばんお気に入りのトラック・メーカーです。とは言っても、彼の後に続いているというよりは、彼と同じシーンにいる、と思いたいですね」
── Tacteel と Para One とはどうやって知り合ったのですか?
「まず、Tacteel とは、9年前に、当時お互いが所属していたヒップホップ・グループが同じイベントに出たことで知り合い、すぐに友達になりました。その後、一緒のクルーに所属しました。Para One とは、Tacteel の友達として、一年前ぐらいに出会ったばかりです」
── 何ていうグループの DJ をやっていたんですか?
「たくさんのグループでやっていたので、全部挙げるのが面倒くさいというのもありますが、いくつかは解散してしまいましたし、残っているグループはあっても、彼らが今やっていることに共感出来ませんし、自分の名前も変えましたし、ここでは名前を挙げるのは控えておきます。今、ヒップホップ・シーンから遠のいていられることにすごく感謝をしています。ただ、その経験が無駄だったとは思いません。おかげで Tacteel や Para One にも出会えましたから。フランス国内で、僕のシングルに真っ先に反応してくれたのも、彼らでした」
── そういえば、なぜフランスのレーベルではなく、ドイツのレーベルからリリースしようと思ったのですか?
「フランスのエレクトロニック・ミュージックのレーベルは、いわゆるフィルター・ハウスなんかがそうですが、レトロをテーマに掲げたところが多いと思うんです。そこに自分は共感する部分はないなぁというか、やはり音楽に対して求めているのはフューチャリスティックなものであって、過去へのオマージュではない。ドイツのレーベルの、例えば、Thomas Brinkman の Max Enst みたいに、ジャズのサンプルを使わないで、ジャズを表現する、みたいなアティチュードにどうしても惹かれてしまうんですね」
── なるほど。フューチャリスティックというイメージをもう少し具体的に教えてください。
「フューチャリスティックという言葉自体は、重要な意味にも、どうでもいい意味にもなり得ます。例えばフューチャー・ジャズとか言われているものには全く興味が持てません。あれは過去にあった素晴らしい曲を焼き直しているだけです。そうではなくて、僕は、聴いたこともない音楽をつくりたいんです」
── Air や Daft Punk のような、ノスタルジックなものが受けるフランスのエレクトロニック・ミュージック・シーンでそういうことを言う人は珍しいですよね?
「かなり孤独な感じはあります(笑)」
── では、これからの予定を教えてください。
「Bpitch Control から来年の始めに 4枚目の EP を出して、そのあとアルバムを出します。抱えているプロジェクトはたくさんあるんですけど、自分が作業するスピードはそんなに早いものではないので、ここでは確かなことだけを言っておきましょう」

>> ROUTE#08 REPORT