![]() 『AMERICAN GANGSTER』。今回、通算10枚目のオリジナル・アルバムとなる本作は、JAY-Z自身にとってもキャリア初となる、同名映画からのインスパイア・アルバム(NOTサウンド・トラック)であり、コンセプト・アルバムとなる。70年代のニューヨーク・ハーレムを舞台に、純度の高いドラッグ(="BLUE MAGIC"!)を売りさばいて裏社会に暗躍した、フランク・ルーカスという実在のギャングを描いたこの映画にJAY-Zはいたく刺激を受けて、即座にレコーディングに入ったそうだ。 NASの『ILLMATIC』ほどではないにせよ、JAY-Zにしてもデビュー・アルバムにあたる『REASONABLE DOUBT』が最高傑作、というのがコアなファンの認識であると思う(JAY-Z自身もそれを意識していたがゆえに、『BLACK ALBUM』を一区切りとする引退までのキャリアは、次に再び『REASONABLE〜』へ回帰することで美しいサイクルとなるのである)。そんな『REASONABLE〜』においてJAY-Zが主にリリックにしたのもまた、ブルックリンでのハスリングにまつわるアレコレであった。大人(30代)のヒップホップ・アルバムとして『KINGDOM COME』で、ラップ・ゲームへとカムバックを果たした彼が、今また『REASONABLE〜』とまったく同じ切り口でアルバムを制作することは難しいが、コンセプト・アルバムであれば、とJAY-Zは考えたに違いない。ともあれ、そうなればアカデミー受賞確実とまで言われる映画と、否が応にも比較される本作となったわけだが、それも納得の大傑作。間違いなく今年を代表する一枚になるだろう。(今回の作品のピックアップは『KINGDOM COME』以降のみ) TEXT: TAKASHI KUROKAWA(JET SET KYOTO)
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