JET SET(J): まず、バンドのみなさんについて教えてください。メンバーは6人ということなんですが、どういう役割分担になるんですか?
CHI(C): ライヴでは、だいたいの担当パートは決まっていて、私はメインがドラムで、SAM DOOKがギター、JAMIE BELLがベース、ヴォーカリストはNINJAっていう女の子がいます。でも、曲によって担当楽器をバラバラに交代してます。ドラム・キットが2台あって、曲によってIANもドラム叩くし、SILKEっていうもう1人の女の子もドラムやるし、ゴチャゴチャと入れ替わってやるんですよ。
IAN(I): ラップトップとかサンプラーを駆使してやるか、生のバンドでやるか、2つの選択肢があるんだけど、やっぱりどっちかだけじゃなくて、サンプルも使って生演奏を重ねた方が面白いと思うんだ。特に変わったバンドのスタイルというつもりはなくて、どうやってアルバムの音楽を再現するか、そこに力をいれてるよ。
J : では、イアンさんのソロ・ユニットではなく、パーマネントな6人のメンバーによるバンドなんですか?
I : ライヴとアルバムは全然違うものだけど、アルバムの場合は、基本的に僕のセンスで全て決まってる。僕が一番好きな物を集めて、自分勝手にアレンジしてるんだ。ライヴは、メンバーみんなが僕より上手いプレイヤーだから、それぞれの才能を考えて、そのテクニックを活かすようにしてる。それぞれのスタイルがあるから、それをミックスしてライヴの音になるんだ。でも、それがバンドなのか何なのか、形態にはあまりこだわってないかな。
J : なるほど。では、アルバムはどのように作られているんでしょうか?こちらはサンプリングがメインですか?
I : 曲の基本的な部分は、ひとつのアイディアとかサンプルから始まって、かなり時間をかけてサンプルに合わせるものを探して加えていって作り上げていく。全部がサンプリングというわけじゃなくて、サンプリングをベースにして、そこに楽器を入れていくんだ。時間がかかるのは、サンプリング素材の使い方とか並べ方、そのサンプルの上でどうコードを入れて曲にしていくか、ということだね。たくさんのサンプルが入ってるから最初はバラバラなんだけど、イメージを頭に浮かべて、一体感をもった曲として生まれ変わるまで作業を続けるんだ。
C :いちばん最初はIANのソロ・プロジェクトだったんですよ。自分のベッド・ルームで1人で作ってて、2000年にはPICKELD EGGというレーベルから、GO! TEAM名義のデビュー・シングル(7インチ"GET IT TOGETHER")をリリースしてるんです。
I : そうだね。で、2004年になって初めてライブをやらないかっていうオファーがきたんだ。アルバムはほとんど完成してたから、サンプラーを使って1人でやるっていう手もあったんだけど、やっぱりバンドでやりたいな、と思って。それで知り合いのツテでメンバーを探して、今の5人と、それぞれ違う経緯で出会ったんだ。全員が初めて集まったのは去年の3月か4月で、それから練習して、7月にスウェーデンのフェスティバルで初めてのライヴをやったんだ。
J : では、GO! TEAM以前のIANさんの経歴を教えていただけますか?
I : ロンドンじゃないところで生まれて、ロンドンやマンチェスターなど色々なところに住んできたよ。音楽活動は、ドラマーとしてバンド活動をやってた。ノイジーなギター・バンドをやってたんだ。1999年にサンプラーを買って、1人で曲を作るようになった。普段の仕事は、アメリカのTV局のためのドキュメンタリー番組の制作をしてて、仕事が終わったら自宅で音楽を作ってたんだ。いろんなレーベルにデモ・テープを送ってて、2000年に小さなレーベルから7インチが出たんだけど、それきり。それで、アルバムを完成させてから、またデモ・テープを送ってみた。それがきっかけでMEMPHIS INDUSTRIESから連絡がきて、リリースが決まったんだ。
J : MEMPHIS INDUSTRIESは良いレーベルだと思うんですが、元々つながりがあったんですか?
I : いくつかのレーベルにデモを送って、ここから初めに連絡があったので、決めただけなんだ(笑)。特に知り合いっていうわけじゃないよ。
J : IANさんが影響を受けたバンドを教えてください。
I : MY BLOODY VALENTINE、SONIC YOUTH、SHELLAC、FUGAZI、BLONDE REDHEAD、PAVEMENTってところかな。ギターを変なチューニングにしてるバンドが好きだよ。
J : そういったノイジーなギター・バンド・サウンドと、ソウルや60年代ポップスなどのサンプリングの組み合わせ方が独特だと思うんですが、そのアイディアはどういったところから?
I : どれもこれも、僕が個人的に好きな物なんだ。SONIC YOUTHのディストートされたギターには緊張感があるよね。その緊張感は、70年代のアクション映画のカー・チェイスのシーンに似ていて、70年代のファンクのホーンやストリングスも感覚的に似ている。どれも全部エキサイティングだし面白いサウンドだから、全部使いたいって思うんだ。
J : ギター・バンド以外、ソウルやポップスなど過去の音楽のフェイヴァリットは?
I : RONETTESなどPHIL SPECTORの手がけたもの、DUSTY SPRINGFIELD、SHANGRI-LAS、CURTIS MAYFIELD、MARVIN GAYE、SLY & THE FAMILY STONE、JACKSON FIVE、といったあたりだね。
J : “JACKSON FIVE MEETS SONIC YOUTH”というキャッチ・コピーが有名なんですけど、これについてはどう思いました?
I : 実は、僕が自分で考えたんだよ(笑)両方を参考にしてるバンドとかいないから、こういう言い方すると面白いんじゃないかと思って。
J : サウンドからは、80年代のインディ・バンドの雰囲気も感じますが、その辺からの影響はありますか?
I : こじゃれたインディ・ポップみたいなのは回避したいんだけど、、、でも、そういったシーンから学んだのは、ボロかったり大雑把なサウンドでOKっていうか、カンペキじゃなくてもいいし、その方が面白いっていう発想かな。
J : ヒップホップや、その他のクラブ・ミュージックは聴きますか?ヒップホップだと、やはりオールド・スクールからミドル・スクールあたりがお好きですか?
I : 最近のヒップホップの、金と女みたいなのは興味がないけど、初期のヒップホップのブロック・パーティーのようなDIY精神でやってるのは大好きだよ。アーティストだと、TREACHEROUS THREE、ROXANNE SHANTE、PUBLIC ENEMYとかだね。
J : 今のイギリスのクラブ・ミュージックは聴いてますか?例えばFATBOY SLIMなんかにはどういう印象を?
I : 特定の曲で好きなのはあるけど、アーティストで良いと思う人はいないね。FATBOYは、チープなサウンドでサンプリングのカットアップとか限界までやりすぎてて、もう終わっちゃったんじゃないかと思うよ。
J : 聴くのはレコード派ですか?CD派ですか?
I : アナログの方が多いかな。アナログのノイズが好きなんだよね。雑音とか入ってても、それはそれで良い感じだよね。
J : 先ほどのお話では、今回のアルバム以降、ライヴ・バンドとしての活動が多くなっているようですが、次回のレコーディング作品では、もっと生演奏の割合が多くなるんでしょうか?
I : 曲のアイディアを考える時には、部屋にいるオーケストラってイメージじゃなくて、古いレコードがたくさん箱に入ってる、っていうイメージが好きなんだ。高級なのは好きじゃない。もし、ストリングスがほしいと思っても、どうやって作ればいいのかわからないからサンプリングを使うっていう面もあるしね。ただ、法律的、財政的には難しい面がある。クリアランスが大変なんだ。特にアメリカなんかではすぐ訴えられちゃうし、そこまでしてやりたがる人はあんまりいないんだろうけど、僕はやっぱり古いレコードの音が好きだから、こだわってやっていきたいね。ライヴに関しても、将来的にはブラス・セクションやストリングスとかも入れて生でやるかもしれないけど、今のところは6人でできるところは演奏して、できないところはサンプルでやっていくよ。
J : 今回のアルバムのサンプリング・クリアランスは?
I : うーん、今やってるところだよ(笑)今まではイギリスでもアンダーグラウンドだったから、まだOKだったんだけど、アメリカではメジャーで出すから厳しいんだよ。
J : 道徳的な問題として、サンプリングで曲を作ることに関してどうお考えですか?
I : もし誰かが、昔の他人の音楽を使って革新的な音楽を作り出すのなら、道徳的には問題ないと思う。でも、安易なサンプリングのループで売れ線狙いっていうはちょっとヒドいよね。僕は、今の段階では、これくらい払えば使って良いっていうのだったら、いくらでも払いたいよ。そのサンプルも曲の一部なわけだから、払って当然だと思うからね。
J : 最後に、うちのスタッフがみんな疑問に思ってたことなんですけど、ヴォーカルのNINJAさんのお名前は、日本の忍者から来てるんですか?
I : そうだよ(笑)本当はインカチーカって名前のナイジェリア人なんだけど、覚えられにくいから、ニックネームにしようってことになって、空手とか太極拳に興味があるから、ニンジャってつけたんだ。英語でも忍者はニンジャなんだよ(笑)