
遂にアルバム『銀盤四季調』をリリースし、ツアーを開始した世界随一のハーモニカ雅楽楽団HARP ON MOUTH SEXTET(HOMS)!近日中には、riow arai & ALTZをリミキサーに迎えた12"シングルもリリース予定である。しかし、そもそもハーモニカ雅楽って一体何なのか?イロモノ?いや、冗談にしては手が込み過ぎである。その謎の鍵を握るHOMSのリーダーことルビオラは、お湯を沸騰させたヤカン等の非楽器も駆使したライヴや、映像と一体となったパフォーマンスにより、何年にも渡り常に我々を驚かし続けているエンターテイナーにして、REI HARAKAMIやヤベミルクといった関西のアーティスト達や、riow araiらを始めとする多数のアーティストからの信頼も厚いベテラン。殆ど日本のHEBERTかATOM HEARTか、というような異才の人なのである。それでは早速、HOMSの大分・福岡公演を終えたばかりのルビオラに話を訊いてみよう…。INTERVIEW + TEXT: EISHI KURODA(JET SET KYOTO)
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JET SET(J):九州ツアーはどうでしたか?6人編成+αというメンバー構成上、貴重なライヴだと思いますが、2公演を終えて感触はどうですか?RUBYORLA(R):今回は諸事情によりサポート・メンバーを加える形でやったんです。メンバー以外にも盟友のヤベミルク君やレーベル・メイトのアサイ君らも含めて、総勢12人で大型のレンタカー借りて、皆で移動、途中フェリーに乗ったりして、大分は別府だったし、福岡は博多と完全に修学旅行気分でしたよ。ライブの感触はまだ掴めてないですね。なんせ、2003年の年末のライブ以来ですんで…。J:ライヴはどの様に行うのですか?楽器編成はどうなってるんでしょうか?ガッチリ練習してやるんですか?即興が中心ですか?R:HOMSの演奏は基本的には即興です。ライブでは女子6人がハーモニカ担当で、僕がトラックおよび指揮者およびライブPA、そこに第3のメンバーARTHANDが絡むという感じです。レコーディングに関しても、リズム・トラックに合わせて全て即興で演奏してもらったものを、僕が後で編集して、それに合うイメージの音を足して曲にするというスタイルです。ただ今回アルバムを出したことで、その内容を期待して来る方のために、即興演奏(レコーディング)→編集(エディット)→再構築(ライブ)という即興演奏をコピーするという、ある種矛盾したような行為を試みようとは思っています。J:HOMSは、改造ハーモニカをメインに据えているということですが、「改造」とはいうのは具体的にはどのような?R:元々、ハーモニカは西洋音階で音が配列されているんで、雅楽音階(東洋音階)に比べると音が多すぎるんですよ。なので、要らない音をどんどん塞いでいく!最初は中を開けて、ハンダごてを使って潰していってたのですが、メンバー全員の分のハーモニカを改造するのは大変なので、そこで思いついたのが、要らない穴をテープで塞ぐ(笑)。これが非常に簡単、テープを剥がせばまた使えるので地球にもやさしい(笑)。メインはブルース・ハープを使っているんですが、このブルース・ハープは、別名テン・ホールズ・ハープを呼ばれ、10個の穴が開いています。そして特徴的なのは、コード別(CとかAとか)になっていて、穴が三個毎にオクターブ上の音が出るようになっていることなんです。なので、2個目と3個目の穴を塞ぎ、1個目と4個目の穴を同時に吹くと、簡単に下の音とオクターブ上の音が同時に鳴らせるので簡単に倍音が出せる訳です。そして色んな種類のハーモニカやコードの違いによってバリエーションが生まれるという事です。これは企業秘密でやってましたが、まぁ誰も真似しないだろうという事で(笑)ぶっちゃけちゃいました。J:HOMSのメンバーは謎に包まれていますが、どのような人達なんでしょうか?公開しても問題ない範囲でメンバーの素性を説明お願いします。R:オリジナル・メンバーから新メンバーまで含めると多種多様ですね。今回のジャケットの写真を撮ってくれた子、インナーの写真の作品を作った女流陶芸家、劇団員から、チャイルディスクから作品を出している子。そして、今度9月にMIDI傘下のnobleってレーベルからアルバム・デビューする子まで…。あっこの子は宣伝の為にも公開って事で!midori hiranoというアーティストです!宜しく!J:基本的に、ルビオラさんの意向がHOMSの方向性、音楽性を決定付けていると思いますが、他のメンバーはどのような役割なんでしょうか?R:元々は遊びでレコーディングとかやって、メンバーも知り合いというか友達同士みたいなノリ。基本的にはプロデューサーというより、こういうのやったらオモロくない?ってっ感じと、映画「スイング・ガールズ」的なね、僕は竹中直人役で…。演奏は全然できないけどレコード一杯持ってるみたいな…。なので、レコーディングとか編集とかそういう過程は全然どーでもよくて。スタジオで皆に好き勝手吹いてもらったハーモニカの音を「いいねぇ〜!ナイスですねぇ〜!」とか言って、後で良いトコだけ使って作品にする。やっぱり先生と生徒な関係なので、ツアーは修学旅行になりますねえ(笑)。J:そもそも、なぜハーモニカ雅楽なんでしょう?HOMSの音楽の源泉となっているのは日本の雅楽な訳ですが、アイデアとしては、ATOM HEARTがラテン・バンドを率いてやっているSENOR COCONUT、また、あからさまなエキゾさ東洋っぽさを打ち出して、エレクトロニクスと組み合わせた点ではYMOや中西俊夫(WATERMELON/MELON)らがやったことを受け継ぐようにも感じます。そのアイデアやルーツ面で、HOMS結成の背後にあるものって一体どんなものなのでしょうか?R:エレクトロニカが日本を含め北欧至上主義的な感じがするじゃないですか?まぁそういう部分でカフェ・ミュージックとして機能してると思うのですが、そしてあの綺麗なリバーヴ感とか、あの空気感って日本に存在しないわけだから、音にリアリティーがないんですよね。特に行った事の無い人間にとっては(苦笑)。ただリバーヴ感や音の質感で日本っぽさとか感じ取れる人ってあまり居ないと思うので、音階の部分やハーモニー等で働きかけないと通じない。ハーモニカ雅楽って言って、全然雅楽じゃないけど、雅楽っぽい感じ、YMOが和楽器等を使わずにアジアっぽさや日本っぽさを表現したように、メロディーだけでアジアっぽさを表現するのは実は簡単なんですけど、本来の雅楽って民謡とかと違って非常にアブストラクトな要素が強くて、使う音や響きで和の要素というか独特な世界観を醸し出している。そういうのを表現したいというのがありますね。敢えてルーツ面で言うとサウンド面では坂本龍一の『左うでの夢』ですね。これは前作の『B2-UNIT』に比べると評価が薄いのですが、アライさん(riow arai)とは同世代のリアル・タイム派として、あのアルバムはネクスト・レヴェルだという意見で一致しましたね。名作です。ヴィジュアル面では初期WATERMELONをお手本にしてますが、洗練されてない分、ただのコスプレと思われてもしょうがないかも?最近気付きましたが、雨宮慶太っぽいなとも思いました。J:サウンドの指向としては、ブレイクビーツからハウス的なものエレクトロニカ的なものまで幅広いですが、個人的には意外なほどフロア向けな内容だったのが印象的でした。ブレイクビーツ・ハウスのような楽曲では、MAURICE FULTONのトラックを思わせたりもしていますが、楽曲制作のインスピレーションはどういった辺りから受けましたか?R:常にアンテナは色んな所に張ってます。フロア向けにしたのは、たまたまそうなっただけですね。意図的ではないです。HOMSに関するインスピレーションは全て、最初のハーモニカの音から膨らませます。MとかMAX/MSPといったソフトを使わず、敢えて雅楽音階という限られた音数しか出ないハーモニカを生身の彼女たちに与え、演奏してもらい、そこで生成される出音やリズム、音の組み合わせ等から作曲のヒントを得て、その録音したセッションから更に良い音のみを抽出し、エディットし、最終的に楽曲へと仕上げる。この考え方は最初メンバーにも公表してませんでしたが、音源を聴いたHYU君が逸早くそれに気付き、指摘された時はドキッとしましたが嬉しかったですね。J:音楽的にはクラブ・ミュージックのフォーマットに則りつつ、やはり諧謔精神とエンターテイナー魂ありき、という気がします。ある意味、非常に関西っぽいというか。おもちゃの楽器からライン出力出来るようにしたりするところから、最新のソフトを駆使するところまで、同列にガジェット的に扱うと言うか、"何でも利用する"的感覚も、変に求道的になるエレクトロニカ的欲求/技術指向とも一線を画しています。ストレートに"格好良さ"、"気持ち良さ"や、"感動"などを追求することについてどう考えますか?R:関西人だからってのではなく、エンターテイナー魂は僕の手掛けるユニット全てに注入してます(笑)。昔から今でもそうなのですが、ラップトップ・オンリーのライブ・スタイルには疑問を感じていて、家で聴けば良いようなものをわざわざお金出して見に来てくれるのだから、見せるというより、魅せる要素が欲しい。その為にタカラヅカとかマツケンとか見に行ったりする訳です。それが役立ってる訳ではないですが…。これだけの事をやって始めてプロと言えるレベルの境界線を知る勉強とでも言いましょうか(笑)。僕は変化球好きなので、ストレートに追求できる人達を羨ましく思う時はあります。なんせ自分はNW世代であり、XTCのようなヒネクレ(てなんぼの)ポップをスタンダードとして聴いて来た世代であり、MTVという括りで全てのジャンルを並列に見た世代。その中で面白いものだけを求め、更にはネット環境など無い時代に自分の足と耳で探求してきたので、ディスク・ガイド片手の偏食リスナーとは違いますね。アヴァンもポップも洋楽も邦楽もメジャーもマイナーもベタもレアも同時にバランス良く聴ける人がもっといればといつも思います。日本人はグルメと食通は沢山いれど、音のグルメと音通って実はあんまりいない気がします。なので僕のような人間は一生理解されないと思いますね。J:今回JET SET限定のアルバム購入特典HOMSのPVの入ったDVDについてですが…。R:脚本・監督・カメラ・編集というか、DVD-Rに焼く所まで全てやらせてもらいました(笑)。ゲリラ的に行ったロケも含め、音作りよりも色々苦労しました…。使用曲はアルバム最後の「大団演舞」という曲ですが、アルバム収録のものとはヴァージョンが違うので是非聴き比べて見て下さい。あと、限定なのでお早めに。J:HOMSに続編はあるのでしょうか?メンバーの維持も結構大変だと思うのですが。野望があれば聞かせてください。R:そうですね〜。アストロ魂(一試合完全燃焼)をモットーに色んなユニットやってるもんで(笑)。アルバム出しちゃうと、その時点で完結してしまうんですよね。ホントは次を考えて、やらないといけないんですが…。漫画家だと連載できない辛酸なめ子タイプ、超短距離ランナーですね。ただHOMSに関しては、まだ続編が2枚出せるくらいのアイデアはあります。問題は僕よりメンバー個々のモチベーションでしょうか?(苦笑)野望は海外進出&宮内庁入りですね。
HARP ON MOUTH SEXTETツアー日程8/15 京都 METRO With/JIM O'ROURKE「恐山」and メルツバウ
8/27 京都 法然院
9/1 大阪 NOON With/ MAS, pasadena with poundhip upsetters, ALTZ, Phonic Pieces Architect, Hiroaki Asai, moughqual etc...