オールタイムベストをお訊きしました!第6回: Emerald - [2019-05-04]
作品を制作して世に出すアーティストの方々が、リスナーとして愛聴しているのは他のアーティストのどの作品なのか、ファンならずとも気になるところです。そこで始まったこの企画、「オールタイムベストをお訊きしました!」。
第6回目は5月8日にバンド初のアナログ作品となる7インチ・シングル「ムーンライト」をリリースするEmeraldの皆さんです。
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元PaperBagLunchboxの中野陽介を擁する6人組バンド、Emerald。ジャズやソウル、AORなどを礎とした芳醇なポップ・ミュージックを展開し、楽曲の完成度はもちろん、自主レーベルの立ち上げや、過去作品のアナログ化を目指すクラウドファンディングを行うなど、徹底したバンド美学を追求する独自の活動も注目を集めています。 今年のRecord Store Day翌日にJET SET下北沢店で行われたインストア・イベントに出演いただいた際にも、甘い歌声と心地よいメロディーで観客を魅了していました。 今回、ミニ・アルバム『On Your Mind』('18年)より、スウィートな和製ネオ・ソウル・チューン「ムーンライト」と、シティポップx現行R&Bのモードが融合された「東京」の7インチ化が決定。バンドにとって待望の初アナログ・リリースとなった今作の解説と、メンバーそれぞれのオールタイムベスト作品を伺いました。
text by Mai Sugisawa(JET SET Tokyo)
JET SET:今回7インチ化された2曲はそれぞれどのような楽曲でしょうか。
中野:「ムーンライト」はEmerald史上最もポップで聴きやすい歌謡曲です。ゴージャスだけどそれぞれの楽器の音色を崩さず収めつつ歌を届けることができたと思います。 「東京」はたくさんの人が集まる街のレイヤーを上手に表現できた曲だと思います。怪しげで、きらびやかで、繊細でセクシーなサウンドニュアンスと、大胆だけどぴったしハマるタイトルがとても気に入っています。
JET SET:Emeraldの音楽は都会的で洗練されたサウンドが印象的ですが、楽曲制作をするうえでどのような点を意識されていますか?
藤井:最近のEmeraldは、外に向けて発信して多くの人に聞いてもらいたいという意識が強いので、とにかくポップに作り上げることを意識しています。あとは、デモを作る時やアレンジ検討時によく頭の中で考えていることは、どのような景色やどのような場面でこの曲が流れたら素敵な雰囲気になるかなー??なんてことを色々想像しながら作ることが多いです。
JET SET:今回が初のアナログ作品となりますが、実際に完成したレコードを見ていかがでしょうか?
中野:思っていた以上にテンションが上がりました。改めて聴くとその音の違いが全く別物で、もっと深掘りしてDJなんかもやってみたり、いい音響で聴き比べしたりしたいなと思うようになりました。
JET SET:今後の活動について教えてください!
中野:クラウドファンディングで過去作のアナログ化企画を進めています。同時に、5月18日に渋谷の複数のライブハウスで行われる「CINRA CROSSING CARNIVAL’19」という大きなイベントに向けての仕込みをしていきます。このイベントでEmeraldは木暮晋也さんやHAKASE-SUNといった面々を迎えて、敬愛するFishmansのカバーを演奏する予定です。また去年に続き「やついFES」への参戦や京都法輪寺で行われる「CORONA SUNSET SESSIONS」、久しぶりの名古屋遠征などもあって、しばらくはライブ活動が忙しくなりそうです。でも新しい曲も作っていきたいですね。夏には「One Music Camp」などのフェスへの出演も決まっていて、しばらくはバンド三昧な日々が続きそうで、とても嬉しいです。マイペースに活動しながらも、こうして少しずつ広がりを見せていけるのは感謝ですね。とても珍しいバンドだと思います、笑。これからもよろしくお願いします。
オールタイムベスト by Emerald
1.Marvin Gaye / What's Going On (HMV RECORD SHOP) LP デトロイトでマスタリングされていた別音源がアナログ・リリース!!
何度聴いてもやられます。彼の作品の中でも随一、宙を舞うような浮遊感とトリップ感があるような気がします。(中野)
MARVIN GAYE
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WHAT'S GOING ON (ORIGINAL DETROIT MIX)
2.Oasis / Be Here Now (CREATION) LP
どの曲も尺が長いのを忘れさせる。成熟期の手前の良いところが詰まってる気がします。
少しダラっとしたアレンジで聞く場所を選ばずぶち上がります。(中野)
3.Bill Evans / Waltz for Debby (DOL) LP
オールタイムベストというテーマに対して、すぐに頭に浮かんだのが『Walts for Debby』でした。 夭折の天才Scott LaFaroの遺作となった、Bill Evans大名盤!!
10年以上聴き続けている作品でもあり、この先も聴き続けるだろうなと思える作品です。
ドキュメンタリー映画も公開されるとのことでとても楽しみにしています。(磯野)
BILL EVANS TRIO
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WALTZ FOR DEBBY (180G)
4.Herbie Hancock / River The Joni Letters (VERVE) 2LP
Herbie HancockがJoni Mitchellをトリビュートした作品。
第50回グラミー賞『アルバム・オブ・ザ ・イヤー』受賞作品でもあり、まぎれもなくオールタイムベストでしょう(笑)
Herbie Hancock自身の作品じゃないからこそ、細かいプレイの節々に個性を強く感じるなと思います。
実はHerbie Hancockのおすすめ作品は?って聞かられたらこの作品をまず紹介したい。(もちろん、ほかにもたくさんある
けども)個人的にはCorinne Bailey Raeが歌うRiverが好き。これアナログで欲しい・・・。(磯野)
HERBIE HANCOCK - RIVER : THE JONI LETTERS
Joni Mitchellの楽曲を取り上げた'07年のトリビュート作!!
5.Miceteeth / Meeting (P-VINE) CD
楽曲では「ゴメンネベティ」が一番ですが、CD全体の作品としてはこの作品です。明るい曲も暗い曲 ほんとにデタミ直系★ヤング・オーセンティック・スカ大すいせん!!!
も、例外なく非常にノスタルジーであり、そして歌を含めた全ての楽器の音が物凄くメロディアスで
、いつ聴いても楽曲の世界観に引きずり込まれます。(智之)
MICETEETH
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MEETING
6.Fishmans / 8月の現状 (POLYDOR) 2LP
自分の人生の色々な部分を決定付けたFishmansの中で、このライブ盤が特に凄さを感じる一枚だと思います。
全てが申し分ないですが、中でも"Season"という曲が、最もポップで感情を揺さ振られる曲だ と勝手に思っています。(智之)
7.Get Up kids / Something to write home about (DOGHOUSE) LP
10代の頃、深夜の音楽番組で流れていたAction & Action のMVを見て一目惚れ。 当時メロコアばか
り聞いていた自分にとっては、シンセの音が入っていることが新鮮で、あのリフのフレーズと音色は
非常に影響を受けています。 改めてMV見直してみたんですが、あのシンセはmoogだったんですね。 。。20年の時を超えてもっと好きになりました(笑)。(健司)
8.Ovall / Don’t care who knows that (Origami Productions) CD
初めて聴いた時は本当に衝撃でした。当時の自分はまだ知らなかった装いの音楽で、当時食い入るよ
うに聴いていたのをよく覚えてます。逞しいのにチルがあって、ひんやりしてるけど優しい。今もそ
の時の感触は色褪せないです。(健司)
9.Dave Matthews Band / Crash (Bama Rags) 2LP
20年経っても色褪せない名盤、無人島に持って行きたい1枚。(高木)
10.Blink182 / Take Off Your Pants & Jacket (UNIVERSAL) LP 無敵の快進撃を続けるBLINK 182、2001年の名作アルバム、祝・祝・アナログ化!!!
アルバム全ての楽曲のドラムフィルが秀逸、ドラムという楽器の面白さを教えてくれた1枚。(高木)
BLINK 182
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TAKE OFF YOUR PANTS AND JACKET
11.Thelonious Monk / Solo Monk (COLUMBIA) LP モンク代表作にして屈指の大名盤!!
自分のリファレンスとしていつも大事に聴いてる作品です。(中村)
THELONIOUS MONK
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SOLO MONK
12.Joni Mitchell / Blue (WARNER) LP Joni Mitchellの最高傑作として名高い'71年の名作『Blue』が重量盤リイシュー!!
凛とした気持ちになれる1枚。落ちてる時や煮詰まった時なんかによく聴いてリセットしてます。(中村)
JONI MITCHELL
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BLUE (180G)
『ムーンライト / 東京』の制作に影響を与えた・よく聴いていた作品
1.Jorja Smith / Lost & Found (FAMM) LP
言葉の壁を超えて届く歌の手触りやニュアンスをここから多く学んだ気がします。(中野)
JORJA SMITH - LOST & FOUND
DrakeやSkrillexも絶賛のUK出身のR&BシンガーJorja Smithの大傑作デビュー・アルバム!
2.FKJ / French Kiwi Juice (ROCHE MUSIQUE) 2LP
キーボードやマニピュレーターなどの音でアンサンブルが満たされている中で Roche Musiqueを代表するアーティスト、待望のファースト・アルバム!!
ギターの存在感がしっかり際立つ作品をたくさん聴ききました。
その中で特に自分のプレイスタイルと近く、影響を受けたのがこの作品だったかなと思います。(磯野)
FKJ
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FRENCH KIWI JUICE
3.Mac DeMarco / This Old Dog (CAPTURED TRACKS) LP
意識してどれをよく聞いていた、などはありませんが、振り返るとこのアルバムをよく聞いていたと 超待望の4th.フル・アルバム。こちらは通常盤ブラック・ヴァイナル!!
思います。特に「東京」はここからインスピレーションを受けていると感じます。(智之)
MAC DEMARCO
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THIS OLD DOG (BLACK VINYL)
4.KAYTRANADA / 99.9% (XL) 2LP
みんなが作ったベーシックの隙間に何かを縫いこんで豊かにしたいと考えてた時に、ふとこのアルバムを聴いて、フレーズ感のきっかけをつかめたように思います。 最注目ビートメイカーKaytoranadaのデビュー作が2LPで登場。
さりげなく入ってくる音が、さりげなくも印象的。(健司)
KAYTRANADA
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99.9%
5.Anderson Paak / Malibu (EMPIRE) 2LP
「東京」のドラムのニュアンスは結構ここから影響を受けたと思います。(高木) あのDr.Dreの耳を捕らえた10年に1人の才能。2ndアルバムが待望の2LP化です!
ANDERSON .PAAK
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MALIBU
6.Lianne La Havas / Blood (WARNER) LP
優しくて華があって未だに新しさも感じる、素敵な作品です。(中村) 全英初登場2位を獲得した2nd.アルバム!!
LIANNE LA HAVAS
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BLOOD
[プロフィール]
Emerald is 'Band'。Pop music発 Black Music経由 Billboard/Blue Note行。 2011年結成。
ジャズ、ネオソウル、AORといったジャンルを軸にした楽曲群に、ボーカル中野陽介の持つジャパニーズポップスの文脈が加わったそのサウンドは、
新しいポップミュージックの形を提示する。
2017年リリースの2ndアルバムがSpotifyプレイリストにピックアップされるなど、各方面から高い評価を受ける。
2018年12月にはミニアルバム『On Your Mind』をリリースし、リードトラック「ムーンライト」がラジオ各局でパワープレイに選出。
さらに、2018年1月にbonobos、11月にbohemianvoodoo、2019年4月にはものんくるを招きWWWにて自主企画を開催。いずれも大盛況となる。
2019年は都内主要サーキットフェスに加え、野外フェスへの出演も決定。
[予約受付中]
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アーバン・ポップ・バンド、Emeraldによる極上メロウな名曲ダブルサイダー!