
REKINDLE
THE CHANDELIER金沢のRALLYE/KLEEから、ファースト・アルバム『THE CHANDELIER』をリリースした、オーストラリアのエレクトロ・ポップ・アクト、REKINDLE。TREVOR JACKSON主宰OUTPUTレーベルのコンピレーション『CHANNEL 2』(2003年)に"ICE SKATING GIRL"が収録され、さらに翌年リリースの『CHANNEL 3』にはLINUS LOVESによる同曲のリミックスが収録。TREVOR JACKSONお気に入りの曲として、話題となりました。アルバム『THE CHANDELIER』は、ANNIEやCUT COPYに通じる80'S感覚のエレクトロ・ポップに、PRINCEからの影響を強く感じさせる80年代ファンクの要素がプラスされ、他のインディ・エレクトロ・アーティストとは一線を画す、素晴らしいポップ・アルバムに仕上がっています。そのREKINDLEが6月に初来日。6月2日にYELLOWで行なわれたFANTASTIC PLASTIC MACHINE田中知之氏のクラブ・イヴェント「GRAND TOURISME」への出演を皮切りに、金沢、福山、大阪でDJツアーを行い、REKINDLEのルーツでもある80年代のエレクトロ・ファンクから、同郷のMIDNIGHT JUGGERNAUTSやPRESETSなどから、自作のマッシュ・アップ物までをミックスするプレイを披露してくれました。そのREKINDLEがツアーの空き日にJET SET下北沢店に来店。インタヴューをすることが出来ました。クールな外見からは予想も付かない熱いトークで、REKINDLE以前の活動から、ファースト・アルバムの制作秘話などを語っていただきました。さらに、後日メールで送っていただいたフェイヴァリット・ディスクも合わせてご紹介します。今までヴェールに包まれていたREKINDLEの魅力を多少なりともお伝えできればと思います。INTERVIEW + TEXT: KOZUE FUKUSHIMA(JET SET TOKYO)
INTERPRETER: RYOKO ITO
JET SET(J):まずは自己紹介をお願いします。REKINDLE(R):僕はREKINDLE。僕のやってる音楽はポップ・ファンクだったり、アート・ロックと云った感じかな。J:REKINDLEとは、どういうユニットなのですか?"ICE SKATING GIRL"では女の子のヴォーカルも出てくるので、ソロ・ユニットではないと思っていたのですが。R:REKINDLEは僕一人さ。友達が参加してくれてはいるけどね。"ICE SKATING GIRL"で僕と一緒に歌っているのは、ROBYNっていう女の子。あとは、"MISS YOU BOO"でフィーチャーされているのはXAVIORって言って、PLACEBOってバンドのキーボーディストだったんだ。彼はすごく才能のあるシンガー・ソングライターなんだよ。"THE WORLD ISN'T LONELY"は、僕を含め4人がリードを歌う曲。SLY STONEみたいな感じで、いいと思わない?J:そうですね。その曲も含め、とても良いアルバムだったと思います。このアルバムは、RALLYE以外の海外のレーベルからのリリース予定はあるんですか?また、シングル・カットの予定は?R:オーストラリアとニュー・ジーランドではINERTIAからのリリースで、イギリスではPURE HEARTSからになる。PURE HEARTSっていうのは、僕が新しく始めるレーベルなんだ。今度"MODERN LOVE"のリミックスをロンドンでやる事になっている。J:シングルのリリース、楽しみですね。リミックスは誰がするか決まってるんですか?R:候補は考えているけれどまだ教えられないな。この曲をリミックスするのはきっと大変だよ。J:PURE HEARTSの所属アーティストは、あなた以外に誰かいるのですか?R:さっき話に出たPLACEBOのXAVIORは、話を進めているけれど未定なんだ。まだ全てが始まったばっかりだからね。J:あなたはRAISED BY WOLVESというユニットをやっていたと伺いました。REKINDLEを始める前の経歴を簡単に教えてください。
R:90年代の後半、僕ともう一人とでRAISED BY WOLVESっていうユニットを組んでいて、プロデュース・チームとして活動していたんだ。SONYやWARNERなんかの大手メジャー・レーベルから、インディペンデントなレーベルまで、本当に幅広いレーベルから、13枚位のシングルをリリースしたよ。他には、いろんなアーティストのリミックスを手掛けたり、ライブも頻繁にやってた。リリースには至らなかったけどSTEPCHILDっていうヒップホップのバンドにいた事もあるんだ。トラック・メイカーとしてね。J:同郷の若手バンド、MIDNIGHT JUGGERNAUTSがWORST CASE SCENARIOからリリースしていたスプリット・シングルのタイトルが"RAISED BY WOLVES"だったと思うのですが、もしかして何か関係がありますか?R:関係ないとは思うけど…でも、そうかもね!RAISED BY WOLVESの片割れがMIDNIGHT JUGGERNAUTSのエンジニアとして、ツアーに同行していたことがあるんだ。J:じゃあ、もしかしたら、ってこともありますね(笑)。REKINDLEとしての最初のリリースの話をお伺いしたいのですが、OUTPUTの『CHANNEL』シリーズの2と3に収録されていますよね。これはどういった経緯で収録が決まったのですか?R:ロンドンでTREVOR JACKSONにばったり出くわしたことがあって、そこで話をするうちに僕の音楽が聴きたいって言うことになって、それからリリースの話へ進んだんだ。他のレーベルともリリースの話を進めていたんだけどね。J:OUTPUTからリリースされた7インチのBサイドと『CHANNEL3』には、"ICE SKATING GIRL"のLINUS LOVESのリミックスが収録されていましたね。なぜLINUS LOVESに頼むことになったのですか?R:これはOUTPUT側の意向なんだ。個人的にはX LOVER*1にお願いしてたんだけど…。でも、結局それはリリースされなかったんだ。あと、TOMMY SUNSHINE*2にもお願いしてたんだけどね。
実は、最近では、僕はリミックスについてはあまり積極的な気持ちにはなれないんだ。PHONES*3がやったANNIEのリミックスのように、今でも素晴らしいリミックスはもちろんあるけれど、オリジナルに対してのオルタナティヴな解釈で楽しませてくれるものはすっかり少なくなってしまった気がするよ。J:そういう考え方もありますね。確かに、中には安易にフロア向けにしたようなものも多いとは思います。あなたの中でそういう葛藤などもあって、アルバムのリリースまでに時間がかかったのでしょうか。R:実は、OUTPUTと契約する前に、"ICE SKATING GIRL"や"MISS YOU BOO"を収録したアルバムが出来上がってたんだ。ミネアポリスのファンクネスにSCRITTI POLITTI*4的なヴァイブスを足したみたいなアルバムで、(TREVOR JACKSONも)気に入ってくれたみたいなんだけど、時期的にちょっと違うっていうのと、僕がそういう音楽にうまく嵌っているようには見えないっていう理由で、リリースされなかったんだ。僕は適当に作った曲を集めたみたいなコンピレーション・アルバムにはしたくなかったし、僕の一貫した成長過程を辿った内容のアルバムにしたかったから、そうするためには長い時間が必要だったんだ。僕は、レーベル側のアティテュードに対して常に不満を感じてたんだ。彼らは音楽を型にはめたがるしね。だから自分のレーベルを始めることにしたんだ。J:あなたの音楽的バックボーンについて教えていただけますか?R:'80年頃からラジオでたくさんの音楽を聴いてたよ。SIMPLE MINDSやSLY & THE FAMILY STONEとか。さっきも言ってたように、僕はミネアポリスの音楽にすごく影響を受けたんだけど、ミネアポリスといえばPRINCEばかりが挙げられるのはちょっと違うと思うんだ。なぜ、デトロイトと言えばテクノっていうジャンルが出てくるのに、ミネアポリスっていう地名からはこの個人名だけが必ず登場するんだろう。僕だってPRINCEはすごく好きだし、尊敬してるけど、ミネアポリスと言えば、S.O.S BANDやJAM&LEWISでもいいはずなのにって思うんだ。ミネアポリスのアーティストたちは、ヴィジュアルもすごくロマンチックで、音楽だけに留まらない、質の高いエンターテイメント性があるんだよ。JETSやJODY WATLEYだってミネアポリスのアーティストだって知ってた?ミネアポリスの音楽シーンは、もっと注目されるべきだし、今後もっと再評価されるべきだと思うよ。J:ミネアポリスのほかに、SCRITTI POLITTIも大ファンだと伺いました。どういうところが好きなんですか?R:サウンドはもちろん素晴らしいし、彼の哲学やエスプリには大いに影響されたよ。彼はアート・ワークについても妥協しなかった。自分のイメージをどうコントロールするか、それに責任を持つ姿勢に共感してるんだ。J:ヒップホップのユニットに在籍していたとということですが、ヒップホップは今でも聴いたりするんですか?R:もちろん!幼い頃からずっと聴いてるよ。R&Bも好きだし。あと、マイアミ・ベースも好きなんだ。昨日もDJで69 BOYZやゲットー・ベースをかけたし。TIMBALANDやNEPTUNES、MASTER P率いるNO LIMIT一派は最高だね。JUVENILLEも好きだし、MANNIE FRESHなんかも最高だよ。プロデューサーとしても素晴らしい才能の持ち主だと思ってるよ。J:最近のアーティストでは、KNIFEとかANNIE、JOANNA NEWSOMEが好きということですが、普段はどういう音楽を聴いているのですか?R:最近はRICHARD Xが好きかな。実は、日本の音楽も大好きなんだよ。SANDII&THE SUNSETS*5には、かなりほれ込んでいるんだ。J:では、地元オーストラリアでおすすめのアーティストがいれば教えてください。R:THE GRATESが調子いいかな。彼らは『GRAVITY WON'T GET YOU HIGH』っていうアルバムをリリースしてるよ。あと、THEATER OF DISCOもいいね。J:では、最後に日本のファンに一言、お願いします。R:まず、僕の音楽を聴いてくれてる皆さんに感謝したいかな。初めて日本に来たけど、街や人にすごく興奮してるよ!ずっと日本に行きたいと思っていたからね。これからも、もっとたくさんの日本のクラウドやミュージシャンと交流を深めて行きたいと思ってるよ。よろしくね!
REKINDLEおすすめディスク
REKINDLE自らのコメント付きでご紹介します。
- 1. TOM TOM CLUB / GENIUS OF LOVE
- TALKING HEADSのリズム・セクションにアーティスティックな斬新さや、バウンシーでポップなグルーヴ感を加えたら、TOM TOM CLUBになるんだ。ダブ・エフェクトと、ADRIAN BELOWのアブストラクトなギター、TINA WEYMOUTHのヴォーカルと、リリカルな世界観がこの曲を名曲にした。子どもたちが縄飛びをしてる時とかに口ずさみそうな曲だよね。
2. SCRITTI POLITTI / ABSOLUTE
- SCRITTI POLOTTIのアルバム『CUPID & PSYCHE '85』は名盤だよ。"ABSOLUTE"と"WOOD BEEZ"は、あの敏腕プロデューサーARIF MARDIN*6が手掛けていて、STEVE FERRONE*7がCHAKA KHANの"I FEEL FOR YOU"*8で聴かせたドラム・サウンドが再現されている。
- 3. MARY JANE GIRLS / ALL NIGHT LONG
- RICK JAMES*9の秘蔵っ子。"GIVE IT TO YOU"とかに見られる彼のサウンド・プロダクションは、本当にバウンシーかつメロディアスなんだ。早回しにすると、小さい頃のMICHEAL JACKSONにも聴こえる。そういえば、ドラムが同じLL COOL Jの"AROUND THE WAY GIRL"もすごくいい曲だよね。
4. CAMEO / CANDY
- "WORD UP"以降のCAMEOは、この曲で都会的で洗練された新境地を切り開いたと思う。彼ら独特のドラム・サウンドとハーモニー、そしてLARRY BLACKMANのトレイド・マークでもあるヴォーカルが、艶っぽいラヴ・ソングを爽やかにしてる。もちろん素晴らしいギター・ソロもだけどね。
5. SOUL FOR REAL / CANDY RAIN / EVERY LITTLE THING
- 90年代中頃のヴォーカル・クァルテットSOUL FOR REALは、"CANDY RAIN"でJACKSON 5の"ABC"みたいなトラディショナルなアプローチで優等生っぷりを発揮してるよね。"MY LOVE, DO YOU EVER DREAM OF CANDY COATED RAIN DROP?"っていうフレーズを渋いジャズ・ファンク風に仕上げてるところがいいね。"EVERY LITTLE THING I DO"は上質なミディアム・チューンだね。
- 6. PRINCE / GOOD LOVE
- PRINCEのCAMILLE*10っていう人格が最も表されているマスター・ピース。強力なコンプレックスと複雑なアレンジメント、それに高度なプログラミング技術が、"GUSTOV MAHLER NUMBER 3, JAMMING ON THE BOX, I'LL HAVE ANOTHER GLASS OF YOU, THIS TIME ON THE ROCKS"なんて奇妙なリリックを引き立ててるんだよね。
7. TEENA MARIE / IT MUST BE MAGIC
- P-FUNK風のアプローチが、TEENAのヴォーカルを活かしてる。ドライヴ感がたまらない。
8. MICHAEL JACKSON / PYT
- ハイ・エナジーなヴォーカルとリリカルな世界観で独自のポップ・ファンクを切り拓いた『THRILLER』からのシングル。この曲には、彼の妥協しない姿勢と美学が感じ取れる。
- 9. CARLY SIMON / WHY
- CHICのNILE RODGERSとBERNARD EDWARDSがプロデュースを務めたこの曲は、A TRIBE CALLED QUESTの"BONITA APPLEBUM"のリミックスのネタとしても有名だよね。レゲエのリフがメロディアスな効果を生んでる。
10. THE JETS / CRUSH ON YOU
- 1983年のミネアポリス・サウンドを繊細なシンセ・サウンドで再現してるよ。甘酸っぱいリリックが抑揚の効いたリン・ドラムとシンセのアレンジが調和してる。S.O.S BANDを聴く前に聴いてほしいね。
さらに続き…BEST10以下は、こんな感じです。
- 11. NU SHOOZ / I CAN'T WAIT
- 12. JORDAN KNIGHT / GIVE IT TO YOU
- 13. NEW EDITION / CANDY GIRL
- 14. SANDII AND THE SUNSETZ / STICKY MUSIC
- 15. PRINCE / PRIVATE JOY
- 16. DIANA ROSS / UPSIDEDOWN
- 17. BOBBY BROWN / EVERY LITTLE STEP
- 18. NILE RODGERS / ALL IN YOUR HANDS
- 19. THE PONITER SISTERS / AUTOMATIC
- 20. AL B. SURE / NITE AND DAY
- 21. MC LYTE / ICE CREAM DREAMS
- 22. STEPHANIE MILLS / PILOT ERROR
- 23. 3LW / NO MORE (BABY I'M DO RIGHT)
- 24. ANOTHER BAD CREATION / AISHA
- 25. BREAKFAST CLUB / RIGHT ON TRACK
注釈
- *1 X LOVER:
- UK名門CITY ROCKERSのエレクトロ・ユニット。
*2 TOMMY SUNSHINE:
- FELIX DA HOUSECATのスタジオの最重要人物。FELIX DA HOUSECATほかPRINCESS SUPERSTARやEUROCHROMEなど数々のリミックスをこなす人気トラック・メイカー。
- *3 PHONES:
- 本名PAUL EPWORTH。BLOC PARTY、MAXIMO PARK、RAKES、FUTUREHEADSなど現在のUKロック・シーンの最重要アーティストのプロデュースを手掛ける敏腕プロデューサー。PHONES名義で数々のリミックスもこなす。ここでいうANNIEのリミックスとは、プロモ盤のみでリリースされた10インチに収録されていたリミックス。
- *4 SCRITTI POLITTI:
- 自主制作を経て79年にROUGH TRADEからリリースされたEP"4 A-SIDES"は奇妙な線の細さが印象に残るWHITE REGGAEという趣だったけど、しばしの活動休止の後に85年にVIRGINから発表された『CUPID & PSYCHE'85』のド派手なデジタル・シンセとサンプリング・ヒット、か細いファルセットという取り合わせで一世を風靡した。
*5 SANDII&THE SUNSETS:
- 東京生まれハワイ育ちのサンディが70年代後半に日本でシンガーとして活動していく中で久保田真琴、細野晴臣らの薫陶を受け81年から始めたユニット。アジアやハワイのエキゾ風味を湛えたエレポップなどの傑作を多く残した。最近も、ソロとしてよりトラディショナルなハワイ音楽を深化させつつJAZZTRONIKの作品で客演するなど活躍中。
- *6 ARIF MARDIN:
- ARETHA FRANKLIN、ROBERTA FLACK、BEE GEES、DARYL HALL & JOHN OATES、CHAKA KHANなど、数多くのアーティストのプロデュースを手掛け、70年代以降のポップ・ミュージック・シーンに影響を与えた敏腕プロデューサー。最近ではNORAH JONESも手掛けたりしていたが、今年6月に亡くなる。享年74歳。
- *7 STEVE FERRONE:
- AVERAGE WHITE BANDのドラマー。1982年に脱退後、セッション・ミュージシャンに転向しCHAKA KHAN"WHAT CHA' GONNA DO FOR ME"やDURAN DURAN"NOTORIOUS"などの作品に参加する。その後ERIC CLAPTONのバンド・メンバーとして92年まで活動。
*8 CHAKA KHANの"I FEEL FOR YOU":
- '84年リリースのCHAKA KHANの80年代最大のヒット曲。PRINCEのカヴァー。ハーモニカをSTEVIE WONDERが、ラップはGRANDMASTER MELLI MELが担当している。
*9 RICK JAMES:
- MOTOWNなどで80年代を中心に活躍したストリート・ファンクの先駆者。自身の作品で最も有名なのはHAMMERネタの大ヒット・ナンバー"SUPER FREAK"。他にもEPMDやDIAMOND、MARY J. BLIGE、JAY-Zなどのネタにもなっているが、PRINCE出現以前のFUNK界では最もエキセントリックでパンクな存在だった。
- *10 CAMILLE:
- PRINCEの未発表アルバム・タイトル。PRINCEがヴォーカルのピッチを上げて、女の人が歌っているように見せかけ、CAMILLEというアーティスト名で作成した。