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Phil Most Chill特集 - [2019-04-15]

コネチカット州に生まれ育ち、そこからペンシルベニア州ハリスバーグを経由して、フィリー、ライミングやレコード収集、デモ音源の制作を開始、自身のユニットDevastating TwoやBaritone Tiploveなど様々な名義で、CuttingやEasy Street、そしてIn Effectから12"シングルをリリースしていた、SoulmanことPhill Most Chill。

90年代には、彼自身が旬のヒップホップ・タレントにインタビューする短編漫画コーナー、"True Urban Funnies"の連載を『Rap Sheet』誌にて開始、特にPete Rockへのインタビューでは、彼がサンプリングで使用したネタ盤を多数フォーカスして評判を集め、そのことが彼の名物マンスリー・コラム、"Soulman's World of Beats"誕生のきっかけとなったそうです。

90年代の中盤から後期に掛けて、彼は生計を立てるため一旦ラップ・ゲームの第一線からは去りましたが、その一方で、1995〜1996年にNYのルーズヴェルト・ホテルやマーク・ボールルームで開催された、ソウル/ディスコのレコード・コンヴェンション会場にて、ドラム・ブレイク・コレクターやプロデューサー達に対して、彼の秘蔵盤の販売を開始したり、内容のみならずドープなアートワークにも注目を集めたビートテープ・シリーズ、『Archaeologists Classics』を量産したりと、ラップ以外の活動を続けていた事実は、ここ日本ではあまり知られていませんでした。

しばらくは地道な活動を続けていた彼ですが、00年代前半のランダム・ラップ人気再燃と、トップ・コレクター'Tall' Mattを擁するUSボストンのTraffic Ent.や、UKのハード・ディガー集団Diggers With Gratitudeクルーによる関連音源の発掘リリースと、それらに対する再評価やリアクションの大きさを通じて、2010年代に入るとラッパーとしても完全復活、以降のリリースの量産ぶりや客演仕事の多さについては、既にご存じの通りです。今回はヒップホップ40年選手とも言える彼の、本格復帰以降のリリースや関連作を取りまとめてみました。

Text by Masaaki Matsuura（JET SET Tokyo）