第二回 レコード
派手なエクステを付けていたり、ハイライトを入れているギャル系の女性達で賑わう店内に1人混じり、『70年代ロック・アーティストのイメージで、すかしは入れず、どっしりした重みがある髪型で、今どきにしないでください。』と、今どきの美容室で髪の毛を切った僕は矛盾している・・・・・・・・。
そんな矛盾した男が、矛盾の無いよう文章を模索する【落ちぶれても元B-BOY】第二回をスタートさせて頂きます。アズキレコード・術の穴のキリコです。
第二回は"レコード"。
ターンテーブルをそろえたのが大学一年の時、きっかけは友人(DJWON of 北関東スキルズ)の自宅にテクニクスが2台あったからだ。今思うと、その下手糞なスクラッチ(失礼!)に魅了されたことが理由だったと思う。コレクティング性の高い、大きいジャケットも魅力の1つだ。かっこつけて人から聞いたような言葉を自分の言葉にして「CDとは違う温かみがある音」なんて言っていたけど、CDじゃなくレコードで音楽を聴いていることがかっこよく思っていたからだと思う。‘他とは違う’ことで優越感に浸ることができたのだろう。
実際、レコードを掘ることに夢中になったのはハワイ留学がきっかけだ。日本とは違い、車のキーと引き換えにカートリッジを貸してくれて、店内にあるレコードを何枚でも試聴できるシステムだった。HIPHOPのビートにネタが存在することはもちろん知っていたが、名前も知らないレコードに針を置いて、聞いたことがあるネタに出会うのが楽しくてしょうがなかった。火曜日と木曜日に新しい中古が補充されると知ると毎週のように通い、時間が許す限り店内にあるレコードに針を落とした。それがきっかけでHIPHOP以外の音楽にも興味を持ち、気付いたときにはもうDIGという行為、レコードの虜になっていた。
LAに住んでいた時は、安いジャンクフードで腹を満たし、浮いたお金で耳を満たした。中古レコードに定価なんて無いことに気が付き、毎回のように交渉しディスカウントしてもらっていた。既にMPCを所有しており、リスニング用、サンプリング用と購入するので購入枚数は以前とは比べ物にならなくなっていた。年に2回のスーパーセールには、明らかに日本から買い付けに来たと思われるバイヤー達が陣取る列に朝早くから並び、整理券を手に入れ再度開店前に並んだものだ。お目当ての棚に直行したら、セール用に補充されたレコード50枚ぐらいをライバルたちに奪われないよう抱え込んで違う場所で選別しているマナー違反がいたり、試聴機が混む事を予測して、携帯用のレコードプレイヤーを持ち込んで時間を気にせず試聴する賢い人がいたりと、なかなか面白い光景がそこにはあった。
店員や顔見知りのコレクター達とも話すようになり、音楽だけでなくレコード屋に通っていたことによって自分にとって重要な友人にも出会えた。
あくまでも趣味程度の‘ディグ’なので生意気なことは言えないが、インターネットでは味わえないレコードや人との‘出会い’のプロセスがたまらなく好きだ。
今でも週に1、2回は必ず掘りに行くが、ほとんどの中古レコードがアナログ全盛期時の半額で購入できてしまう現状が全てを語っている。需要と供給のバランスが崩れた今がチャンスだと掘っているが、決してこの現状が好ましいとは思わない。
事実、新譜のオーダーシートは以前の5分の1にも満たないと言う。アナログが中古メインになるのも時間の問題かもしれない。
『CDじゃなくアナログの音が良い』なんて雄弁に語っていたDJ達はもうネクタイを締めiPodの白いイヤホンが、いたに付いてきている。
家庭を持つ同世代が増え、音楽どころではないのだろう。それはどうしようもないこと。だが、誰かがアナログを後世に伝えなくては今度こそは市場から姿を消してしまいそうだ。そんな現状に嘆いている現役DJ達がスクラッチライブでフロアを揺らす。
何処も矛盾だらけだ。
こんな日記を書いている僕もiPodを愛用している。
レコード産業の未来は暗い。
良い音楽LIFEを。




