追悼 45 King - [2023-10-28]
45 Kingの訃報がSNSを駆け巡ったのは、先日10月19日のこと。享年62歳だそうです。ここ数年体調を崩して入退院を繰り返しており、救済のためのドネーション活動などを通じて、彼の健康面がそうした危機的な状況にあるのを窺い知ることはできましたが、予想よりも早く訪れた別れに対して、ヒップホップの大物たちが続々と哀悼の意を示しています。
NYブロンクス出身で、後にニュージャージーに引っ越したのち、80年代半ばにDJとビート・メイキングを始めた青年Mark Howard James。知られざる45s(7"シングル盤)を使用してビートを作る自身のスタイルからDJ Mark the 45 Kingを名乗り、その数年後の1987年には、Marva Whitney"Unwind Yourself"のバリトン・サックスのフレーズを、AKAI S900の12ビット・サンプリング・ドラムに乗せてループさせた、ヒップホップ・インスト・ビーツ永遠の定番曲、"The 900 Numbers"をリリースします。
その評判を元に、同じく1987年にTuff Cityレーベルと契約、以降"The 900 Numbers"はTuff Cityから幾度となく再リリースされることになりますが、それもあって同曲はヒップホップのDJ達の間ですっかり定番化したのでした。UKマンチェスター出身のターンテーブリスト、Chad Jacksonのヒット曲"Hear the Drummer (Get Wicked)"(1990年)や、ワシントン・ゴーゴーのタレントで後にAV8諸作でも重宝される声の持ち主、DJ Koolの"Let Me Clear My Throat"(1996年)といった使用例のあり方からも、"The 900 Numbers"が90年代を通じていかに愛されていたかがよく分かると思います。
Tuff Cityと契約後、Chill Rob GやLakim Shabazz、Apache、そしてQueen Latifahといった仲間のラッパー達とThe Flavor Unitを結成、それぞれのプロデュースを手掛けるうちに、Tommy Boyとソロ契約したQueen Latifahのデビュー作『All Hail the Queen』(1989年)が大当たりして、45 King自身もプロデューサーとして高い評価を受けるに至ります。
ノリにノッていた45 Kingですが、1990年代初頭にはクラック中毒が原因でメジャー仕事の全てを失ってしまいます。ただ、その間もビートの制作自体は地道に続けており、後に定番化する『Lost Breakbeats』や『Breakapalooza』といったシリーズ物のリリースをその時期に連発、Tuff Cityレーベルの顔としてそのいぶし銀の存在感を放ち続けていたのでした。
そんな45 Kingが再びメジャー・フィールドで脚光を浴びることになったのは、1998年のことでした。彼を「ヒップホップ・ビジネスの真のパイオニア」と呼んでリスペクトするJay-Zからのオファーに対し、彼はブロードウェイ・ミュージカル『Annie』のオリジナル・キャスト・アルバムの、あの印象的なコーラスを使用したビートを提供します。そうして誕生したのが、あの"Hard Knock Life (Ghetto Anthem)"という特大ヒット曲です。
"Hard Knock Life"での成功を経て自身の新境地を拓いた45 Kingは、同じく1998年公開の映画『Sliding Doors』の劇中曲であるDido"Thank You"のコーラス・フレーズを耳にして、それをそのままサンプリングしたビートを作成します。そしてそのデモ音源をInterscopeに送ったところ、その音源をいたく気に入った一人の白人ラッパーの曲のインストとして採用されることとなりました。そうして生まれたのがEminemの"Stan"だったのです。
Tuff Cityから離れた2000年以降も、その時々のR&Bヒットを45 King印のサンプリング・ドラムでボトムアップしたリミックスを量産しながら、自主で300枚限定の7"シングルをカットして自身のDJで使用したりと、マイペースながらも現役感のある活動を続けていた45 King。そんな彼の早過ぎる死に際して、まず真っ先にコメントを出したのは、かのDJ Premierでした。
1987年にKool DJ Red Alertが98.7 Kiss FMでプレイしていた、"Bust a Move Boy"(45 Kingプロデュースの2nd.シングル『Believe Dat!』のB面曲)を耳にするまで、DJ PremierはGang Starr、そして個性的な声を持つGuruというラッパーの存在を全く知らなかったそうです。その足でレコード屋に行き『Believe Dat!』の12"シングルを手にした彼は、発売元であるWild Pitchというレーベルに興味を持ちました。そこで、ヒューストン在住の友人Carlos Garzaを介して、Wild Pitchのレーベル・オーナーStu Fineと繋がることに成功。その流れで、当時後任のDJ兼常任プロデューサーを探していたGuruらとも知り合うことになりますが、GuruとDJ Premierのデュオとして再始動した、新生Gang Starrのそれ以降の快進撃については、もはや説明が要らないでしょう。
つまりDJ Premierにとって45 Kingとは、彼のその後のキャリアに多大なる影響を及ぼしたキーパーソンであり、ひいては90'sヒップホップ最大の特徴でもあるブーンバップ・サウンドの扉を開いた最重要人物でもあった、と言えるのではないでしょうか。
心からご冥福をお祈りします。
Text by Masaaki Matsuura (JET SET Tokyo)
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