オールタイムベストをお訊きしました!第10回: Mom - [2019-09-27]
作品を制作して世に出すアーティストの方々が、リスナーとして愛聴しているのは他のアーティストのどの作品なのか、ファンならずとも気になるところです。そこで始まったこの企画、「オールタイムベストをお訊きしました!」。
第10回目は10月9日に最新アルバム『Detox』から「Boys and Girls / ひみつのふたり」の7インチ・リリースを控えたMomさんです。
-------------
すべてのトラックをGarageBandで制作しアートワークやMVまで自身で手掛けるなどDIYな手法で、カラフルでポップな世界観を展開する新世代アーティスト、Mom(マム)。ヒップホップ、ロック、シンセ・ポップ、渋谷系、映画etc様々なジャンルとカルチャーを混ぜこぜにしたミクスチャーな感性と、一度聴くと頭から離れないキャッチーなメロディを併せ持ったサウンドで人気を集めています。
初のアナログ作品となる今作は、'19年5月にリリースされた2ndアルバム『Detox』からのシングル・カットです。本人が出演したAppleのキャンペーン・ムービー「Macの向こうから - Mom」のために書き下ろした楽曲"Boys and Girls"と、シニカルな歌詞とファニーなサウンドの対比が秀逸なポップ・ナンバー「ひみつのふたり」をカップリング。 今回はオールタイム・ベストに加え、楽曲やMVの制作エピソードについても語っていただきました。
text by Mai Sugisawa(JET SET Tokyo)
JET SET: "Boys and Girls"と「ひみつのふたり」、それぞれの曲の制作のきっかけやテーマを教えてください。
Mom: アルバムの中でも意識的にポジティブなエネルギーを注ぎ込んだ2曲です。今が退屈でも別に構わないけど未来には少なからず期待していたい、なんてひょろっとした希望を歌っている点はどちらも共通していると思います。
JET SET:トラックはもちろん、名フレーズ連発の耳に残る歌詞が印象的な2曲ですね。
Mom: 2曲ともに生々しさや言葉の鮮度みたいなところは意識しました。特に"Boys and Girls"はじっくりと選び取ったリリックと閃きや勢いで乗せたリリックが上手く溶け合っていると思います。
JET SET:ユニークで物語性のあるMVも話題となっていますが、MV制作時のエピソードを教えてください。
Mom: "Boys and Girls"はグリーンバックでの撮影が主でしたが、身体を張ったシーンが多かったので、常に運動不足の自分には結構ハードでした。「ひみつのふたり」では初のワンカット撮影を行いました。ひとつひとつのアクションや表情が自然に映るよう、なるべくアドリブを多く入れるよう注力しました。
JET SET: 今回初めてアナログレコードで作品をリリースすることになりましたが、「レコード」についてはどのような印象がありますか?
Mom: 僕自身はCDで音楽を聴いてきた人間なのですが、サブスクを利用するようになってからはアートワークやクレジットをじっくりと眺めながら曲を楽しむという機会はめっきりなくなっていました。アナログレコードはそういったフィジカルへの情熱を再燃させてくれるようなアイテムになり得ると思います。乗じてまずは機器を揃えたいです。
JET SET: 今後の活動について教えてください。
Mom: 初の自主企画『look forward to science』を3公演連続で行います。新たな音源の制作にも既に取り掛かっています。引き続きSNSやオフィシャルサイトをチェックしてもらえるとありがたいです。
オールタイムベスト by Mom
1.Chance The Rapper / Acid Rap (2LP) -
初めて聞いた時に「俺がやりたいのはこれだ!」と思いました。芋づる式にミックステープを漁り、ヒップホップという複合的なカルチャーに骨抜きにされてしまいました。
CHANCE THE RAPPER - ACID RAP (THE COLLECTOR’S EDITION) (PINK VINYL)
Chano出世作となる2ndミクステ・アルバムがカラー盤仕様の2LPで再リリース。
2.A Tribe Called Quest / The Low End Theory (2LP) JIVE
本作のみならずニュースクール、ミドルスクール期のヒップホップにおいて"黄昏感"は重大な隠れ要素だと思います。とてもいい香りがします。
A TRIBE CALLED QUEST - THE LOW END THEORY
ヒップホップ好きを自称するのなら、避けては通れない91年の2ndアルバム!!
3.Nine Inch Nails / The Fragile (3LP) Nothing
"La Mer"という曲が特に大好きで、夢の中で流れるくらい聴きました。Trent Reznorの弾くピアノは常に素晴らしいです。次点は『Year Zero』だったりします。
4.Radiohead / OK Computer (3LP+TAPE+2BOOK BOX) XL
僕にとってJohnny Greenwoodは最初のギターヒーローでした。テレキャスターも彼の使用していたモデルに近いものを購入しました。一曲目"Airbag"のイントロからは無邪気で強烈な夏の場面が想起されます。
RADIOHEAD - OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017 (LTD BOX)
初出デモ音源カセット、ブックレット、初公開アート作品を収めた完全限定ボックス!!
5.Clipse / Lord Willin' (7×7") GET ON DOWN
Neptunesの絶妙な肩の抜き方、捻くれ方、ナード感はずっとずっと憧れです。彼らのプロデュース作品の中ではこれがダントツで好きです。
CLIPSE - LORD WILLIN' (BOX SET)
2002年リリース、Clipseのデビュー作が7x7"の豪華ボックス・セットで登場!
6.D'angelo / Voodoo (2LP) MODERN CLASSICS RECORDINGS
表面は冷んやりとしているけど中は沸々と湯がたぎっているみたいな。超アチアチです。エリカバドゥの『Mama's Gun』、コモンの『Like Water For Chocolate』も同じくらい聴きました。
D'ANGELO - VOODOO
奇跡的な完成度のクラシック・アルバムが正規再発! こちらは通常盤!
7.CIBO MATTO / Viva La! Woman (LP) WARNER
ジェットセットラジオというセガのゲームで"Birthday Cake"が使用されており、そこで初めて存在を知りました。強い必然性をもって集まったような極上のサンプリングソースをはちゃめちゃに弄んでいるようなラップが最高です。
8.小沢健二 / LIFE (LP) EASTWORLD
雄大でロマンチック、同時に猛烈な寂しさを内在しているところが大好きです。
9.宇多田ヒカル / Heart Station (CD) EASTWORLD
パーソナルな内容を歌っているのに聴き心地は外向きでとてもひらけた印象があり、そのバランス感覚が本当に素晴らしいと思います。
10.Frank Ocean / Blonde (2LP) -
この世で一番好きなアルバムです。
FRANK OCEAN - BLONDE - DELUXE - (YELLOW MARBLE VINYL)
ボートラとしてA$AP Rocky、Jay Z、Tyler, The Creator参加曲を追加収録。
『Boys and Girls / ひみつのふたり』の制作に影響を与えた・よく聴いていた作品
1.井上陽水 / 氷の世界 (LP) POLYDOR
『Detox』制作時は日本のフォーキーな作品を好んで聴いていました。
2.Elliott Smith / XO (LP) PLAIN
動きこそ少ないですが、的確で純度の高いメロディを紡いでいる感じが大好きです。
ELLIOTT SMITH - XO
メジャー・デビューとなった傑作3RDアルバム!!!必携盤です!!!
3.Puma Blue / Blood Loss (12") BLUE FLOWERS MUSIC
Jeff Buckleyを思わせる耽美な歌い回しやぼんやりとしたソングライティングが昨今のR&Bと無理なく溶け込んでいて素晴らしいです。
PUMA BLUE - BLOOD LOSS
2018年11月発表の最新EPにして現時点での最高傑作。限定アナログがまさかの再入荷!!
4.JPEGMAFIA / Veteran (LP) DEATHBOMB ARC
フロウもビートメイクも猟奇的でぶっ飛んでます。
5.冥丁 / 怪談 (MP3) -
タイトルの通り、日本の実話怪談的なじっとりとした恐怖と緊張感があります。
[プロフィール]
シンガーソングライター/トラックメイカー。現役大学生の22歳。 様々なジャンルやカルチャーを混ぜこぜにした、手触り感のある独自のジャンル『クラフト・ヒップホップ』を提唱。アートワークやMusic Videoの企画も自身でこなし、隅々にまで感度の高さを覗かせる。 すべてのトラックをGarageBandで制作しているにもかかわらず、一度聴くと頭の中を支配する楽曲たちには、サウンド構築の緻密さや、あくまでポップスフィールドからはみ出ないメロディセンスが光る。
【Mom自主企画シリーズ】
2019.10.21(月) 渋谷O-nest『look forward to science 2』
日時:2019年10月21日(月) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:渋谷O-nest 出演:Mom / TOKYO HEALTH CLUB / xiangyu TICKET:前売券 ¥2,500 (1D別)
2019.12.13(金) Veats Shibuya『look forward to science 3』
日時:2019年12月13日(金) OPEN 18:45 / START 19:30
会場:Veats Shibuya 出演:Mom / + GUEST ACT
TICKET:前売券 ¥3,000 (税別 / 1D別)
Momオフィシャルサイト:https://www.mom-official.jp/
[予約受付中]
MOM - BOYS AND GIRLS
ベッドルームポップ世代の天才DIYポップメイカー、Momの初アナログ作品!!