やけのはら(以下や):最初に音楽に興味持ったのって、いつ頃なんですか?
CHERRYBOY FUNCTION(以下C):はっきりこれ、ってのは覚えてないんだけど、ゲームが好きだったからゲーム・ミュージックとか買って聴いたりとか。あと、親が隣の部屋でジェームス・ブラウンとかソウルとか聴いてて、で、親からテープを借りて聴いたり。でも、凄い音楽にのめりこんでた訳じゃなくて。そうなったきっかけは、たまたま家にドラム・マシーンがあって、暇潰しでそれを弄り始めたときかな。一番最初に買ったCDは、お婆ちゃんと一緒にデパートに行った時に小遣いを貰って、それで買ったフリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」ですね。丁度その頃、テレビで「予備校ブギ
(注1)」をやってて、あれの主題歌が良い曲だなっ〜と思って。そのあとは図書館でちょこちょこ借りたりとか。
や:今やっている音楽に近いようなダンス・ミュージックを聴き出したのは?
C:中1とか中2の頃ジュリアナ・ブームが在って、カッコいいなーって思って。図書館にあるそういう系のコンピとか、『DANCE 2 NOISE
(注2)』とかを借りたり。あと、『BEAT FREAK
(注3)』っていうダンス系のフリー・ペーパーがあって、それを参考に聴いたりとか。それで、漠然とダンス・ミュージックってカッコいいな〜と思い始めたというか。
や:その頃、好きだったアーティストとか曲などを憶えている範囲で教えてください。
C:ゲーム・ミュージックとかは段々聴かなくなってきて、う〜ん、なんだろなあ…、その頃「ALFA
(注))」が凄い良くて、イタリアのMEDIAってレーベルの国内盤とか出してたりとか。あと、「燃えろバルセロナ」のチモ・バヨとか。でも、ジュリアナ東京のコンピとか、コンピが多かったかもしれないですね。
や:それで、高校生になって音楽活動にのめりこんで行ったんですか?
C:機材買いつつレコードも買ったりとか、普通だけど…。新聞配達とか皿洗いのバイトしてお金貯めて。かっちりしたバンドってわけじゃないけど、友達とスタジオ入ったりとか。その頃はもうレイヴ・モノは買ってなくて、ジャーマン・トランスとかデトロイト系、ピュア・テクノなんかを買ってて。
や:宅録してたんですか?
C:えーと、基本的に口下手だったり友達作りが上手くないから、何らかの形で自分をアピールしようとTRFを打ち込んでコピーして、クラスメイトに聴いてもらったりして…。そういういう甘酸っぱい事もあったりしつつ…。
や:じゃあ、気になる女の子に渡したりしたんですか?
C:ああ、したした。1曲目はTRFのコピーで、そのあとは自作曲になったりして。それで女の子に「これ、もし良かったら聴いて」みたいな感じで渡すと、貰う時は「聴くよ〜」なんてニッコニコな感じなんだけど、返ってくる時は、なんかもう、微妙な表情だったりして…。
HORI(以下H):え、返してもらうの?
C:いや、返してもらうっていうか、勝手に返ってくるんだよね。「あ、うん、良かったよ……」とか言われて。なんかもう不毛だなって思ったりして。なにやってんだろうなって。 っで、決定的だったのが学園祭のとき。「あいつが打ち込みをやってるらしい」ってのが知れてきて、軽音楽部の奴らに「俺らのバンド、ドラムが居ないんだけど、ドラムを打ち込んでくれない?」って譜面渡されてX(エックス)
(注5)の曲を打ち込む事になって。譜面見ながら、CD聴いて一所懸命やって完全に再現して。で、ライブの日、これに繋いでって出てきたのが凄い小さいギター・アンプで、「これじゃ、聴こえないよ」って言ったんだけど無視されて、ライブが始まると案の定、ドラムの音が全然聴こえなくて、なのに、バンドが失敗したのお前のせいみたいに言われて。もうなんなんだよ、もうバカバカしいなと思って。それで媚売るのはもう止めた。無駄だなあと。
H:そこでソロのライブはしたの?
C:ああ、それはやった。誰も見てなかったけど。家にある機材を一切合財持って行って。スピーカーは、団地のゴミ捨て場に落ちてたコンポを持って行って。で 、これもしょっぱい話なんだけど、同じクラスの頭の良い友達がいて、そいつにマイク持たせて、何でも良いから適当にやってって言って、平家物語を読んだりとか…。
や:その頃はクラブに行ったりしたんですか?
C:えーと、初クラブは何時だったかな〜?94年頃に六本木にバーかなんかがオープンするってので、FROGMAN
(注6)の人達がなんかやってて。それが最初かな。でも、自分の中で衝撃が大きかったのはNATURAL HIGH
(注7)の1回目だったな。NATURAL HIGHやるってのは知ってたんだけど、金も無いし行かねーだろうなって思ってた。っで、休みの日にお茶の水にレコードを買いに行った時に何を思ったか、ふとチケット屋に行ったんだよね。もしかしたらNATURAL HIGHのチケットがあるかもしれないって。チケット屋のおじさんに「NATURAL HIGHってイベントのチケットありますか?」って聞いたら「ああ、コニファー・フォレストのやつね」って言うわけよ。「幾らなんですか?」って聞いたら「980円」って。で、買う買うって。当日の日曜日は、新聞配達のバイトしてたから、サクッとバイトを終わらせてその足で新宿行ってバス乗ってNATURAL HIGHに行って。その日に観たもの感じたものはデカかったなって思いますね。モヤモヤしてたものがすっきりしたというか。曲の作り方も、それ以降ガラッと変わって、LOOPを適当に作ってバーって並べて、あとはミキサーで抜き差ししてみたいな。
や:じゃあ、ちょっと話を変えさせていただいて、CHERRYさんの音楽の聴き方というかレコード〜CDの買い方について聞きたいと思います。今これがキテますよ、っていう輸入盤新譜を普通に聴いていくんじゃなくて、古い変な12インチを中心に掘ってるというのは、レア・グルーヴの人ではなく最新のテクノ〜エレクトロのクリエイターの人としては、珍しいと思うんですが。
H:ダンス・ミュージックって、テクノロジーの進化〜ヴァージョン・アップ、イコール音楽のレベル・アップだっていう前提というか暗黙の了解があるから意外性があるっていうか。昔だったらありえないアイディアも今の環境なら制作可能なのに、わざわざ不自由だった過去の事を振り返るのはどうなんだって言う。
C:振り返るって要素も確かにあるんだけど、一方で新譜だろうが旧譜だろうが、自分にとって聴いたことないものだったらその辺はフラットな条件なんじゃないかなって。それで闇雲に聴いてたっていうか。単純にカッコいいものを聴きたいっていう。ただ、新譜に関しては金に限界があるし。安いものをバーって買っていくうちに段々と判ってくるし。レコードとかでも、みんなが買ってなかったり聴けないもの、でも俺それ好きなんだよなーみたいのは、じゃあ俺が買うしかないなって。聴きたいんだけどかかってる場所もないし、自分で掘っていってドンドン探るしかないし。
や:普遍性のある価値観に乗るより自分で見つけたいというのがある気がするんですが、どうでしょうか?
C:ああー、でもあるかもね。自分の経済状況とかに見合ったやりかたでどうやれるかなって。最初も纏まった金があって機材一式ドンと揃えてとかじゃなかったから、どんな機材があってもそれなりにやれるだろって言う気持ちは強いです。楽器屋行ってオール・イン・ワン・シンセとか弄ってみると、ああ曲出来るじゃんって。とりあえず出来るでしょって。
や:では、今回の20001 IN SOUNDからのEPの話を聞かせてください。
C:20001 IN SOUNDの前身のTRANSONICは普通にリスナーとして聴いてて。DELIC
(注8)っていう雑誌に紹介されていたのがきっかけで知って聴いてムチャクチャ良いなーって。同じ高校の奴とだけ盛り上がってて、MIND DESIGN
(注9)とか凄い好きで。
や:他の日本のテクノ・レーベルもチェックしてたんですか?
C:CDでリリースされていたものに限らずテープ・レーベルとかもチェックしたり。ガバのテープとかもチェックしてたし。DUB SQUAD
(注10)とか好きだったな〜。アンビエントのテープとか今でも聴くし。あと、act:netってレーベルのリリースがことごとく良くて。デトロイト直系のとか作ってた。だいぶ後になって、ユニオンにレコード売ったら、査定表に書いてある担当者の名前がどっかで見たことあるな〜って。「はっ」と思って、act:netのテープの連絡先を見たらやっぱりその人で、是非会いに行こうと思って再びユニオンに行ったら丁度辞めちゃってた…。だけど、去年だったか、モジュールに居たのよ。ディスコ・セッションとか西村さんと繋がりのある人みたいで。で、「act:netってレーベルやってませんでした?」って聞いて。
や:それ、その人もビビリますよ。
C:いやー、俺も鳥肌立っちゃって。マジでact:netは全然リ・イシューできると思うんだよね。そのくらい凄い良い。テープでしか出てないのがもったいない。聞いたら、リリースには至らなかったけど、海外のレーベルとかからも反応があったみたいで。
や:では、最後に今後の予定を教えてください。
C:20001 IN SOUNDからアルバムが出ます。あと20001のコンピ。WEEKEND BACK PACKというユニットを一緒にやってる露骨キットのMIXCDにも、2曲提供しています。
や:今日はありがとうございました。ファンへのメッセージとかありますか?
C:僕の作品を気に入ってくださってる方々には本当にありがたく思っています。もう私も好きでやってはいるんでけど、皆様あってのCHERRYBOY FUNCTIONだと思います。人前でやるときでもダメな時もあったりして申し訳ないんですけ ど、頑張ります!!
CHERRYBOYがINSTORE DJ時に持ってきたオススメCDを自ら紹介してもらいました。
(司会がやけのはらであったこと(注11)からビンゴ大会をやるものと思いこみ持参!!)

A GUY CALLED GERALD / AUTOMANIKK
骨太!ダンサブル!!ヒプノティック!!悶絶!!!

PSYCHE / BFC - ELEMENTS 1989-1990
ロマンティック!!悶絶!!! M10(最近出た編集版12インチにも収録!)はボルティモア・ブレイクビーツが好きな向きにも、、いえ、何でもないです。

V.A. / PIONEERS OF THE HYPNOTIC GROOVE
M6(NIGHTMARES ON WAX / AFTERMATH)なんかもボルティモア・ブレ、、いえ、何でも、、

BLACK DOG PRODUCTIONS / BYTES
メランコリック!!M2で悶死!!!!!!

V.A. / BIO RHYTHMS
メンツ・内容、見事に粒ぞろい!! 祝altern8来日!な方にはM2/M8を!!

THE IT / ON TOP OF THE WORLD
アーバン!おしゃれカフェのBGMなんかにも 、、すいません、適当に言いました。

THE JG'S
パッションてんこ盛り!!DJ HONDAがラップやギターまで!!!
注釈
- 注1 : 予備校ブギ
- 1990年(平成2年)4月〜7月に放送されたTBS(東京放送)のテレビドラマ。緒形直人、的場浩司、織田裕二、田中美佐子、渡辺満里奈、深津絵里などが出演。なお、ブギ3部作として同じく脚本遊川和彦で、「ママハハ・ブギ」、「ADブギ」がある。
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- 注2 : DANCE 2 NOISE
- ビクターが90年代前半に出していたオムニバス・シリーズ。有名どころから無名どころまで、マニアックでカッコ良い楽曲が並ぶオムニバスで今でも評価が高い。
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- 注3 : BEAT FREAK
- 1987年に創刊された無料ダンス音楽情報誌。毎月1回発行され、注目アーティストのインタビュー記事をはじめ、全国ディスコ〜クラブのダンス・チャート、そしてそれを集計したオリジナル・ダンス・チャート「HOT DANCE 50」を掲載。
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- 注4 : ALFA
- 1969年に村井邦彦が設立したレコード会社。80年代後半以降は積極的に海外のダンス・ミュージックを日本に紹介し、「THAT’S EURO BEAT」シリーズなどを全国で大ヒットさせた。 後にAVEXが踏襲したユーロ・ダンスのライセンス・コンピレーション・パッケージングの手法はこのレーベルが先駆であったと言える。
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- 注5 : X(エックス)
- 1989年にXとしてメジャー・デビュー。1992年にX JAPANへと改名。その後綿々と続き、すっかり日本独自のロックのひとつのスタイルとなったビジュアル・ロック・バンドの雛形を作ったと言えるカリスマ・バンドであった。メロディアスなメタル・サウンドとドラムでリーダーのYOSHIKIによるハイ・スピード・ドラムが特徴。
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- 注6 : FROGMAN
- KEN=GO→と佐藤大による、1994年に設立されたテクノ・レーベル。トランシーで分かり易いサウンドで、若いテクノ・ファンからの支持が大きかった。
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- 注7 : NATURAL HIGH
- 1995/08/06に富士急ハイランド・コニファー・フォレストで行われた90年代テクノ・バブルの象徴的イベントの1つ。石野卓球、田中フミヤ、KEN ISHII、DERRICK MAYなどが出演。
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- 注8 : DELIC
- 前述FROGMANのKEN=GO→が主催していたテクノ・ペーパー。90年代前半当時は貴重なテクノ情報の入手元だった。
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- 注9 : MIND DESIGN
- 94年にTRANSONICからアルバムを発表した澤田朋伯と櫻井浩司によるユニット。デトロイトのテクノ・レーベルからも12インチをリリースした。トランシーでロマンチックな作風で人気を博した。
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- 注10 : DUB SQUAD
- 現在はROVO〜ASLNとしても活躍する益子樹と、中西宏司、山本太郎の3人組。90年代前半はアンビエント+ダブを基調としたサウンドで、後の海外ツアー以降はドラムンベースなども取り入れたダンサブルなサウンドとなる。
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- 注11 : 司会がやけのはらであったこと
- やけのはら含むTEAM GALACTIVEによるJET SET 3RD.ANNIVERSARYでのビンゴ大会にもCHERRYBOY FUNCTIONが参加していたため。