今回は、いつのまにか少数派となってしまった音楽家編です。
はい、あたいもその類であります。
自分は正統な「HIPHOP育ち」ではない。
純血種ではないのだ。
KOCHITORA HAGURETIC EMCEE'Sよろしく、ハグレハグレハグレたYO~の部類である。(ちなみに彼らのアルバムタイトル「HAGULIFE」に今年のベストタイトル賞を贈りたい!タイトル勝ちじゃこりゃ!)
私は、HIPHOPを聴きながら他の音楽も聴いてきた、ということではなく完全にハグレてしまった時期があった。もっといえばHIPHOPアレルギーといってもいいほど、聴くだけで気分がゲンナリしていた時代があったのだ。完全に孤立した暗黒の時代だった。
そんな時代の少し後にあたしの心をロックしたのはCORRUPTED、ENVY、54-71、灰野敬二、中島みゆき(70~80年代もの)などなどだった。エモーショナルさと言ってしまうと安っぽくて何か嫌だけど、そういったものに飢えていたのは確かだ。心臓に突き刺さるような誰かの叫びを求めていた。CORRUPTEDやENVYを、東中野の6畳の木造アパートで大音量で聴いて号泣していた20歳前後の女、隣人は怖かっただろうと思う。ゴメンなさいっ!でも間違ってたとは思えません…時効ってことでご勘弁を!
えーそんな時代を経て、「今ならHIPHOPできる」という良く分からない確信が沸いてきた時があった。振り返ると、HIPHOPアレルギーだった時代は「誰かのHIPHOP」を受ける身であったゆえ、「なんでこうなんだ!」という怒りが沸いたりしたものだが、「求める側」に立ってブーブー言っていた自分が恥ずかしく思え、「創造する側」になればいいんだという単純な解を導き出した私は、「大人の女」になった気がして清々しい気分ですらあった。この、「大人の女」感が的外れかどうかはさておき、誰のルールも介入させない、私の音楽をやろうと腹をくくった瞬間だ。
さて、ここまでは前置きなり。
少数派(珍種とも言うが…)と思える人々が、最近集まってきつつある気がする。
引力なんだろうか、類は友を呼ぶというか、己の鼻で嗅ぎ分けて、自分たちなりの音楽を楽しんできた人々同士が連結しつつある。
こういう人たちは、強い。
猛烈に強いのである。
あらかじめ独走してるので走行ルートから外れることへの躊躇が一切ない。どこへでも走っていく。また、独走してきたゆえの寂しさを背負ってるため人間が分厚い。既成概念に囚われていないため頭が柔らかい。反面、独自の摩訶不思議なルールを持っている場合もあるが、これはもう種の保存というか、独自の守るべきものを守るためのものと受け取れる。そして一番大事なこと、痛みも苦しみも全部ひっくるめて、強烈に楽しみ走り続けている。
彼らは少数派に参加したわけではない。
独走し続けたゆえに、少しづつ、少しづつ、後ろから走ってくる人間が現れたのだ。
この、「後ろから走ってくる人間」が現れるまでは猛烈に孤独だ。どこに向かって走っているのかすらわからなくなってくる。後ろ指もさされ、失笑され、「お前はHIPHOPじゃねえ」とか言われちゃったりもする。
多数派、もしくは強者の側に自然と所属し続けている者は、己の秤を世間共通の秤と思い込み、己の感覚を疑わない。実際には、そんな輩に「己の秤」などなく誰かの秤を拝借して我が物顔…といったところだ。そんなお子茶魔には、『せいぜい「田舎のプレスリー」よろしく、「日本の○○」とか言ってろ!』と、心の中で叫んで忘却の彼方へスッ飛ばしましょう。
“心の中”でいいんスカ!と突っ込みたくなる所だが、いいんです。
何故ニャラバ、我等が全身全霊で楽しみ進むことが、限りなく前向きな抵抗手段になるのだから。何言われたって『でもこっちこんな楽しいですが何か?』で一蹴り。『なんならこっち来ませんか?楽しいぜよ!』と誘ってやるくらいの余裕があればカッコよさ倍増。
とにかく私たちは多数派のお祭りよりも楽しいお祭り騒ぎを起こす、そういう覚悟でゆっくり、ゆっくりと走者の後ろに行列を作るのだ。
深いところで笑い合い、楽しめる場所に、それぞれの小さな行列が集まってくる。思いもよらない列と列が連結し、新しい文化が産まれる。そこにまた新しい走者がついてくる。走者の中から集団を抜き出て新しい走行ルートを創造する若者が出てくる。そしてそのまた後ろに……
という具合に、少数派は自然と進化やら後退やら淘汰やらを繰り返しながら、濃厚な連鎖を繰り返していく。
思いっきりシンプルに、極端な言い方をすれば、重要なのは、途中リタイヤしないこと、それだけなのかもしれない。
誰からも理解されないような時間(そういう時間はとても長く感じられるけど)が続いても発信をやめないこと。
あなたの感じたものを発信できるのはあなたしかいないのだから。
がむしゃらに走っていると気づかない。
前しか見てないから気づかない。
けれど、発信し続けるあなたの後ろには小さな行列が出来ているかもしれない。
思いもよらない種の行列があなたに興味を持ち、連結する日がくるかもしれない。
私自身、将来に不安が無いわけではない…というか不安しかないのだが、もう走り出した以上、たとえオバサン走りと言われようと走り続けるしかニャイ!
走れ!少数派!
次回!最終回!

