前回のコラムの反応が結構あってビックリ仰天しました。色んな人が読んでいるのですね、このサイト。そのJET SETさんからノベルティで出させてもらったミックスCDの反応は悲しい程に無かったけれど。意気消沈で原稿なんか書く気なんかせんわい。でも原稿料がノド手で欲ちいから、喜んで書かせていただきマンモス。

それはさておき、意気消沈なのは、そんな小さな理由だけじゃあない。前回と話が繋がるけど、2007年の年末のレコード屋事情ですよ、その元凶は。東京在住の多くの皆さんが御存知のように、昭文堂と学陽書房が困るくらいに渋谷を中心とした都内のレコード屋地図が大激変。その状況もまだまだ進行中だし。五島勉の『ノストラダムスの大予言』でもそんなこと書いてなかったよ!

ノストラダムスでも予言出来なかった事が起きているというのに、ボンクラさん達は「どこそこのレコ屋が、7割引セール中だぜ!」と嬉々として店じまいセールに走っている。レコード狂なら嬉々としないで危機を感じるべきでは?次々と音楽好きの聖地であるレコード屋が無くなっているんだよ!その店じまいセールは、私にとっては親戚宅の火事のようなもの。嬉々としているボンクラさん達は、それに群がる野次馬みたいなものにしか見えない。

そんな状況を作ったヤツら、要はモニター上でジャケットを見て、圧縮された試聴音源を聴いてテキトーに買っている都内のヤツらが目に浮かんで、正直、言葉は悪いがムカムカすることもある。ネットで買うことは自由だ。とはいえ、そんな買い方しているもんだから、すぐにそのレコードを何の感情もなく近所のレコード屋に売っぱらう人達も残念ながら沢山いて、新譜落ちの中古が、発売とほぼ同時期に中古屋に並ぶ。さらには新譜を新譜として買わずに、それを待つ下層ボンクラさん達(上記の「閉店セールで嬉々とする人々」も含む。ネットでテキトーに買うのが「ブルジョワ・ボンクラさん達」ね)がいる。そう、レコード好きのボンクラさん達にも格差社会があるようなのだ。新譜屋さんはネットでしかレコードが売れなくなって店舗を構えるのが負担となる。中古屋さんにとっても、そういったリスクが高い上に利の薄い商品の買い取りばかりが増えては、苦しくなってしまう。何という解り易い悪循環。それが「世界一レコードが集まる街」と呼ばれた渋谷に起こったから、その悪循環も「世界一速いスピード」で進んでしまったのだろう。私の妄想かも知れないが。

でも、さらにその妄想を暴走させてもらえば、「昔はレコード屋ばっかり行って、たくさん買っていたなー」という風に、何か「もう卒業生しました」みたいな口をきく中途半端な歳(30後半〜40代前半)のオッサンらも、そんな状況の下地を作った片棒を担いでいるはず。そういうオッサンに限って、クラブに出没し、若者相手に「最近の新譜ってどうなの?」などと話しているのを見かけては、流行には食いついて行こうとする、その姿勢に怒りを越えた哀れさを感じてしまう。
上記の人種に加え「レコードはファッションの一部として買っていたけど、本当は音楽なんてダウンロードで充分。て言うか、今はターンテーブルよりI-PODの方がオシャレじゃない?」というマンガみたいな人達の存在を考えると、今の状況は全く不思議じゃないかもね。

とにかく、無くなって初めて解るのは親のありがたみだけじゃないんだよ。レコード屋もなんだよ!「ネットで買えるんなら、そんなにガタガタ言わなくてもいいんじゃない?」と思う人もいるだろう。でもね、店員さんに「今回のXXの新譜、最高ですねー!」とかのコミュニュケーションも楽しみたいの。マスターカードじゃ買えない「何か」も楽しみたいのよ。だからってネットでレコードを買い漁る人も否定しているわけじゃないよ。だってネットのおかげで地方の人にも「憧れのレコード」を手に入れるチャンスが増えた訳だし、鬼のように凄く忙しくてレコード屋に行きたくても行けないリゲイン(または睡眠時間を短縮させてくれる違法な何かの)愛飲者なレコード狂もいるはずだから。

話はちょい飛ぶけど、先月、DJシャドウとNYのレコードショウで会って久しぶりに話す機会があった。さすがに彼はファイルは絶対に使わへんやろなー、と思って「アレを使うDJってどう思う?」って言ったら「いいんじゃない、オレも使っているよ」との驚愕の答えが。世界に名だたるレコード探求者、シャドウ、お前もか!

しかーし以前にも増して、そのショウでレコードを買いに買いまくっていた。そんな姿見たことがなかった、というくらいに。おまけに、ライヴやレコーディングのついでではなく、レコードを買うためだけにサンフランシスコからNYに来たらしいのだ。ファイルはあくまでも遠征DJ用のツールなのだろう。やはり本物は本物。便利だが不完全なメディア(ファイル)が登場しても、原点であり現時点での最高のメディアであるレコードに対する愛情は止まるどころか加速していた、2人目の子供が生まれたばっかりっていうのに。余談だが、いやらしい話、彼ほど金がありゃ、ネットとかディーラーを使って自宅に居ながらにしてレコードを見つけることなんて簡単なはずなのに。やはり自分の足で未知のレコードを見つけてジャケットに頬ずりしたいのだろう。そんなシャドウに私も頬ずりしたいわ。ジョリジョリ、とヤな音がしてもかまわない。性を超越した愛ってそんなもんだわ、障害は必ずある。
そっち方面の話は深くしようと思えば、いくらでも深くなるけどこのコラムには関係ない。ともかく皆さんもレコードが好きなんでしょう、このコラムを読んでいるくらいだから。レコードでしか聴けない最高の音源の方がまだまだ一杯あるし、それを絶滅させていいの?ダウンロードした音を聴いて、耳までデジタル化させたいの?とりあえずレコードが好きなら新譜、中古、レア盤、100円レコード、分け隔てなく愛して買って聴き続けることだと思う。たとえそれが将来、ゴミになろうがレコードという「モノ」としてだけではなく、これまたマスターカードでは買えない、見えない財産としても同時に残るはず。また何が言いたいのか分からなくなって来た、言いたいことが有り過ぎて。だからこの辺にしときます。

最後の最後に、かの名作『毒虫小僧』の作者、日野日出志風に「アナログ(レコード)がなくなって本当に苦しむのは店じまいセールに嬉々としている、お前らだ!そして近いうちに死ぬ」と結ばせて下さい。あっ、肝心な事を書き忘れていました。散々ネット嫌いを公言してきた私も2008年初頭にはネットに進出しますよー。震えて待ってて下さいね、真のレコード狂さん達は。

それでは良いお年を。JET SETとひよこレコードにとっては2008年が最高の年になるから。みんなも頑張って下さいね!

 
 

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ひよこレコード

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