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ボロフェスタ以降と捉えても差し支えないでしょう。2000年代の京都バンド・シーンが、またおもしろくなっています。ボロフェスタの中心でもある、LIMITED EXPRESS(HAS GONE)やゆーきゃん、ロボピッチャーといったシーンの牽引者達はもはや全国区での高い評価を得て、さらに、彼らの影響下で練磨を重ねる若く才能を持ったバンドもここ数年でみるみる実力をあげてきています。特に昨年は、そうしたニュー・カマーたちの多くがポテンシャルを発揮したデビュー作をリリースした、ニュー・エラの始まりというべき年でした。このあたりの概観は、近日中に予定している新たな特集でしっかりと取り上げたいと思いますが、彼らのなかで頭一つ抜けている存在が当インタビューでの主役、シゼンカイノオキテです。変拍子を多用したリズミックなビートと、攻撃的で切れ味抜群のギター、バーストするシャウトに女声コーラスがアクセントを加える、新世代エモーショナル・アートコアというべきサウンドと、アグレッシヴなライヴ・パフォーマンスで数々の賞賛と期待を勝ち取ってきた彼らが、昨年の末にめでたくデビュー・アルバム『読みかけの本を置く』をリリースしました。鉄壁のグルーヴと、全速力で疾走する青臭さを見事にパッケージすることのできた、すばらしいデビュー作となっています。これはぜひ!と思いインタビューをお願いしました。若き表現者ならではの瑞々しいトークをお楽しみください。

INTERVIEW + TEXT: RYOTA TANAKA(JET SET KYOTO)

■ シゼンカイノオキテ公式プロフィール

混濁したロック(=ロマン)解釈がとっちらかる…。不凍と不響の交点で!唄と変グルーヴと過剰な楽器は晩酌を交わす!2003年ごろ、京都某大学某サークル内で結成。 メンバーは結成当初から変化無く、佐野ユズル(G/VO)、花田マイ(BA/VO)、吾妻トモエ(DR/VO)の三名。これまでに自主制作で数枚の音源を発表。やりすぎないようでやりすぎてるような展開も、笑みも絶叫も他愛のない冗談も轟音も、結局ぐちゃりとロック(=ロマン)に加工っ!…するようなライブを各地で展開中。京都・京大西部講堂にて開催されているロックフェスティバル、「ボロフェスタ」に3年連続出演。2005年出演時、共演のBEAT CRUSADERSのベース、クボタマサヒコ氏にそのステージングを大絶賛される。11月に渋谷一円で行われるイベント「渋谷ハートアタック」を始め、拠点地関西以外でも活動中。今回初の全国流通音源のリリース!!!!
デビュー・アルバムのリリース、おめでとうございます。ライヴまんまの弩級のグルーヴやスピード感を見事にパッケージしたすばらしい作品だと感じました。
佐野ユズル(以下S):ありがとうございます!!弩級!うれしい感想ありがとうございます。いろんな方々に助けられっぱなしでしたが、関わってくれた方々に曲、バンドともに大事にしてもらったなぁとしみじみ思っています。
このHPを見る人でシゼンカイノオキテのことを知らない人もいると思いますので、まずは自己紹介からお願いします。
S:初めまして、主に京都で活動をしております、シゼンカイノオキテです。メンバーは佐野ユズル(G/VO)、花田マイ(B/VO)、吾妻トモエ(DS/VO)の3名です。ギターロック、です。
結成にいいたるまでのエピソードを教えてください。
S:学生時代にそれぞれメンバーは別のバンドをやっていたのですが、花田・吾妻の二人が何か別のことをやりたい、と思っていたらしく、そこに僕が誘われる形で結成にいたりました。僕も実はそんな気分だったので即答で「やるよ」と。でも実はすぐに解散するんじゃないか、と思ってました。
では、結成されたのは何年くらいになるんですか?また、それぞれが当時やられていたバンドはどんな音楽だったのですか?できたらバンド名などもそえて(笑)教えていただけますか?
S:確か2003年くらいだったかと思います。僕(佐野)はタッチアンドゴーというバンドで超歌もののギターロックを。マイちゃんは楽天アゲハゲハとか、今も続いているニーニャニーニョというギャルバンを。ヅマちゃんはエレキ社というアバンギャルド・エレポップ(?)をやってましたね。うーむ、何がなにやら…。あー、あとヅマちゃんがギターを弾き、マイちゃんがドラムを叩いてるバンドがあったのですが、それが非常にかっこよかったです。僕の音楽的な引き出しの少なさを痛感させてもくれました。
3人組で女性がリズム隊だというのは、結構珍しい編成だと思いますが、自然とこの3人に落ち着いた感じなんですか?また、特に佐野さんに訊きたいんですが、この2人のグルーヴにはどういった印象をお持ちですか?
S:結成したときから今に至るまでメンバー・チェンジもなく、メンバー加入もなかったので偶然にしろなんにしろ、この3人でやることが活動しやすいバランスであったのかな、と思います。人に言われて、あぁ珍しいのかなー、と思ったりしますね。2人に関してはとにかく反応が早いなぁ、という印象です。基本的にスタジオでしか曲作りをしないので、その辺りは偶発的なものを生み出すのには申し分ないですね。あとはどっしりした感じですか。どっしりだけどしなやか。たまにルーズなところもいいですね。おひょいさんみたいな。多少僕がやらかしても大丈夫だなぁ、もっとやらかそうかなぁ、とか…甘えさせてくれるというか…
3人それぞれ、ほかのメンバー2人を一言で言い表してみてもらえますか?
S:花田→山 吾妻→河 2人ともセンスの塊だと思います。
花田:佐野→小学生みたいなお兄ちゃん 吾妻→お母さんみたいな妹
吾妻:佐野→壊れかけのサイボーグ。もしくは、のび太 とドラえもん、一人二役 花田→無印良品。
バンドをはじめるにあたってロールモデルとなった存在はいますか?
S:特にないんです。始めるにあたっても、活動が活発化していく過程でも3人が足並みそろえて特にこうしようという対象はなかったと思います。それぞれがルーツとなる存在であったりその時々に好きなものを曲なりに反映させてるとは思うんですが…。
では、それとはべつに、佐野さんの音楽体験の話をいくつか訊かせてください。まずは、自分が音楽にのめりこむきっかけとなったミュージシャンや作品はなんですか?
S:そうですね、中学生のときにエレファントカシマシの『ココロに花を』を聴いて、聴き倒したんですがそれが今思えば音楽体験の強烈な原風景かなという気がします。
それから今にいたるまでの音楽嗜好の変遷を○○→○○→○○→みたいな答え方で羅列してください。
S:エレファントカシマシ→本のパンクやらオルタナティブ、メタル→オアシスなどのUKな人々とメロディックが友人の影響でドドドと入ってきて→メタル・ハードコア・オルタナティブがさらに平行して→大学生入学前後でDCの音楽もクラブ・ミュージックらしきものも入ってきて…。色んなジャンルのものを平行して広く浅くたくさん聴くという聴き方は中学生の頃から変わってないと思います。ライブも昔から色々観にいっていたので何が何やら…。固有のバンド名で変遷を挙げるのが非常に難しいです。
ギターヒーローはいますか?いるとしたら誰にあたりますか?
S:あまり意識したことが無いです。バンドというか曲というか全体像を捉えて聴くようで、ギターを弾き始めてもそれは変わってないです。なのでパッとこのギタリストが!というのは挙げづらいですね…。すんません!!
実際の作曲や音楽制作はどのように取り組まれてるんですか?
S:スタジオで誰かしらがヒントとなる素材を出してそれを膨らめていきます。僕がきっかけになることが多いかなと思います。スタジオで、三人で、という状況でしか作曲しないので誰か特定のメンバーが作っているとかはないですね。家でそのときに録音したものを聴いて、展開を整理したりとかはたまにありますけども。メンバー全員大学からバンドマンバンドガールになったので作曲に関するノウハウというのが全然なくて…こういう形がしっくりくるのかもしれません。顔をつき合わせてみんなで考えたりするというのが一番、信憑性がのあるというか、責任みたいなものが発生するのでいいかなぁ、と思ってます。歌詞に関しては家で考えてます。
アルバムについてお尋ねします。一聴して圧倒的なグルーヴ感に度肝を抜かれました。このグルーヴを出すためには相当な試行錯誤があったと思ったのですが、具体的にどのような取り組みをされたんですか?
S:ありがとうございます。うれしいっす。でもこれといって特別なことは全然しませんでした。音源に入れる候補の曲が13曲?くらいあって、朝ハナマウイに集合して一日でザクッと録ってもらいました。歌に関しても日にちを変えて一日で。強いて言えば細かいところを考えずに、バンド単位で聴いたときの勢いを重視しました。というか、そういった場面で普段やってること以上のものは絶対出ないと思っていたので。普段使ってるスタジオで朝から元気のあるうちに無心で臨んだ、のがよかったのかなぁ…?
13曲から曲をしぼりこまれてますが、アルバム全体のトータル・コンセプトなどはあったのでしょうか?あったとしたらどんなものか教えていただけますか?
S:コンセプトは特に無かったんですが曲を絞っていくうちに、メンバーとか宮さん小泉さんと相談しているうちに流れとかそういったものが見えてきてザクッと決まった、という感じですね。不思議と並べてみたら違和感なく並んでるなぁ、と自分で不思議に思ってます。
また、『読みかけの本を置く』というタイトルですが、ずばりそこに込められた意味は?
S:以前、同タイトルを企画に使ったことがあったんですが、あまりにも語感が良いので使っちゃいました。内面的な理由では…、僕の枕元には途中で読むのをやめてしまった本が散らかってるんですがその「やりかけ」の塊の中に、自分が言いたかったこと、言えなかったこと、知りたくも無かったこと、聴いてほしいこと、とにかく普段おもってるいろんなことが形を変えて詰まっていて終えることの出来ない日々の澱の象徴みたいだな、と、思ったらなんだか悲壮だけど…そうではなくてそこに平行しておかしみのある日常も進んでいく、終えられないものはとりあえず置いておかないとホントに終えられない。そんなことを考えて、思いついたと思います。あくまでも個人的な観念の産物で、決して人に向けたタイトルではありませんがどの曲も深いところでそういった意識でつながってるかなと思ってコレをタイトルにしました。
今作に影響を与えたであろう物事を、音楽でも漫画でも出来事でも人でもなんでもいので羅列してみてください。
S:そうですね、ライブもよく観に行ったし漫画もいっぱい読みましたねぇ。音楽に関しては相変わらず、広く浅くざっくばらんに聴いているので、色んな影響は常に受けているかなぁ、という具合で逆に影響の出所を特定できないです…。レコーディングしていた時期は、『RAINBOW』とか読んでました。心震える男の物語です。おすすめです。『敷居の住人』を読み始めて、ちっとも面白くならないなぁ、どうしようかなぁと悩んだり。今もまだ全部読めてなくて、この前持ってる分を読み返したらやっぱり同じ印象で…。このまま続きを読むべきかどうか…。いや、面白い、面白い、のか?悶々とします。あと、『うつうつひでお日記』を繰り返し読んでました。これもねぇ、うまく感想いえないですねぇ。影響の対象がありすぎてこれも絞り込めないなぁ。影響縛り的な試みとしては、歌詞をしっかり文字として世に出す、ということもあって文学作品ははあまり読まないようにしてました。大好きなんですが妙な影響を受けたら嫌だなぁと思っていたので。たまに影響を受けやすいのが仇になることもあるので。この項は取り留めないですね。すいません。
音楽以外で今興味があることがあれば教えてください。
S:今年は派手な怪我をしたり地味に強烈な病気になったりしたので健康には異常な興味があります。青汁をネットで検索したりとか。あと、ASTROLOVEの松下さんが自身のバンドのPVとか作ってるんですが、あれを観て映像とかどうこうするの、いいなぁ、とか思ったり。
京都の音楽シーンには様々なバンドやミュージシャンがいると思いますが、そのなかで気になる存在を教えてください。
S:今年たくさん絡んでもらったASTROLOVE、LAINY J GROOVEはやっぱりライブを見るたびにドキドキするというか、毎回ライブを見るのが楽しいです。濃密です。いや、ほんとにいっぱいいるんです、大好きなバンド、気になるバンド。固有名詞で挙げていったらキリが無い気がするのでこの辺で…。
京都の音楽シーンの魅力はなんでしょうか?逆にもっとこうすればおもしろくなるという意見もあればそれも教えてください。
S:狭い町にぎゅうぎゅうに色んなものが押し込まれているところでしょうか。自転車でどこでも観に行ける感じが一番魅力的!週末に観たいライブが近くで被りまくるのは、うあぁぁどうしよかな、もっと何とかならないのか!!と思いますね。
最後に今後のシゼンカイノオキテの展望、野望などを教えてください。
S:ペースを落とさず活動し続けること、さらにペースをあげること、アイディアを枯らさないこと、次の音源に向けて曲を作ることが手身近ですが一番の展望というか野望というか、です。止まることで良くなる類のバンドではないので。とにかく決まってるライブ全てを納得いく内容で演奏して、今回の音源を広く聴いていただけるようにしたいなぁ、と思います。その過程でさらに演奏の強度というかバンドの筋力をグイグイ上げたいです。僕の超然としたものさしで端的に述べれば良いバンドでありたい、そのための努力をし続けたい、ということですか。まずは!!ライブにたくさんの人が来てほしいです。いや、ほんとに!

■ LIVE INFORMATION

1/23 京都 磔磔
2/9 京都 磔磔
2/24 東京 渋谷屋根裏