Interview » vol.003

DJ JIN

2003-04-17

<KING OF STAGE>と評される日本最高峰のヒップホップ・アクトRHYMESTERにおいてはDJを務め、MUMMY-D、宇多丸師匠両氏のバックにて常に只ならぬ存在感を漂わせつつ、そのタイトなライヴを長年に渡って支え続けてシーンにその名を馳せる傍ら、横浜ベイスターズの躍進にBボーイ固有のフッド自慢を、デレック・ジーターの活躍にニューヨーク・サブウェイラインの振動を、長嶋健吾に若き日のLL COOL Jの闘志を、國奥麒樹真の持つ立って良し、寝て良しのバランス感にCUT CHEMISTの才能を併せ見る程の(?)ヒップホップ〜野球〜格闘技好きがこの男、DJ JIN。

横浜市出身。いわゆる既成のヒップホップのみならず、ソウル〜ファンク〜ジャズといったルーツに基づいた相当数のレコード・ライブラリーに起因する、非常に造詣の深いクラブ・プレイ、また諸作品にて顕著に表れているファンキーかつグルーヴィーなサウンド・プロダクションにおいても、高品質で確かな個性を常に発揮し続けている才人と言えるだろう。

…異種格闘技的作品"ウワサの伴奏"リリース以降精力的に続けられている地方営業の合間を縫って、一人のDJとしてのスタンスについて少しお話を伺ってみました。

Interview + Text: MATSUURA(JET SET TOKYO)
  • 最近はRHYMESTERでの活動自身のレギュラーイベントの他にも、地方営業等で多忙な毎日を送られていると思いますが、DJをされる時選曲について心掛けていることはありますか?
  • JIN当たり前だけどレコ箱には俺が好きなレコードしか入っていなくて、お客さんも俺もアガれるプレイを目指しています。最近、自分で言うのもナンですが、以前より増して選曲の幅が広がっていって、場所によってはそれに戸惑うお客さんもたまに見かけるんですが、そういう人も徐々に慣らしていきたいですね(笑)。俺は基本的に温かくて本当に良い音楽しかプレイしないつもりなんで。あと、やっぱりクラブ・プレイする機会が増えてくると似たような選曲やルーティーンに陥ってしまいがちですが、そうならないように努力はしています。ただ、永遠に色褪せない名曲だとかいったものは、これでもかとしつこくプレイしていきますけどね(笑)。
  • 僕もそうなんですが、世代的にいきなりヒップホップから音楽にのめり込んだ、という訳ではないですよね?
  • JINそうですね。もともと邦楽洋楽といろいろ聴いていました。ごく普通の少年な感じで(笑)。で、中学生のころはBEATLESをよく聴いていました。GUNZ'N'ROSESやVAN HALENみたいなハードロックも大好きだったんですが(笑)、高校生のころ友人と横浜サーカスというディスコに行くようになって、ヒップホップにハマッたのはそれからですね。もちろんチャート・ヒットの延長線上でヒップホップやR&Bは非常に気になっていたけれども、横浜サーカスという<場>で出会ってしまったのが人生を変えました(笑)。
  • で、その時初めてヒップホップ好きを自覚させられた曲というのは?
  • JINその横浜サーカスというディスコは米軍の軍人が客のほとんどで、まあそういうノリなもんで、当時コア・タイムにかかっていた2 LIVE CREWが一番印象的でした(笑)。
  • 2 LIVE CREW!!確かに当時のディスコではかなりの頻度でマイアミ・ベースがプレイされていましたね。
  • JINええ、でもそういうところもありつつ、実は2 LIVE CREW以上に盛り上がる曲というのが当時あって、それがROCK MASTER SCOTT AND THE DYNAMIC THREEの"THE ROOF IS ON FIRE"(注:最近ではCHEMICAL BROTHERSもサンプリングしていた、古典的オールドスクール・ヒップホップ・ナンバー)。曲最後のコール&レスポンスでは横浜サーカス大合唱って感じでした。出会ったときは「なんじゃこりゃ?」と鼻息を荒くして曲チェックしにいって、後日レコ屋に走っていったという(笑)。あとは…当時ヒップホップ好きの友人と情報交換してるなかで出会ったBIG DADDY KANE。あのヴィジュアルと曲の速さと格好良さに「ここには俺が求めているすべてがある」と思いました(笑)。いまでもそう思っています(笑)。
  • フフ…あながち冗談ではないですねソレ。実はほぼ同感です。そうしたBDKに象徴されるような、ヒップホップ自体が放つマグネティックで黒光りする色気に煽られつつ、そこから更にソウル?ファンク?ジャズといった、いわゆるバック・トゥ・ルーツな部分への果てしない探求へと繋がっていったのは、一体どの辺りからですか?
  • JINヒップホップにハマッていくうちに「どうやらヒップホップのトラックには元ネタがあるらしい」ということを知って、JAMES BROWNやKOOL & THE GANGなんかをチェックしていくうちに次第にディープな方向に行ってしまいました(笑)。
  • あああ?やはりそっちに行ってしまいますよねぇ…。
  • JINはい。でもそういうネタものを聴いても単純に元ネタであるという以上に、純粋に良い曲であったりするものも多いじゃないですか?だからそういった過去の名曲に出会っていく楽しみ、というのが理由として大きかったですね。
  • なるほど。しかし現実的に見て、今は"Bボーイイズム"は知っていても"IT'S JUST BEGUN"や、"GIVE IT UP, TURN IT LOOSE"なんかには全く馴染みが無い、というか、言わばそういった楽しみ方を知らない世代が到来している訳ですが?
  • JIN今ってそういう世代なんだ!?(笑)。いや、どうかな?。そうとも思えない気がするけど…。
  • いやいや、JINさんの周りには自然と濃い空気が発生しているから…今の若年Bボーイ人口の大多数は、やはりそうした世代だと思いますよ。HIP HOPが好きなら別に人それぞれの楽しみ方で構わないとは思うんですが、そんな彼らを敢えて迎える為の入口を設けるとして、オススメしたい一枚があれば是非教えて下さい。
  • JINとりあえず何も知らないんであればJAMES BROWNの編集盤"IN THE JUNGLE GROOVE"(注:UKのURBANレーベルから発売されていた2枚組LP。各音源のドラム・ブレイク等が長尺にエディットされていたりする)を聴いてみて下さい。俺もこのコンピレーションからネタものに入っていったんで。JBはやはり基本です。あと、さっきもちょっと触れたKOOL & THE GANGの初期音源を集めたベスト盤とか、ROY AYERSのCD2枚組みベスト"EVOLUTION: THE POLYDOR ANTHOLOGY"とか、まあいろいろあります。今はいろんな素晴らしいコンピもベスト盤も出ているので、そういった音楽がすぐ手に届く状況だと思います。だから、例えば好きなDJがまとめたコンピだとかミックスCDだとかをきっかけにして、いろんな音楽に触れていったら楽しいんじゃないかな、と。
  • 逆にそうした楽しみを知らない層への反動というか、一方ではサンプリング・プロダクション的な音源や、方向性として温故知新的なベクトルを有する作品が再び注目を集める、という流れも存在しています。P.B.W.やMADLIBといったSTONESTHROW関連あたりの人気はその傾向の表れかとも思うのですが、この辺のレコードで個人的なお気に入りはあります?
  • JIN思いっきり新譜になるんですが、MADLIBのBLUE NOTEリミックス集"SHDES OF BLUE:MADLIB INVADES BLUE NOTE"は危険です!RONNIE FOSTER"MYSTIC BREW"とかBOBBY HUTCHERSON"MONTARA"(注:A.T.C.Q.やS.D.P.なんかもサンプリングしていた、ヒップホップのネタとしては定番と言える辺りの曲)とかをMADLIBがYNQ(YESTERDAYS NEW QUINTET)的プロダクションでリミックス、というかカヴァーしているという。マッドリブ特有の温かくて緩いノリが全開のアルバムになってて最高です。…そういえば"MYSTIC BREW"つながりになるんですけど、ROC-A-FELLAから出してるFREEWAYっているじゃないですか? 俺、FREEWAY前から結構好きなんですけど、この前のシングル("ALRIGHT")が"MYSTIC BREW"を上手くアレンジした使い方してて個人的にヤラれたんですが、でも実際「この辺を激チェックしてるコは"MYSTIC BREW"知ってるのかな? 知ってたらもっと楽しめるのになぁ?。」とか思ったりもしました。
  • じゃあついでに他人にオススメというよりもあくまで個人的で結構ですので、これはもう絶対手放せない!!最高!!、という類の最も大切な生涯のレコードを教えて下さい。
  • JINヒップホップならBIG DADDY KANEの1ST."LONG LIVE THE KANE"と2ND."IT'S A BIG DADDY THING"。それ以外ならDONNY HATHAWAY"LIVE"です。俺にとっては、これがあればすべて事足りるくらいの作品です。
  • 特に今後に注目しているローカルのDJ、MCやグループ等はいますか?
  • JINいやぁー、本当、いろんなところに素晴らしいDJやMCがいて、みんなをまとめてイベントやりたいくらいなんですけど(笑)。1週間くらいぶっ通しで(笑)。最近、来日アーティストだとかDJだとかでワクワクする人って本当に限られてて、むしろそれだったら俺の周りの連中とか仲の良い地方の連中と一緒にやるので十分に楽しくて事足りてるっていう風に実感するときはあります。みんな存在が近いから気づいてなかったり単純に知られてなかったりっていうのもあると思うけど、俺が接するそういうDJやMCってのは本当にグルーヴの質が高いと思います。音楽を楽しむ姿勢ってところでも世界的に屈指なんではないかと。自我自賛でなく。
  • では最後に一言。
  • JINこれからもいろんなところでDJしたり、いろんな曲を作っていったりしますが、ぜひ楽しんでってください。よろしくっす。
  • 今後もご活躍に期待しています。どうも有難うございました。

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NEW MASTER SOUNDのメンバー。新譜とは思えないくらいアグレッシヴなジャズ。
"BLACK RENAISSANCE"に続くLUV'N'HAIGHT再発。いやぁービックリした。
LA CARNIVAL"BLIND MAN"のブレイクにザックリ声を乗せたところが良いです。
オクラ入りアルバム再発シリーズ。これだけのブツ、眠らせておくのは勿体無いですね〜。
DJとして非常に使いでのあるミックスもの。"JUNKIES PICK"推し、で。