問答無用の生ける伝説バンド、ESG!もう、やや旧聞に属しますが、今年の夏には復活第2弾『KEEP ON MOVING』をリリースした彼女達。その際に、奇跡の初来日公演まで実現してしまいました。それが東京公演、大阪公演共に期待を超える素晴らしい内容だった!!と、皆が口を揃えて言うんですね。伝説などと呼ぶにはまだまだ早い、ってことを証明してしまったと。そんなライヴを見逃したら、もう一生後悔するしか無い訳で…、というか、筆者自身、諸事情あってライヴを見逃したんですが!
今回はリリースに合わせてこの夏に行なったメール・インタヴューで、GATE#07に掲載したものをWEBでも公開します。簡単な内容ではありますが、彼女らへのインタビューは、現状、日本語で読めるものはかなり少ないのではと思われますので、ちょっと貴重かも?
TEXT + INTERVIEW: EISHI KURODA(JET SET KYOTO)
ESGはどのようないきさつで結成されたのでしょうか?きちんと楽器を習っていたりしたことはあるのでしょうか?また結成当初、どんな音楽に影響を受けていたのでしょう?
バンドは私達がまだ子供だった70年代後半にできたの。私達は自分達でいろいろ覚えたのよ、母親も私達に楽器を買ってくれる余裕もほとんどなかったし。それから、私達は今も昔もほんとにJAMES BROWNの大ファンなの。当時もほんとよく彼の音楽を聞いてたわ。
あなた方はED BAHLMANに見出されて99 RECORDSからレコード・デビューしたという話ですが、コンテストに出場したESGに、彼だけが興味をもって声をかけたのですか?
そうよ。ED BAHLMANがそのコンテストのジャッジで私達を発見してくれた。でも実際のデビューはFACTORY RECORDSからだった。EDは自分の好きな音楽に正直な人で私はいつも彼のそんなところが好きだったわ。
多分99 RECORDSの他のアーティストは、UKのPOST PUNKのアーティスト達に多分に刺激を受けていたと思いますが、ESGに関してはもっと、なんと言うか天然の音楽に聞こえます。あなた方の99 RECORDSにおける立ち位置はどんなものだったのでしょうか?99 RECORDSのアーティスト達をはじめ、他のバンド達との交流はあったのでしょうか?
ブロンクスからNYのアングラ・シーンに出てきたとき、そういったバンドは耳にしたことがなかったの。ただ自分達の音楽を演奏してただけよ。99 RECORDSの他のアーティストとはどうだったかっていうと、今でもBUSH TETRAS(注1)とは鉢が合うの。彼らのことは好きで、私達が最初にシーンに出てきたとき、彼らはいつも親切で、よくしてくれたのよ。ほんとに感謝してるの。
あなた方はFACTORY RECORDSのTONY WILSONに出会い、MARTIN HANNETT(注2)のプロデュースの元、伝説的なレコード『ESG』をレコーディングしました。MARTIN HANNETTのプロデュースとはどのようなものでしたか?ESGの演奏もさることながら、あれがMARTIN HANNETの仕事だった、というのは非常に大きいと思うのですが。またその12"は、B面がHURRAHでのライヴ音源で構成されているのですが、こういった収録内容はあなた方のアイデアだったのしょうか?
MARTIN HANNETTはほんとに素晴らしいプロデューサーだったと思う。私達が録音したものを可能な限りクリアな状態で残してくれたからよ。私はあのレコードが私達の音楽性を決定付けたと思ってる。12"のライブ・バージョンはEDのアイデアで当時そういう話になってることも知らなかった。正直なところ、そっちはあまり好きじゃないのよ。
ESGはパンクのクラブでプレイしつつ、PARADICE GARAGEにも出演し、また黎明期だったヒップホップのDJにヘヴィー・プレイされたりと、現在では考えにくいクロスオーヴァーな状態が存在したと思うのですが、そういった当時の様子を教えていただけますか?
NYはいつも私達の音楽を受け入れてくれた。いつでも機会があればまたNYでライブをしたいわ。そうね、私達の音楽は本当に様々なシーンで聴かれてた。それが稀なケースだったとは思わないし、ただいろんな人が音楽を楽しんでくれたっていうことだと思う。
あなた方は、無断サンプリングに対しては厳しい態度を持っているようですが、実際のところ、自分達の窺い知れないところで無数のアーティストにサンプリングされているのではないかと思います。不正使用であろうとなかろうと、多くのアーティストにサンプリングされたことによってこそ、あなた方の作品がクラシックとなった、という側面もあるのではないかと思いますが、自ら演奏する、ということと、誰かが演奏したものを使用して自分なりの音楽を作る、ということの間に決定的な価値の差が存在するとお考えでしょうか?
私が思うに、やっぱりオリジナリティーを持つことは大変なことだと思うの。音楽はそのアーティスト自身の映し鏡で、だから人々には私達の音楽の断片を使ったりしてもらいたくないの。サンプリングで音楽を作るよりも楽器で作る方がずっと大変だと思うから。
ESGは姉妹バンドとして自立し成功しましたが、実は、たまたま姉妹だったという以上には、殊更フェニミスティックな印象は受けません。例えば、現在、ESGにはあなた方の娘さんも参加していますが、もし息子がいたら、または弟がいたらやはりメンバーだったかも知れないと思います。女性バンドだから注目されたという意識はありますか?現在の女性バンド達のイノヴェイター的存在と捉えられることに関してどう思われますか?
まず始めに、、、私には二人の兄弟と息子がいるのよ。でも姉妹にはやっぱり特別な繋がりがあるもので、同じように娘もね。私達は音楽で注目されたと思ってる。真相は知らないけど、後の女性バンドへ勇気を与えたとしたら、とてもうれしいわ。女性バンドとか、本当は性別によって区別されるべきじゃないって思うけど、でも一方でもし女性だけでグループを組もうと思うなら、「やってみなよ!」って強く思うの。
SOUL JAZZとは良い関係が続いているようですね。彼らは過去の埋もれた音源の優れた発掘者として知られています。ESGは、そのような再発が中心のSOUL JAZZから新作アルバムをリリースしている稀有なバンドな訳ですが、その後の新作のリリースも、ベスト盤リリースの流れで自然にSOUL JAZZからリリースしているのでしょうか?
私達が『SOUTH BRONX STORY』のコンピレーションをSOUL JAZZ RECORDSとやったとき、彼らに新曲もあるって話をしたの。彼らがまだ私達が曲を書いててレコーディングしてるってことに関心を持ってくれたことに感謝してるわ。私はSOUL JAZZから新作が出せて嬉しいのよ。彼らは所属アーティストに対してとても協力的だから。
今と昔の音楽性が異なっているのは当然だと思いますが、新作『KEEP ON MOVING』を聴くと、ややDUBの影響が強まったような感じを受けます。とはいえ、へヴィーでシンプルなファンクという基本路線には違いはありません。最近聴いている音楽や、刺激を受けたものはどんな物事でしょうか?やはりJAMES BROWNなどのファンク・ミュージックを愛聴しているのですか?
『KEEP ON MOVING』を書いているとき、日常の出来事にとてもインスパイアされたわ。最近聴いているものに関して言うと、あらゆる音楽ね。それとJAMES BROWNも今でもCDプレーヤーに入れてるわよ!

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注1:BUSH TETRAS
80年代初頭のNO NYを代表するバンドのひとつ。中心メンバーでリード・ギターのPAT PLACEはCONTORTIONSのオリジナル・メンバーでもある。80年に99 RECORDSより名作"TOO MANY CREEPS"でデビュー。81年にはFETISH、82年にはSTIFFからそれぞれ傑作EPリリースするが、それ以後の活動はESG同様に非常にマイペースである。
注2:MARTIN HANNETT
FACTORY LABEL創設者の一人。特にJOY DIVISIONのプロデュース・ワークで見せたシンプル極まりないアレンジのサウンドにリバーブをかけることで作り出す、密室的で暗くざらついたサウンドは以後のPOST PUNK、INDUSTRIALシーンに決定的な影響を与えた。