![]() 停滞し続ける国内ロック・シーンへの鮮烈な一刀。京都出身で、現在は東京に居を移す若き4ピース、LILLIES AND REMAINS(リリーズ・アンド・リメインズ)。彼らが6曲入りのミニ・アルバム、『MORALIST S.S.』で見事全国デビューを果たした。HORRORSやTHESE NEW PURITANSと同時代性を持ったゴシック・ニューウェーヴ・サウンドに、ARCTIC MONKEYS以降のタイトなリズムを持った彼らの音楽は、現在隆盛を極める海外のインディ・シーンに一切ひけをとらず、さらに、それらの単なる模倣でないオリジナリティと明晰なヴィジョンを持っている。EVERY CONVERSATIONの仲真史氏とALPHAVILLEのKINK氏をお招きして昨年行った当店主催イベントにて、デビュー前ながらライヴをしてもらうなど、以前から彼らには熱い視線を送ってきたJET SET。当店が今作をプッシュしなくてどうするの?ってことで、インタビューをお願いしました。 INTERVIEW + TEXT: RYOTA TANAKA(JET SET KYOTO)
JET SET(以下J):まずはメンバーそれぞれの自己紹介をお願いします。
KENT(以下K):G&VOのケントです。抜群のジャンプ力を生かしたヘディングに定評があります。
FURUSAWA(以下F):G。趣味は盆栽。 花粉症患者。 至らない。
YOSHIAI(以下Y):BA。夜行性で珈琲とハイチュウが好き。実験的な音楽が好み。
MA-SA(以下M):暗黒絶望系陰鬱ノイズまみれのドラマーです。 マイブームはキウイフルーツ。
J:メンバー全員がまだ20代前半と聞いていますが、結成は何年頃どういうきっかけですか?
K:それまでは普通にサッカーやってたんですけど、2006年夏に突然音楽がやりたくなって、大学内で音楽ジャンキーを探しました。
J:となると結成からまだ2年経ってないんですね。驚きです。突如音楽がやりたくなったきっかけは?また、現在のようなサウンドやスタイルはその時から見えていたのでしょうか?
L:その時は大学の3回生で、ちょうどクラブに行き始めた頃だったんです。クラブでロックやエレクトロに合わせて踊ってる人を見て、日本でもこんなに音楽を聴いてる人がいるんだと、びっくりしたんです。そんなに聞いてくれる人がいるんだったら自分もやろうと思ったんです。その時最初に作った曲から、あんまりサウンドやスタイルは変わってないと思いますよ。
J:作詞作曲はどなたがされているんですか?
K:ボクです。
J:LILLIES AND REMAINS以前はそれぞれ音楽活動をされていたのでしょうか?
K:ボクは特にないです。でも曲作りは中学ぐらいの時からやってました。
F:ボクはちょっとだけ
M:ボク モ チョット
Y:チョット ダケ
J:KENTさんにお訊きします。曲作りを中学の頃からやっていたとのことですが、それらの曲を人前で演奏したり音源にしようとしたりとは考えなかったのですか?また、当時作っていた曲はどんな感じの曲ですか?
K:そうですね。まず何より、当時は英語があまりできなくて曲にVOをのっけてなかったんで。曲として成立してないと思ってましたし、音楽通の友達に意見を聞くぐらいのことしかしてなかったです。当時作ってたのはメタルかパンクですね。中学生なんで仕方ないですよね(笑)。
J:曲を作るうえでのモチベーションはどういうことからですか?また、リリックのモチーフはどんなことなのですか?今作で唯一歌詞を掲載している「MORALIST S.S.」を読むかぎりでは、思考停止状態にある人々を、非道徳的だったり危険だったり快楽だったり、オルタナティヴな選択へと引き込もうとする悪魔の囁きみたいなものを、感じたものですが。
K:ボクはやっぱり面白い本に当たった時に、その世界観を表現してみたいってのが一番多いですね。でもただ単に誰かのGIGみて、俺もできるぜって感じで曲を作るときもありますけど(笑)。歌詞に関してはある意味、あたってますよ(笑)。でも悪魔の囁きではなく、もっと健全な見地から発した言葉だったんですけど。曲が暗いから、そう感じてしまうのかな。。思考停止状態にある人を、もっと正しい方向に導きたいって感じです。もちろん音楽的に、です。別に日本の音楽シーンだけが、おかしいとはいわないですけど、芸術分野で日本の音楽、特にPOPは他の国よりも明らかに遅れてると思うんで。。いくつかの雑誌の取材でもいったんですが、「MORALIST S.S.」はあくまで小説の主人公がモチーフで、ボクはこんな高圧的な人間ではないですけど(笑)。
J:LILLIES AND REMAINSというバンド名はBAUHAUSの曲名からだとのことですが、どういう理由でつけられたのですか?
K:何か文学的な響きを感じたので(笑)。BAUHAUSも一応好きですが、特に強い思い入れ等はありません。
J:レーベルであるFIFTY ONEはこれまで海外のバンドのリリースのみでしたね。彼らのレーベルからリリースするにいたったいきさつは?
K:ボクがLILLIESのマイスペを管理してるんですけど、2007年の夏くらいに、めちゃくちゃ音楽の趣味がコアな人がFRIEND REQUESTをくれまして、コアな音楽トークで盛り上がったんです。後で、その人がレーベルやってるA&Rだと知って。。
J:デビュー作『MORALIST S.S.』、尖っていながらも洗練された、国内シーンにインパクトを与える強力作ですね。今作のコンセプトは?
K:ありがとうございます。今回は日本のリスナーの方々に聞いてもらうってのが一番かもしれないです。選曲も音の質感も、邦楽しか聞かない人でも反応していただけるような感じにしたつもりです。
J:邦楽しか聴かない人でも反応できる音作りというのを具体的に言うと?逆にそうした視野を外したうえで、目指しているサウンド・モデルについて、実際の作品やプロデューサーなどで参照できるところがあれば教えていただけますか?
K:空間系を弱くすることですかね。全体的にリバーブを抑えて、音をクリアにしたり。。後は音にパンチがあるようにしました。こちらは殆ど、敏腕エンジニアの中野さんの手腕によるものです(笑)。好きなプロデューサーは色々いますけど、ボクのNO.1はBRIAN ENOですね。他にはやっぱGANG OF FOURのANDY GILLとかですかね。
J:今作のレコーディングで苦労された点は?
全員: 演奏技術のなさです。
J: LILLIES AND REMAINSの音楽はARCTIC MONKEYS以降のタイトでリズミックなサウンドと、あなたたち自身がフェイヴァリットを公言するNEILS CHILDREN以降、HORRORSを経由しTHESE NEW PURITANSなどに現在発露されているダークでゴシックなフィーリングがあると思います。その共通した時代感というのはどこまで意識的なのでしょうか?それとも自然とでてきたものでしょうか?
K:うん、ほんと偶然だと思いますよ。もともと暗い、というかシリアスな音楽が好きだったので。いくら明るい曲を作ろうと思っても若干暗くなってしまうんです。HORRORSとTHESE NEW PURITANSは一応好きですけど、たぶん影響は受けてないです。
J:では、偶然にせよ、ここ1、2年の間に国内外で、ダークでシリアスなムードを持ったバンドが同時多発的に現れたのは、どのような時代背景があるからだと思いますか?
K:ボクは同時多発的にそういうバンドが現れたって、印象があんまりないんですけど。。リスナーの方にとって、ただ単にHORRORSの印象が強かったんじゃないですか?いつの時代もそういう音楽はありますし、別にHORRORSに限らず、目の周りが黒い人もたくさんいますしね(笑)。KILLERSのブレンダンだって黒いですし。。ボクはかなり前からNEILS CHILDRENとかBLACK WIREとかが大好きでずっと聞いていたので、あまりそういう印象がないのだと思いますよ。
J:LOVEの「ALONE AGAIN OR」のカヴァーをやったのはどういったきっかけで?また、同曲以外にもにもカヴァー・レパートリーはあるのでしょうか?
K:ボクはネオアコが好きで、ずっとネオアコ関連のCDを漁りまくってたんです。その時にネオアコの源流にLOVEがあるのを知って。最初に「ALONE AGAIN OR」を聞いた時、曲の中盤部分がダサかったので変えたいなって思ったのがきっかけです。アレンジまで変えたのはLOVEだけです。GIGでカヴァーしたのは、GANG OF FOUR、DEVOですね。
J:制作中によく聴いていた音楽があれば教えてください。
K:DAF『ALLES IST GUT』
F:BOB DYLAN
Y:ANIMAL COLLECTIVE
M:JOHN BUTLER TRIO
J:自分に決定的に影響を与えた、これで人生変わった!というようなアルバムをそれぞれ1枚教えてください。
K:BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB『B.R.M.C』
F:JAMES CHANCE & THE CONTORTIONS『BUY』
Y:RADIOHEAD『OK COMPUTER』
M:GANG OF FOURのファースト
J:では、最近のお気に入りのバンドなどをいくつか教えてください
K:MYSTERY JETS、THE KILLS、MGMT
F:SCREAMING JAY HAWKINS
Y:AFX、CUT COPY
M:PREFUSE 73、FLYING RHYTHMS、THE ROOTS
J:KENTさんが挙げてくれた3つのバンドはそれぞれの最新作で、エレクトロ以降のビート感をうまいことロックのフォーマットに取りいれていましたね。LILLIES AND REMAINS自身の今後の作品で、そのことがキー・ポイントの一つとなるかもしれないという、僕の勝手な(笑)予測についてはどうですか?
K:今回のEPでは機材自体がなかったので、シンセとか入れてないんですが、アルバムではもちろん入れるつもりですよ。 でもとりあえずは最低限ですね。ビートにつながるというより、背景ぐらいで使いたいですね。
J:ギターのFURUSAWAさんはDJ PROTEINとしても活動されてますね。最近のプレイ・リストを教えてください。
F:GLENN BRANCA
J:先ほども申したように、あなたたちのサウンドは海外の同時代のロックに決して見劣らないものだと思います。逆に国内のミュージシャンで尊敬している方や、今シンパシーを感じる存在などはいますか?
F:麻生久美子
J:(笑)。バンドやミュージシャンではいかがですか?
F:個人的にすごく仲の良い、PSYSALIA PSYSALIS PSYCHEやPLASTICZOOMSはやっぱり応援してますし、シンパシーも感じますよ。PSYSALIA PSYSALIS PSYCHEのTORU君もPLASTICZOOMSのSHO君もほんまに音楽詳しいですしね。
J:今後の活動予定を教えてください。
K:今はほんと忙しいんですが、夏からはLIVE活動を再開できそうです。ライヴ活動と並行して、アルバムに向けてレコーディングも開始します。
J:今回はお忙しいなか、ありがとうございました。最後にJET SETのお客さんになにか一言お願いします。
K:まずJET SETさんへ。JET SETさんにはほんとお世話になりました。これからもよろしくです。お客さんへ。たくさんの方に期待していただきながら、最近は期待に応えられるようなACTIVITYが出来ていないことを歯痒く思っています。もう少しの間、忙しい期間が続きそうなのですが、それ以後は全開で活動していきたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。
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