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MADLIB、JAZZANOVAからPAUL WELLERまで、クールネスの代名詞とも言える世界中のカリスマをも魅了し続ける。サウンド、コンセプト、アートワークに至るまで一貫した美意識に貫かれた、空前絶後のインディ・レーベル、BLUE NOTE。

BLUE NOTEと聞いて、広く音楽ファンが想像するサウンドやジャケット、ムードはほとんど一致する。それほど強力でオリジナリティ溢れるポリシーが貫かれているのだ。アメリカが生んだポップ・カルチャーとしてはディズニーに勝るとも劣らない、文化遺産と言ってしまいたい。

事実、未だに毎年、年間ジャズ・チャートにはBLUE NOTEの'50~'60年代録音のアルバムが何枚もランク・インする。現在のライセンサーであるEMIグループはBEATLESと並んで、このレーベルの音源でずっと食べていけてるのではないかという印象すらある。

そのカタログのほとんどがオリジナル・プレス時には数百枚からせいぜい数千枚であったにも拘らず(その希少性ゆえ黄金期のオリジナル・プレスのエクセレント・コンディションは数十万円から百万円近くのプレミアが付いてしまっている)、2008年現在、CDで買えるカタログのほとんどは間違いなくその数十倍~数百倍の数を毎年売っていることになる。

黄金期のジャズ・インディペンデント・レーベルは他にも数多あれど、BLUE NOTEはナゼ今だにこれほど突出した存在でありえるのか。その秘密を皆さんと一緒に解き明かしてみたい。

TEXT: KCMT(JET SET KYOTO)

ALFRED LION = BLUE NOTE

1909年にベルリンで生まれ、20歳になってNYに渡るまでドイツで成長したユダヤ人、アルフレッドにとってのジャズは、我々21世紀に生きる日本人の想像をはるかに超えるほど、非日常であり、スタイリッシュでエキゾチックな羨望の世界であった。

アルフレッドの多感な時期にあたる1920年代。世界大恐慌の中ナチズムが台頭、ファシズムの吹き荒れるベルリンにおいて、ユダヤ人の若者が現実に夢を抱くことは難しい状況であった。そうした中、ひとり部屋に篭って、遠い異国のディキシーランド・ジャズやブルース、ブギウギのSPに針を落とし、蓄音機が奏でるトランペットの破裂するような音やピアノの弦が金属と共に弾ける音、ブラシが掻き回すスネアの音を聴くことは、アルフレッドに厳しい現実を忘れさせ、恍惚とした夢の時間をもたらした。

黒いアセテートに刻まれた溝に針を落とすだけで、此処ではない何処か、今ではない何時かに軽々と心を運び出す魔法をもたらすジャズは、アルフレッドの原初体験において、非常にプライヴェイトな性質のものであり、コレクトすることに意味があった。すなわち、優れた録音・アートワークと渾然一体となったパッケージであることに大きな価値があったのだ。このことが後のBLUE NOTEのブレの無い個性を生み出す原動力となる。

RUDY VAN GELDER = SOUND OF MODERN JAZZ

好きが嵩じて、1939年、ついにマンハッタンの住居兼雑居ビルの一室でレーベルを始めてしまったアルフレッドであったが、'52年には伝説の幕開けとなる5000番代、'10シリーズがスタートする。モダン・ジャズの夜明けであった。

その頃から、このレーベルにしばしば出入りし、'54年以降はBLUE NOTEのほとんどすべてのレコーディングを担うことになるエンジニアが、NJ出身のルディ・ヴァン・ゲルダーである。無線マニアで、検眼技師の職の傍ら、趣味で自宅のリヴィングをスタジオに改装してしまっていた、サウンド・フェチにして、他レーベルも含めた、その後のモダン・ジャズと言われるレコーディングの大部分を手がけてしまうことになる天才である。

そのオリジナリティ溢れるマイク・セッティングと、ミキシングのマジックにより、作品となったレコードを聴いて「生演奏だともっと良いに違いない!」とクラブに足を運んだジャズ・ファンを、がっかりせしめるほどの、オリジナル演奏を超えたダイナミックかつ艶やかなサウンドをビニールに刻んだ(文字通り、当時のBLUE NOTEの盤面の音溝とレーベルの間に署名が刻まれている)。

FRANCIS WOLFF(PHOTO) + REID MILES(DESIGN) = ORIGINATOR OF MOD DESIGN

ベルリン時代からの親友であり、優れた写真家でもあったフランシス・ウルフは、レコーディングやリハーサル中のミュージシャンの写真を常に撮影していた(ゆえにBLUE NOTE関連の写真の中で唯一、彼が被写体になった写真がほとんど残っていない!)。ジャズ・ミュージシャンに対する畏敬の念が溢れ、バウハウスの流れを汲んだ、ストイックで陰影に富んだ写真は、今でも数々の写真集となって人気がある(上段のスライド・ショウをご堪能あれ)。

その写真を大胆にトリミングし、ハリウッド映画や広告デザインの最先端を行くモダンなタイポグラフィを使用したデザインをレコード・ジャケットに持ち込んだのが、シカゴ生まれの新鋭デザイナー、リード・マイルスであった。その飛びぬけてクールなジャケットは全盛期の1500番台、4000番台を中心に400タイトルを超え、未だに、彼の作品をモチーフにしたデザインは枚挙に暇がない。ロンドンを発祥とした'60年代のモッズ・カルチャー、'90年代のアシッド・ジャズといったムーヴメントにおいても、その美意識の中心にはリード・マイルスが残したセンスが強く息づいていた。

"BLUE NOTE"というレーベル名は、EMI/CAPITOL傘下において今でも存在し、新譜をリリースし続けている。最近ではノラ・ジョーンズの全世界での大ヒットが印象強い。

しかし、アルフレッドがこだわりぬいて形にした『史上最強のインディ・レーベル』BLUE NOTEが、'66年の彼の引退、LIBERTYへの売却('83年にはさらにCAPITOLがLIBERTYを買収)を持って実質的には終焉を迎えたことを否定するジャズ・ファンはほとんどいないだろう。

LIBERTYはBLUE NOTEを大衆ポップ路線へ舵を切り、アメリカの工場でしかプレスされていなかった盤も、日本も含め、世界中でプレスされるようになった。止めを刺すようにレコーディング・エンジニア、デザイナーも便宜的に分業体制となり、こうしてアルフレッドの世界観は霧散した。

アルフレッドが体調を崩した為に引退した'66年当時と言えば、ロック、ブラジル、ソウルといったすべてのジャンルが大きな変革を迎えた時期であり、JAZZ界にもサイケ~アシッド~アフロ・スピリチュアルなどの要素が混入していった。

ベルリン生まれのユダヤ人ジャズ・オタク、アルフレッドにとっての愛すべきスタイル、スクエアでありながらもヒップであったジャズが、もはや過去のものとなってしまったことも引退の引き金を引いた大きなきっかけになったのかもしれない。

そして、今。嬉しいことに2005年ごろからUSの工場で黄金時代のBLUE NOTEのカタログのヴァイナル・プレスが活発に行われ始め、過去に類を見ないほど充実したラインナップが手軽な価格で入手できるようになっている。レーベル・デザインも'70年代以降の無粋な音符レーベルから、黄金時代のオリジナル・デザインへ遡り、マスタリングも悪くない。

CDもなんとヴァンゲルダーの手により、続々とデジタル・リマスタリングが施され、廉価盤で出ているので、そちらも合わせてチェックするのも良いだろう。

★1500番台★

時代はSPからLPが主流となり、長時間録音再生が可能となった。そのため、インプロヴィゼイションがしっかりと展開できるパースペクティヴなハードバップの傑作が次々にリリースされる。記念すべき1501盤はMILES DAVISだった。いわゆるモダン・ジャズと言った場合の名盤の大部分がここに含まれる。'53年から'58年にかけて98枚がリリースされた。
JOHNNY GRIFFIN / INTRODUCING [LP]
[ 1533番 ]
KENNY DORHAM / AFRO-CUBAN [LP]
[ 1535番 ]
LEE MORGAN / INDEED! [LP]
[ 1538番 ]
CLIFF JORDAN & JOHN GILMORE / BLOWING IN FROM CHICAGO [LP]
[ 1549番 ]
HANK MOBLEY / S.T. [LP]
[ 1568番 ]
JOHN COLTRANE / BLUE TRAIN [LP]
[ 1577番 ]
JOHNNY GRIFFIN / THE CONGREGATION + 1 [LP]
[ 1580番 ]
CLIFF JORDAN / CLIFF CRAFT [LP]
[ 1582番 ]
SONNY CLARK / COOL STRUTTIN' [LP]
[ 1588番 ]
LEE MORGAN / CANDY [LP]
[ 1590番 ]
LOU DONALDSON / BLUES WALK [LP]
[ 1593番 ]
CANNONBALL ADDERLEY / SOMETHIN' ELSE [LP]
[ 1595番 ]

★4000番台★

ハードバップが成熟期を向かえ、新たな展開としてファンキー・ジャズ、モード、フリーなどのバラエティ豊かな作品郡が怒涛の如くリリースされた。年代的には1500番台から連続するものであるが、当時のシングル盤が1600番台であったことから、途中の番号を大きくスキップ。'57年から'72年にかけてリリースされた。
SONNY ROLLINS / NEWK'S TIME [LP]
[ 4001番 ]
ART BLAKEY / MOANIN' [LP]
[ 4003番 ]
DIZZY REECE / BLUES IN TRINITY [LP]
[ 4006番 ]
DIZZY REECE / STAR BRIGHT [LP]
[ 4023番 ]
JACKIE MCLEAN / SWING SWANG SWANGIN' [LP]
[ 4024番 ]
HANK MOBLEY / SOUL STATION [LP]
[ 4031番 ]
LEE MORGAN / LEE-WAY [LP]
[ 4034番 ]
JACKIE MCLEAN / CAPUCHIN SWING [LP]
[ 4038番 ]
FREDDIE HUBBARD / OPEN SESAME [LP]
[ 4040番 ]
TINA BROOKS / TRUE BLUE [LP]
[ 4041番 ]
FREDDIE REDD / SHADES OF REDD [LP]
[ 4045番 ]
HANK MOBLEY / ROLL CALL [LP]
[ 4058番 ]
GRANT GREEN / GREEN STREET [LP]
[ 4071番 ]
DONALD BYRD / THE CAT WALK [LP]
[ 4075番 ]
FRED JACKSON / HOOTIN' 'N TOOTIN' [LP]
[ 4094番 ]
IKE QUEBEC / IT MIGHT AS WELL BE SPRING [LP]
[ 4105番 ]
GRANT GREEN / LATIN BIT [LP]
[ 4111番 ]
CHARLIE ROUSE / BOSSA NOVA BACCHANAL [LP]
[ 4119番 ]
HERBIE HANCOCK / MY POINT OF VIEW [LP]
[ 4126番 ]
KENNY DORHAM / UNA MAS [LP]
[ 4127番 ]
DON WILKERSON / SHOUTIN' [LP]
[ 4145番 ]
GEORGE BRAITH / TWO SOULS IN ONE [LP]
[ 4148番 ]
LEE MORGAN / THE SIDEWINDER [LP]
[ 4157番 ]
FREDDIE ROACH / GOOD MOVE [LP]
[ 4158番 ]
ERIC DOLPHY / OUT TO LUNCH [LP]
[ 4163番 ]
HORACE SILVER / SONG FOR MY FATHER [LP]
[ 4185番 ]
HANK MOBLEY / TURNAROUND ! [LP]
[ 4186番 ]
LARRY YOUNG / INTO SOMETHIN' [LP]
[ 4187番 ]
JOE HENDERSON / INNER URGE [LP]
[ 4189番 ]
HERBIE HANCOCK / MAIDEN VOYAGE [LP]
[ 4195番 ]
BOBBY HUTCHERSON / DIALOGUE [LP]
[ 4198番 ]
LEE MORGAN / THE RUMPROLLER [LP]
[ 4199番 ]
PETE LA ROCA / BASRA [LP]
[ 4205番 ]
HANK MOBLEY / DIPPIN' [LP]
[ 4209番 ]
JACKIE MCLEAN / ACTION [LP]
[ 4218番 ]
WAYNE SHORTER / THE ALL SEEING EYE [LP]
[ 4219番 ]
LARRY YOUNG / UNITY [LP]
[ 4221番 ]
LEE MORGAN / CORNBREAD [LP]
[ 4222番 ]
HANK MOBLEY / A CADDY FOR DADDY [LP]
[ 4230番 ]
WAYNE SHORTER / ADAM'S APPLE [LP]
[ 4232番 ]
DONALD BYRD / MUSTANG! [LP]
[ 4238番 ]
JOHN PATTON / LET 'EM ROLL [LP]
[ 4239番 ]
DONALD BYRD / BLACKJACK [LP]
[ 4259番 ]
LOU DONALDSON / ALLIGATOR BOGALOO [LP]
[ 4263番 ]
LOU DONALDSON / MR. SHING-A-LING [LP]
[ 4271番 ]
ANDREW HILL / GRASS ROOTS [LP]
[ 4303番 ]
LEE MORGAN / CHARISMA [LP]
[ 4312番 ]
LOU DONALDSON / HOT DOG [LP]
[ 4318番 ]
BLUE MITCHELL / BANTU VILLAGE [LP]
[ 4324番 ]
HERBIE HANCOCK / THE PRISONER [LP]
[ 4321番 ]
BROTHER JACK MCDUFF / DOWN HOME STYLE [LP]
[ 4322番 ]
LOU DONALDSON / EVERYTHING I PLAY IS FUNKY [LP]
[ 4337番 ]
GRANT GREEN / GREEN IS BEAUTIFUL [LP]
[ 4342番 ]
LONNIE SMITH / DRIVES [LP]
[ 4351番 ]
HORACE SILVER / TOTAL RESPONSE [LP]
[ 4368番 ]
GRANT GREEN / FINAL COMEDOWN [LP]
[ 4415番 ]

★BN-LAシリーズ★

'60年代後半~'70年代初期。アルフレッド・ライオンは去ったが、クロスオーバーの嵐吹きすさぶ中、後のロンドン・フロア・ジャズ・クラシックとなるソウルフルかつスピリチュアルな作品も数多くリリースされた。アルフレッドの時代に才能を開花させたミュージシャンが、長じてブラック・ジャズ、ジャズ・ファンク的な傑作をものした。
DONALD BYRD / BLACK BYRD [LP]
[ 047-F ]
DONALD BYRD / STREET LADY [LP]
[ 140-F ]
BOBBIE HUMPHREY / BLACKS & BLUES [LP]
[ 142-G ]
MARLENA SHAW / LIVE AT MONTREUX [LP]
[ 251-G ]
WAR / PLATINUM JAZZ [2LP]
[ 690-J2 ]

★LTシリーズ★

アルフレッドの時代、ハードバップ全盛時にはオリジナル・アルバムには収まらなかった未収録楽曲や、セッションはされたもののアルバム発売にまでは至らなかったお宝音源を発掘していったシリーズであるが、1500番台、4000番台のオリジナル・リリースに匹敵する内容となっている。
GRANT GREEN / SOLID [LP]
[ 990 ]
LEE MORGAN / SONIC BOOM [LP]
[ 987 ]
LARRY YOUNG / MOTHER SHIP [LP]
[ 1038 ]
HANK MOBLEY / THINKING OF HOME [LP]
[ 1045 ]
JACKIE MCLEAN / VERTIGO [LP]
[ 1085 ]

★コンピレイション★

毎月のようにブルーノートのコンピレイションは世界中でリリースされているが、最近のりリースからピックアップ。たくさんありすぎて、一体どれから買ったらいいの?なんていう貴方にはこちらをどうぞ。きっとその魅力に取り付かれるでしょう。
V.A. / DROPPIN' SCIENCE : GREATEST SAMPLES FROM THE BLUE NOTE LAB [2LP]
V.A. / ESSENTIAL BLUE -SUNDAY BLUE- [CD]