それでは最初に、簡単な自己紹介とこれまでのキャリアから教えて頂けますか。
こんにちは、DIGIKIことアントナン・ゴルチェです。2001年からDIGIKI(「digital kid」のもじり)という名前で、音楽を作っています。2001年9月11日直後に初めてのリミックスを作ったので、ポスト9.11アーティストと言えるかも知れません。出身はパリで、現在は東京に住んでいます。
昨年7月にリリースされた『DENSE MUSIC』は、一昨年リリースした『BEAT VACATION』のリミックス・アルバム的な内容ですが、敢えて『BEAT VACATION REMIXES』ではなく、全く新しいタイトルを付けたのは何故なのでしょうか。
常に曲やアルバムのタイトルに非常にこだわっているので、単に「~REMIX」や「~REMIXES」を後につけるのではつまらないと思いました。また、今回のアルバムは『BEAT VACATION』のリミックス・アルバムではなく、むしろ私がセレクトしたミュージシャンによる、全く新しいオリジナル・アルバムと呼んでもよいのではと考えたことも大きな理由です。『DENSE MUSIC』を聴くにあたり、『BEAT VACATION』に関する知識は必要ありません。私自身、この2つのアルバムは、それぞれ独立した作品であると考えています。
参加アーティストは有名無名・国籍を問わず、とてもバラエティに富んでいるように思います。後ほど個々のアーティストについて詳しく聞いていきたいのですが、まずはリミックス・オファーをするにあたって、何か基準のようなものがあって選ばれたのでしょうか。
2006年暮れから東京で開催しているクラブ・イベント、"JULIANA"に大きな反響があったことで、『BEAT VACATION』よりもビートやリズムを強調した音楽、つまり「踊れる」音楽を作りたいと思うようになりました。ただ、単に4ビートのキックを追加するだけであったり、エセJUSTICEのような音楽の寄せ集めはやりたくありませんでした。 今回のアルバムは、「ダンス・ミュージック」の概念そのものにチャレンジするような、オリジナルでユニークなものを目指しました。そのため、音楽的ボキャブラリーが豊富で、独自のスタイルやオリジナリティを持ったアーティストにリミックスを依頼しようと決めたのです。今回のアルバムに収録されているアーティストの皆さんは、ダンス・ミュージックに関するそれぞれ独自の解釈を持っていると思うんですね。あと、『DENSE MUSIC』(DENSE=”密度の濃い” MUSIC=”音楽”)という名前もそれをよく示していると思います。希薄なクラブ・サウンドではなく、オリジナルで、重厚な、「踊れる」音楽。いわば、知的かつダンサブルなサウンドを表現しています。
同郷フランスからはフレンチ・エレクトロ以降のアーティストの中でも、POPULAR COMPUTER 、DONOVAN 、JEAN NIPON といった、特にユニークなセンスを持ったアーティストが揃いましたね。
彼ら、特にDONOVANやMONDKOPF は皆、フレッシュで、フランスの次世代を担うようなミュージシャンです。JEAN NIPONは言うまでもなくシーンを代表するDJですし、非常に幅広い音楽知識を持ったアーティストです。また、O.LAMM との共同作業はとても有意義なものでした。彼は、現在のフランスでも1、2を争う名プロデューサーだと思っています。
そして東京からはDEXPISTOLS 、DUCK ROCK 、TOSHIYUKI YASUDA 。彼らへのオファーはどういった経緯で実現したのでしょうか。
DEXPISTOLSを一度"JULIANA"に呼んだことがあり、それがすごくいいパーティーになって。DARUMAさんもMAARさんもすごく才能がありますし、面白い方々なので、大好きになりました。DUCK ROCKは、TOKYO FUN PARTYを共に運営しているSOCCERBOY から紹介されました。2組とも有名なDJですが、このアルバムを聴けば、彼らがプロダクションにおいても非凡な才能を持っていることがわかるでしょう。TOSHIYUKI YASUDAの音楽は、彼が田中さんとFANTASTIC PLASTIC MACHINE をやっていた時代から知っていました。彼のスタイル、特にロボティックなボーカルはとても好きです。
サンフランシスコの現代音楽家CARL STONEの参加には驚きました。彼の音楽のファンなのですか。
CARL STONEがどのように"DENSE"な"DANCE MUSIC"を解釈するのか、すごく興味があって。かなり昔から、彼の音楽は好きでした。非常に重要な作曲家で、いつも多くのことを学ばされます。
先日発売されたアナログ盤シングルについてお聞かせ下さい。
アナログ盤シングルは、クラブ仕様の『DENSE MUSIC』になりました。 DJフレンドリーな『DENSE MUSIC』もおもしろいかな、と。私自身すごく満足のいくものになりました。本アナログ盤のエクスクルーシブ・トラックとして、故郷パリからHYPO &EDH 、東京からTHE LOWBROWS 、SOCCERBOYの新作リミックスを収録予定しました。さらにアルバム本編から、DEXPISTOLS、DUCK ROCK、O.LAMM、JEAN NIPON、DONOVAN、MONDKOPF、TOSHIYUKI YASUDAによるリミックス…と、キラー・トラック盛りだくさんです!
そもそもフランス人のあなたが東京を活動の拠点にしているのは何故なのでしょうか。
東京に住もうと決める前から、日本には何度も来たことがありました。東京は、パリに比べて地理的にも大きく、音楽、クラブ、ファッション、アート等、より多様な「シーン」とのコネクションを持つことができる、インスピレーション豊富な街だと思います。 一方で、旅をするのも大好きで、今もちょうど1ヶ月ほどヨーロッパを巡って戻ってきたところです。今回の収穫はドイツのベルリンでした。みな親切ですし、すごく落ち着いた雰囲気で、かつ刺激も多い、とてもいい街でした。 現在は東京を活動の拠点にしていますが、関西も大好きです。大阪や京都にももっと行きたいなと思っています。
外国人のアナタから見て日本のミュージック・シーンはどのように映りますか。
私が改めて言うまでもなく、日本のミュージック・シーンは、すごく多様ですよね。そんな中で、私も、古いJ-POPから現代的なクラブ・ミュージックまで、努めていろいろな音楽を聴くようにしています。日本の音楽の特徴は、オリジナリティーとバランスを保ちながらも、ヨーロッパやアメリカ等の音楽からの影響や引用を恐れないところにあると思います。 ただ、今現在の日本のミュージック・シーンは変革の過渡期にあると思っています。ルーツをリフレッシュしている、とでも言いますか。残念ながら、真にオリジナルな音楽は少ないかもしれません。 これで終わらないのが日本のシーンだとも思います。そう遠くない将来、すばらしいアーティストがたくさん登場すると確信しています。TOKYO FUN PARTYからのリリースに注目していてください!
所属レーベルTOKYO FUN PARTYはどのようなレーベルなのでしょうか。
TOKYO FUN PARTYは、2003年(?2004年だったかなw)に、イベント・オーガナイズ団体として発足しました。おもしろみがあり、オリジナルなアーティストにフォーカスし、CORNELIUS やそのリミキサーを招聘したこと(「PM大会」)もありますし、DEXPISTOLSやHOME CUTというすばらしいDJに加え、山本ムーグや伊東篤宏、山川冬樹といったすばらしいアーティストが同じ舞台に立つイベント(「101 TOKYO FUN PARTY」)を企画したこともあります。常にバラエティ豊かでエキサイティング、ユニークなラインナップを心がけています。現在はレーベルも運営していて、私DIGIKIとチミドロが第1弾アーティストです。クラブ内外問わず、オリジナルな音楽、アートを発表できればと思っています。
とくに最近注目しているアーティストがいれば教えて下さい。
LIL’WAYNE のニュー・アルバムとミックス・テープはすごく好きです。声がユニークでクレイジーですよね。日本だと、昨年発表されたDJ CODOMO のニュー・アルバムはかなりのヘビー・ローテーションでした。他には、THE SMITHSやJOHNNY CASH等、古い音源もよく聴きます。ちなみに、MONDKOPFが手がけたJOHNNY CASHのリミックスは必聴ですよ。 他には、90年代のクラブ・ミュージックも遡って聴き直しています。特にCRYDAMOUREレーベルの音源は相当聴いています。超フレンチで超クラシック! これ以外にも、私がその時々で注目している音源は、私のPODCAST、POLYPUNK に毎月まとめているので、興味がありましたら聴いてみてください!
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