Dr.Looper / 2018-09-02

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RED LIGHT GREEN LIGHT

NEW JERSEY CONNECTION - RED LIGHT GREEN LIGHT

Super Disco Editsから、またしても未発表の絶品モダン・ブギーがリリース!

7" |  ¥2,300 |  SUPER DISCO EDITS (UK)  |  2022-12-08 [再]  | 
The New Jersey Connectionというグループ名を見て、(そういえばそんなグループがいたな)と自分のiTunes内を検索してみたら、ライブラリーに1曲だけ登録されていました。が、どうやって入手したのか、恥ずかしながら自分でも全く覚えていない次第。きっと90年代に買ったコンピレーション・アルバムにでも収録されていたのでしょう。ともあれ、後年コンピにも収録されたぐらいですから、彼らがCarnival Recordsにシングル1枚だけ(シングルのB面はカップリング曲ではなくインストなので、事実上1曲だけ)残した"Love Don't Come Easy"(1981年)は、当時ある程度のヒットにはなったようです。Eddie SaundersとKevin Marshallの双頭ユニットだったThe New Jersey Connectionは、その後Electric Smokeと名前を変え、同じくニュージャージーのレーベルBlue Recordsから、"Freak It Out"(1983年)という曲のシングルを1枚出しています。こちらはシンセ・ベースの効いたモダン・ファンク・チューン。どちらも佳曲だと思いますが、当時同じようなタイプのバンドが百花繚乱だったこともあり、バンドとして生き残るのが難しかったようです。本盤はそんなThe New Jersey Connectionが、1987年にCynthia Wilson(B-52'sの同名メンバーとは別人)を招いてレコーディングしたものの、結局未発表のままになっていた楽曲。マルチのデータが残っていたのでしょうか、音質も良く、ミックスも今風の80'sマナーの曲のように聴こえます。新しいようで、古いようで、新しい感じ。思わず2枚買いしてしまいました。
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SLEWFOOT 45S COLLECTION

NORMAN CONNORS - SLEWFOOT 45S COLLECTION

'70sジャズ・フュージョン大傑作に挙げられる1枚が2枚組み7"へと大変貌!!

2x7" |  ¥2,800 |  DYNAMITE CUTS (UK)  |  2023-02-16 [再]  | 
Norman Connorsといえば、Starship OrchestraやAquarian DreamやVitamin Eを送り出した名プロデューサーであり、代表的なソロ作といえば、Michael Hendersonを迎えた『You Are My Starship』(1976年)、という感じがしなくもないですが、それらの曲もきっとそのうち7インチで再発されるのでしょう。前回のLeo's Sunshippに続き、今回英Dynamite Cutsから十八番の2×7"フォーマットで届いたのがこちら。Norman Connorsは元々ジャズ・ドラマーであり、Archie SheppやPharoah Sandersと共に腕を磨いたのち、1972年に初のリーダー・アルバムをCobblestoneからリリース。初期の2作は完全にジャズでしたが、親レーベルのBuddahへ移籍して以降は徐々にイメージを変え、Jean Carn(元夫Doug Carnとの共作アルバムを名門Black Jazzに残した5オクターブの歌姫)を招いたデュエット曲、"Valantine Love"(1975年)で全米ソウル・チャートの10位を獲得。それ以降はスムース路線に大きく舵を切っていくことになります。本盤はちょうどそれらの狭間の時代である、1974年リリースの3枚目のアルバムから選曲されており、つまりはクロスオーヴァー・ジャズ期の音源縛りという感じに。高速ブラジリアン・ジャズ的な"Mother of the Future"では、Jean Carnのヴォーカルも前述の"Valantine Love"とは全く異なる表情を見せています。ところでこの2枚組、1枚めのベーシストは2曲ともAnthony Jacksonが、2枚めは2曲ともRon Carterが担当してたりもします。Norman Connorsの叩くリズムに、2人がそれぞれどのように対峙しているか、そのあたりに注目して聴き比べても面白いかもしれません。
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CHARLIE'S THEME / HUMPTY DUMPTY

JIMI ENTLEY / PLACEBO - CHARLIE'S THEME / HUMPTY DUMPTY

J Dillaネタのサイケ/ジャズ・ファンク~レアグルーヴ・クラシックをカップリング!!

7" |  ¥1,900 |  SOLO 500 (USA)  |  2020-03-12 [再]  | 
中高生の頃はどっぷりとテクノ・ポップにハマっていた自分が、Marc Moulinの存在を初めて知ったのはTelexでした。メンバーが細野晴臣さんのファンだったという縁もあり、氏がプロデュースした越美晴さんのアルバム『Tutu』では、彼女がTelexの"L'Amour Toujours"をカヴァーしています。さらに同時期、良質な音楽レーベルCrepsculeの存在を知った自分は、そのときに(ベルギーものは決して侮れないな)と強く肝に銘じた次第です。そしてその後どっぷりとレアグルーヴにハマった訳ですが、それから十数年後にPlaceboのアルバムの制作クレジットの中で、Marc Moulinの名前を見つけることになります。(これってTelexのMarc Moulinかな?いや、まさか・・・)というのも、"Moscow Disco"のお気楽なテクノ・ポップ感と、硬派なジャズファンクの作風とが、どうしても結びつかなかったのです。ところが、どちらも同じ人物の手による音楽だと知り、大いに驚かされたのでした。YMOの後に『泰安洋行』を聴いた人が受ける衝撃に近いかもしれません。その後、取り憑かれたようにMarc Moulin関連のレコードを買い求め、名盤『Sam' Suffy』に関してはオリジナル盤も30周年盤も40周年盤も購入。この先、何年盤が出ようと全部買うであろう、そのぐらい大好きなアルバムです。そしてPlaceboといえば、3枚のアルバムの中でも『Ball of Eyes』こそが最高傑作だと断言します。全編素晴らしいアルバムですが、中でもマキ君(Maki the Magic)も使った"Humpty Dumpty"が抜きん出ていると思います。とまあ、B面だけについてずいぶん長々と書いてしまい大変失礼いたしました。USのSolo500という謎のレーベルから。
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THE FUNK IS ON / SING SING

INSTANT FUNK / GAZ - THE FUNK IS ON / SING SING

SalsoulのB-Boyディスコ・ファンク・クラシックをKenny Dopeが再発!!

7" |  ¥1,500 |  SALSOUL (USA)  |  2018-09-03 [再]  | 
今月も『Ultimate Breaks Beats(以下UBB)』関連盤をご紹介。本盤B面は、Syl Johnson"Different Strokes"やDynamic Corvettes"Funky Music Is the Thing"などと一緒に、UBB4番(通称:『赤』)に収録されていました。WhoSampled調べによると140もの曲にて使用されているクラシック・ブレイク。リストアップされた140曲をつらつらと眺めていたところ、The Internetの"Roll(Burbank Funk)"みたいな現行の楽曲に混ざって、Tim Dog"Fuck Compton"(1991年)なんて懐かしいタイトルを見つけてしまい、(え?使ってたっけ?)と思わず聴き直してみると確かに曲の中盤で使われていた、という。こういう再発見の楽しさこそが、自分にとって音楽を聴くことの醍醐味なのかもしれない、なんて思ったり。さて。UBB収録曲のオリジナル7インチ盤の中には、残念ながら肝心のブレイクがカットされている曲もちらほらありまして。例えばJuiceの"Catch A Groove"とか。ご多分に漏れずGazの"Sing Sing"も実はオリジナル7インチ盤にはブレイクが入っていません。その点こちらはKenny Dopeによるリエディットですので、7インチながらブレイクもばっちり入っています。ということで、ぜひ。
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KITES ARE FUN (50TH ANNIVERSARY)

FREE DESIGN - KITES ARE FUN (50TH ANNIVERSARY)

【Record Store Day限定盤】ソフトロック大名盤の50周年記念エディション!

LP |  ¥2,950 |  LIGHT IN THE ATTIC (USA)  |  2017-11-27  | 
20代の頃はヒップホップのサンプリング・ネタになるようなソウル、ファンク、ジャズなどを掘りつつ聴きつつも、一方でソフト・ロック(アメリカでの呼称「サンシャイン・ポップ」の方が好みですが、ここでは分かりやすくソフト・ロックと書いておきます)も好んで聴いていました。今思うと我ながらまとまりのない音楽趣向ですが、驚くことに後になってそのまとまりのない音楽趣向は全て、世の中的には「渋谷系」という扱いに集約されていくのでした。ソフト・ロックはまず最初にハーモニーありきで、リズム隊の方はスカスカのイメージがありますが、ポコポコとしたキック・ドラムの音が何気にCTIの音(つまりはRudy Van Gelderの音)に近かったり、以前の再生機器のせいでスカスカ聴こえているだけで、実はけっこうふくよかな低音が楽しめたり。意外な共通点や新発見があって楽しかった記憶があります。本盤は自分が聴いてきたソフト・ロックの中でも、特にお気に入りの一枚。Chris Dedrickを中心としたDedrick5兄妹で結成されたFree Designのデビュー・アルバム(1967年)で、ビルボード33位のヒットとなりました。ちなみに彼らの叔父であるRusty Dedrickは、かつてClaude Thornhill Orchestraのトランペッターだったそうで。つまりは、2人ともMiles DavisとMartin Dennyの源流を担った叔父を持つサラブレッドたち、ということになります。針を落とした瞬間、1曲目の"Kites Are Fun"のハーモニーの美しさに打ちのめされると同時に、「凧揚げは楽しい」と屈託なく歌う潔さに目から鱗が落ちました。当時の自分はメッセージ性の強いラップ音楽を本流で聴く傍ら、ソフト・ロックならこんな他愛もないメッセージですら、音楽としてちゃんと成立するんだなぁなどと感心しつつ、音楽表現とはいったい何なんだろう、と考え込んでしまったことを思い出します。

Dr.Looper

Profile

1979年よりレコードを買い始め、その魅力に取り憑かれたまま今に至る。1990年から1998年までRHYMESTERに参加。現在はROCK-Tee(ex.East End)とL-R STEREOとして活動中。

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