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Dr.Looper / 2017-08-04
1
JOHNNY PATE / ARCHIE SHEPP - SHAFT IN AFRICA / BLUES FOR BROTHER GEORGE JACKSON
DJ JIN(Rhymester)氏セレクトによるレアグルーヴ・クラシック7"が登場!!
先月ここに書いたRhymester『リスペクト』のエピソードを先日DJ Jinに会った時に確認したら、「まったく覚えてなかったです!ダハハ!」と豪快に笑っておりました。そのDJ Jinが選曲してリリースされた、7インチ2枚のうちの片方がこちら。どちらもA面は『Ultimate Breaks & Beats』収録曲という間違いないセレクト。The Jackson 5"It's Great To Be Here"は、正規盤としては世界初7インチ化。一方の本盤"Shaft In Africa"は、オリジナルの7インチがスペイン盤オンリーの入手困難盤。DJ Jinに聞くところによると、B面のArchie Shepp"Blues For Brother George Jackson"の方に意外な拘りが。というのも、この曲のシングル・バージョンの音源をアメリカから取り寄せたところ、アウトロがフェイド・アウトだったらしく、アルバムと同じ「かき回し」エンディングを希望したJinの意向で、日本盤LPマスター音源を使用したそうです。だから今後仮に海外のレーベルから同曲の再発盤が出たとしても、この盤に収録されたエンディングのようにはならないだろう、とのこと。確かにLPヴァージョンでは次曲のナレーションまで聴くことが出来ます。さてこれらのマスターピースをDJ Jinはどう繋いでいるのか?本盤と同時発売されるミックスCD、『Music Journey #02』にてぜひご確認を。
2
LIQUID LIQUID / ESG - CAVERN / U.F.O.
ヒップホップ定番ネタをカップリング再発するDeath Breaks第6弾!!
正規盤としては世界初7インチ化、とお伝えした上述の"It's Great To Be Here"ですが、実はアンオフィシャルでは2011年に一度7インチ化されていたりします。出元はUSのDeath Breaksという謎レーベル。まあつまりは白盤なのでしょうが、このレーベルも意外と侮れないラインナップの再発を続けております。この曲しかり、現在では中古相場で12インチも7インチも高騰しているBilly Squier"The Big Beat"もしかり。で、その第6弾がこちら。両面とも『Ultimate Breaks & Beats』に収録の、いずれも同じレーベルからリリースされていた曲。そう、1980年代のニューヨークのニューウェイヴ~ポスト・パンク~アヴァンギャルド系シーンを支えたインディ・レーベル、99 Recordsの音源であります。気になるのはこちらが初の7インチ化となる"U.F.O."で、これは本来45rpmのところを敢えて33rpmにピッチダウンした上で『Ultimate Breaks & Beats』に収録されていましたが(そんなので権利関係がクリア出来るの?という謎な話だったりもしますが)、本盤でもそのピッチダウン済みのヴァージョンで収録されています。それにしても、発売から早や30年以上経つのに今だに影響力のある『Ultimate Breaks & Beats』の凄さたるや。もしかしたら(サンプリング・ベースの)ヒップ・ホップ・ミュージックは、いつまで経っても『Ultimate Breaks & Beats』の呪縛から逃れることは出来ないのか?まさに「お釈迦様の手の上の孫悟空」状態です。
3
ULTIMATE FORCE / ALBERT KING - I'M NOT PLAYING / COLD FEET
Albert Kingのファンク・チューンとそれをサンプリングしたヒップホップ・クラシックを収録!
かのDiamond Dが在籍、1989年にシングルを1枚出しただけのグループ。しかしそのシングル・カットされた曲は、今もなおクラシックとしてヒップホップ史において燦然と輝き続け、2017年になった現在でもこうして7インチとして再発されるのでした。ノイジーなギターのネタ使いはその後のDJ Muggsプロデュースの楽曲群を想起させるし(彼はロック・ギター・ネタを好んだ)、半小節とか1小節のフレーズではなく、ギターの単音をフリップさせたネタ使いは、その後のDJ Premierプロデュース曲のビートを思い出させたりもします。つまり、その後のロック的なヒップホップにもファンク的なヒップホップへも繋がった、エポック・メイキング的な曲だった、とも考察できます。更にいうと、ネタがAlbert Kingというのも出来すぎた話で、本来ブルース畑であるはずのAlbert Kingフォロワーが、そこからロック方面やファンク方面へと繋がっていった、かつて経緯をなぞっているような気がしてなりません。そしてこの曲はOrganized Konfusion(Pharoahe Monchが在籍したユニット。彼らの1stアルバムも間違いなくクラシックです)や、Raw Fusion(かの2 Pacも参加)が所属、DJ Shadowキャリア初期のメガミックス古典"Lesson 4"をリリースしたことでも知られるレーベル、Hollywood Basicの総帥David "Funken" Klein(1995年に31歳で死去)のモスト・フェイバリット曲としても有名でした。そういえば、2007年に突如リリースされたUltimate Forceの未発表曲集は、予想を遥かに上回る好内容でしたね。決して"I'm Not Playing"だけのグループではなかったわけです。
4
RAW SOUL EXPRESS - BEST KEPT SECRET
Jazzmanも再発したレア・グルーヴ・クラシックの未発表ヴァージョン収録!!
1976年にT.K. Productions傘下のCat(でも設立はT.K.より古い)から1枚だけアルバムを残した、Raw Soul Expressの未発表曲集がUKのAthens Of The NorthからまさかのLP化。さすがJazzmanの遺伝子を継ぐレーベルだけあって、その発掘スキルには毎回驚かされます。以前ここでも紹介しましたが、発売後あっという間に店頭から姿を消したEarth Wind & Fire"Brazilian Rhyme (Extended Mix)"を7インチ化したのもやはりこのレーベルでした。さて本盤のプロデューサーも、既発アルバムと同様にGeorge "Chocolate" Perry(Bobby CaldwellやLittle Beaverのベーシスト兼、Chocolateclayの片割れでもあり、Gwen McCrae"Rockin' Chair"のプロデューサーとしても知られています)だったようです。どうも1977年あたりに録音されていたらしい本盤ですが、軽快なファンクを聴かせる冒頭の(A1)や、ナイス・メロウの(B1)など、(なぜこれが御蔵入り?)と思わず唸ってしまうほどの完成度の高さを誇りますが、注目はやはりシングル・オンリーのリリースだったThe Way We Liveの未発表ヴァージョン("Full Unreleased Version")ということになるでしょう。オリジナルは3分37秒でしたが、ここではなんと6分オーバー。1981年リリースのNiteflyteの2nd.にも通ずる(でもヴォーカルの粘っこさはRaw Soul Expressの方が上だと思いますが)最高の清涼感。ドゥルルゥ。
5
HARUOMI HOSONO / SHIGERU SUZUKI / TATSURO YAMASHITA - PACIFIC
南太平洋の美しい海をテーマに、細野晴臣、鈴木茂、山下達郎が書き下ろし作品を提供したリゾート・ポップ・インスト超名作!!
1978年発売、ジャケ写は浅井慎平。見ての通り「リゾート・ミュージック」がテーマのコンピレーション・アルバム。当時の細野晴臣はLinda Carriere(アメリカに帰国後Dynastyに参加)のプロデュース作品がお蔵入りしてしまい、続くプロジェクトの『イエロー・マジック・オーケストラ』という名称こそ出来ていたものの、その実像を模索していた最中の時期。本盤でも特異に聴こえる"Comic Surfin"(YMOが後にカヴァー)では坂本龍一が「手弾きシーケンサー」(本人談)を披露しています。一方、山下達郎は『It's A Poppin' Time』発売直後の貪欲時代。本盤中の白眉といえる"Kiska"では、「コーラスのパートナーとしては声質、ピッチ、リズム感、どれをとっても最高レベルだった」(山下達郎談)、吉田美奈子とのコーラスを聴くことが出来ます。ちなみに発売元のCBSソニーは、本盤以降も『NEW YORK』、『エーゲ海』、『Island Music』と、シリーズ化したアルバムをリリース。そしてその流れは坂本龍一の名盤『サマー・ナーヴス』(Linda Carriereのアルバムに収録予定だった細野晴臣作曲の"Neuronian Network"カヴァー入り)へと繋がっていきます。本盤オリジナル発売の4日後に、大瀧詠一『多羅尾伴内楽團 Vol.2』が発売されていることも興味深い。つまりは、元はっぴいえんど一派からのフュージョン・ブームに対するカウンターだったのでしょう。「技巧だけがフュージョンではない時代」を象徴する1枚。
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