Artist Comment

その場に行けば、音楽を通したアレコレを原理的な形で提供してくれる。
DJイベントやライブの際は、UREIを通したそのふくよかで瑞々しい音像に多様な音楽が肯定される。
BAR営業の際は、ささやかに流れているBGMが気になりすぎて会話を中断するかよく悩んでしまう。
妥協なきマイペースで作り上げられた、仙台アンダーグラウンド中継地・DJ's BAR WAON（和音）。
同じ事の繰り返しよりも変化への順応力にその強さをみせてきた和音が、身動きもままならない状況下で店の運営を続けるために選んだ選択肢は、やはり原理的な音楽の提供でした。
日本を代表する在仙2DJ'sによる和音にて開催しているパーティーの名を冠したMIX CDが本作品。
DJ Mu-Rサイドは、重厚・ダビーな蒸気で分厚い雲が空を覆いつくす。その雲の中には不思議と優しさが満ち溢れている。
KAMATANサイドは、柔らかくメロウな光を分厚い雲から差し込むことで一層の眩さを際立たせる。その光には鋭さが張り巡らされている。
自分自身の解釈を深めていく事が本来的な「更新」だとすれば、その「更新」を続けて行く事こそが「自立」に繋がるのだと思う。
どんなにキャリアを積もうが、どんなにコレクションを増やそうが、「更新」と「自立」が少しでも見えてこなければ味気ないと感じてしまう。
音を姿勢で示す事は難しくもあるが、はっきりとその姿勢が見える瞬間もある。
このMIXを聴いてそんな事を考えていた。
大きな後ろ盾・資本を要せず、自力と自然に育まれたコミュニティで形成されたファニーな空間にて、まだまだ様々な瞬間を噛み締めたい、、、と思っていますよ、カトキさん。

this place could much brighter than tomorrow

2020.06.28
text : DJ Casin