レコードの巻
- Amazonではない
- 外資系大型店ではない
- JET SET RECORD
- せっせと試聴&購入せず
- コラムページに迷い込み
- いまこの文章を読んでいる
これだけで十分、あなたは少数派と言える。いや、JET SETのサイトはめちゃくちゃアクセスあるんです!コラムも人気あるんです!と言う声はさておき…
はじめまして、RUMIと申します。
さて、この度JET SET RECORDさんからこちらのコラムのお話をいただきまして、何を書こうかと頭をネリネリした結果、『少数派の行列』というテーマで行くことに決めました。
さて『少数派』の『行列』は矛盾した言葉並びであります。
『少数派の行列』は、『少数』でも『多数』でもない、しいて言えばどちらにも成りうる可能性がある、選挙でいうところの『無党派層』だ。投票に行かない奴らじゃないぞ。
『少数派の行列』は景観を表す言葉になると思うが、ならばその中の個人は何か。
少数派のひとりだが集まればうっかり行列をも作ってしまう、みたいな感じだ。もしくはその支持者。曖昧だ。何しろ書いている本人も実際このテーマがなんなのか分からなくなってきた。
つまり、これは、少数派に訴えかけるコラム、と受け取ってもらえればそれでいい。
少数派が口をつぐめば、『グローバルスタンダード』みたいに『いま、これが普通ですから』と誰かさんに押し付けられ、大多数がポカーンとしてるうちにいつの間にやら『これが常識』とされ、そうでない人間が遅れているかのように扱われる。被害妄想だろうか。違う。
『少数派』になるのは簡単だ。
大勢の人間から受け入れられないことを前提としている。
『何故なら私は少数派』という言い訳が常に用意されているからだ。
ただし、『少数派』は『行列』をつくらないと息絶える。それどころか息絶えたことに誰も気がつかない存在になりうる。
そしていつの間にか、学生運動の終末のように、そしらぬ顔で多数派に紛れていく。
はて。
音楽をとりまく環境においては、『レコード』というものが既に少数派の愛するものになってしまって久しい。
レコードの需要は年々減っている。DJのレコード離れも進む一方で、CDに流れるもの、パソコンを使ってDJをするものが増え、レコードを生産するアーティストも減ってきた。
私はHIP HOPの片隅に生息してる者として、アナログレコードの生産をやめないつもりでいる。
正直、製作者の側からすれば聞いてもらえればいいわけだし、DJもレコードじゃなくたってクラブで曲をかけることができるし、そのフォーマットは何だっていい。というか、なるべく数多くの人間が利用しやすいフォーマットを選んでいくのが当然だ、と思う。しかもレコードは生産コストが一番高い。
だがそこには、私の『少数派が守るべきもの』の存在がある。
自分は毎月何万円もレコードを買う人間ではない。もっぱらCDだ。
だが気に入った曲はアナログで聴いてみたいと思うし、大好きなアーティストだったら12インチのジャケ付で手に入れたいと思う。
何より、レコード文化を愛している。
自分が音楽を熱心に聴き始めた10代のころ、渋谷のレコード屋の中古盤大放出に朝から並んだ。
これこそ私の中の『少数派の行列』の起源であった。
店内でもみくちゃになった末に手に入れたレコードはやっぱり今も色あせていないし、買いに行った当日の光景も一緒に並んだ人間との会話も憶えているし、寒い中朝から並んでいたら店員さんがくれた、ファンクマスター・フレックスのステッカーは今でも私のカセットテープBOXに貼りついている。
いま、その場所にそのレコード屋はない。
渋谷だけではない。ここ何年かで全国でレコード屋が店をたたみ始めている。
お買い物は地元で。と、商店街なんかによく書いてある、あれをふと思い出す。
我らはレコード屋を守っていくべきなのだ。
いや、『守っていくべき』というような恩着せがましいことではない。
そうしないと、少数派は自分をとりまく環境から愛すべきものを失い続け、周りにはマクドナルドとスターバックス等々が溢れ、あとのことはパソコンひとつで片がついてしまう、フラットな世界になる。
便利だ。非常に便利だ。視聴もできるし、足を運ぶ必要もない。無駄がない。会話もない。偶然もない。奪い合いも喧嘩もない。
だが‥無駄がないって、そんなに素晴らしいことなのだろうか。
多忙な生活を送る現代人には、最も重要なことなのかもしれない。
しかしながら、愛すべきものが『少数派』に属するものである以上、がんばって守らないと絶滅してしまうのだ。
絶滅危惧種を前に、よりによってそれらを愛する者たちが絶滅に追い討ちをかけてはいないだろうか。
私は、最近レコード店に足しげく通わなくなった自分への反省も込めて、このコラムの初回はこう締めくくりたい。
これ以上レコード店を潰すのをやめよう。
レコード屋に通おう。
BACK TO THE BASICですよ兄さん。




