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追悼、Betty Wright - [2020-05-21]

60年以上のキャリアを誇り、マイアミ・ソウルの女王としても謳われた、女性ソウル・シンガーBetty Wrightが、先日5月10日に癌のため亡くなったとの訃報が届きました。享年66歳でした。

サザン・ソウルの影響を受けながらも、カリブのカリプソやレゲエ〜スカのリズムなどを取り入れマイアミ特有の空気感を持った楽曲に、彼女の持ち味でもある力強いヴォーカルを絡めた数々の楽曲で、多くのソウル・ファンを魅了してきたミュージシャンのひとりでした。

家族で結成したゴスペル・グループで歌いはじめことをきっかけに幼き頃よりキャリアをスタートさせ、 12歳の時に地元のレコード屋での偶然の出会いからWillie Clarkを紹介され、弱冠13歳でデビューを果たしたというエピソードを持つ、奇跡のシンデレラ・ガールとしても知られるBetty Wright。

'68年の15歳のときにリリースしたデビュー・アルバム収録の"Girls Can't Do What The Guys Do"のヒットを機に実質的なスタートを切り、'72年の17歳の時にリリースされた"Clean Up Woman"が、リリースするやいなやビルボードの「Hot 100」で6位、「R&Bチャート」で2位を獲得し一躍彼女の名前を知らしめることとなりました。彼女の代表曲ともいえるこの楽曲は後に、 Mary J. Bligeyや小沢健二がサンプリングしたことでも幅広く知られるようになりました。

'70年代半ばには、グラミー賞にて「最優秀R&B楽曲賞」を受賞した'75年リリースの楽曲"Where Is the Love"や、'78年の"Tonight Is The Night"などのヒットを生み出し、ソウル・シンガーとしての地位を確固たるものとして確立していきました。

'80年代に入ってからも自身のレーベルMs. Bを設立し、人気ナンバー"No Pain (No Gain)"を生み出し、'00年代にはJoss Stoneとの共同プロデュース作品のリリースや、'10年代に入ってはThe Rootsとのジョイント・アルバムのリリースなど、時代とともに変動するミュージシャンや音楽シーンとも確実に呼応しながら数々の足跡、功績を残してきたソウル・シンガーだったではないでしょうか。

心よりご冥福をお祈り致します。

Text by Hideaki Tamura (JET SET Tokyo)