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Dr.Looper / 2017-11-28
1
GARY BARTZ - GENTLE SMILES / MUSIC IS MY SANCTUARY
ヒップホップ・ネタとしてもおなじみのジャジー・メロウ・ソウル名曲2曲が7"再発!!
薄々気づいてはいたものの、調べてみたらやはり凄かった。A&M、Island、Def Jam、Mercury、Polydor、MCA、Motown、Geffen、Capitol、Blue Note、Apple、Fantasy、Concord、Verve、impulse!、GRP、Casablanca、などなど。実はこれらすべて現在Universal Musicが所有しているレーベルなのです。これらの膨大な音源を所有するだけでなく、きちんとアナログ盤再発にも力を入れるという頼もしい姿勢から察するに、Universal Japanには明らかに「わかってらっしゃる」スタッフ(噂では女性のようです)がいらっしゃるようで。Muro君セレクトのRoy Ayers UbiquityとRampのカップリング盤や、DJ Jinセレクトの"Shaft In Africa"も記憶に新しいですが、サバービア橋本さんとユニバーサウンズ尾川さんがタッグを組んだEXTRAVAGANZA!からも、素晴らしい再発盤が届きました。A Tribe Called Quest"Butter"で使われた清涼系ジャズ"Gentle Smiles (Saxy)"が初7インチ化、さらにB面"Music Is My Sanctuary"はSky Hi Productions屈指の名曲。しかもアルバム・ヴァージョンと違いイントロがフェード・インで始まらない、というところもわかってらっしゃる仕様。もちろんジャケットも最高。ぜひ。
2
JB’S & BOBBY BYRD - SHAKE YOUR MONEY MAKER
JB"Sex Machine"セッションのアウトテイク音源をリエディット!!
本チャートで4月にご紹介したDJ Soopasoulによるエディット7インチ盤。その後も精力的にリリースを続けていて、今回登場したのは早くもそのシリーズの第6弾。今回は何と"Sex Machine"のアウトテイクをリエディット。DJ Soopasoulについて調べてみると、どうやらマンチェスター出身のようで、1980年代後半にはDMCにも参戦し、90年代にはCaveman(!)やChicaneに楽曲トラックを盗まれ、さらにそれらがヒットするという憂き目に遭ったものの、プロデュース・チームVision Mastersの一員としてKylie Minogueをヴォーカルに招いた"Keep on Pumpin' It"をクラブ・ヒットさせています。つまりは酸いも甘いも嗅ぎ分けた、かなりのベテランということ。道理でさすがの選曲。どうやら次のリエディットのネタは"It's just Begun"のようで、そちらも実に楽しみであります。それにしても、いつの時代に聴いても思わず身体が動いてしまうJames Brownの格好良さと言ったら。JBの前では流行り廃りは関係ない。バブルガム・ブラザーズではないですが、「やっぱJB」ですね。
3
METERS - LOOK-KA PY PY
New Orleans Funk'70・神様仏様ミーターズ様2作目コレ"Funky Miracle"大名盤!!
2003年、かねてから憧れていたニュー・オーリンズの地に初めて降り立ったのですが、夢にまで見たラテン・クオーターで、御当地のセカンドライン・ファンクをたらふく堪能できるかと思いきや、そこで演奏していたのは観光客相手の縦ノリのロック・バンドばかりで途方に暮れてしまったことを良く覚えております。仕方なくレコ屋ばかり回っていましたが、あの大量のレコード達が2005年にカトリーナの被害で全て流されてしまった、というのはやはり残念でなりません。もっと買っておけば良かった。何を書きたかったかというと、今や現地でも堪能しづらい、天然記念物的なニューオーリンズ・ファンクの最重要バンドというと、やはりThe Metersということになるのではないか、という話。ヴォーカルが少ないし、スネアのキレ(ヘッドとリムを同時に叩くとああいう音になるそうです)も良いし、レコードも入手しやすかったので、ヒップホップ黎明期から頻繁にサンプリングされてきました。特にBomb Squad(Public Enemyのプロダクション・チーム)が好んで使用していたことが広く知られていますね。しかし90年代半ばになると、音は良いけどクセが強く、曲のノリの全てを持って行ってしまうため、あるいは先人たちが散々サンプリングして使用していたため、トラックメイカー達は使うのをためらいがちでした。そこから10年ほど経過して、その状況に風穴を開けたと言えるのが、本盤収録曲"Oh, Calcutta!"を大胆にサンプリングした、AmerieとRich Harrisonによる2005年のヒット曲"1 Thing"だった気がします。あれは衝撃的でした。その手があったか・・・まさにコロンブスの卵。そろそろもう一度全作品を聴き直してみようかな、なんて思っております。
4
JUICE / FUZZY HASKING - CATCH A GROOVE / FUZZ & DA BOOG
ブレイク・クラシックのファンクをリエディットするBreaks & Beats第3弾!!
今回1枚もUBB関連盤を紹介しないというのも寂しいので、こちらでも。本盤A面"Catch A Groove"は、Beastie Boys"Posse in Effect"(1986年)など、古くから数え切れないほどサンプリングされており、Wilson Pickett"Get Me Back on Time, Engine Number 9"(漫画で爆笑だぁ!)や、Funkadelic"You'll Like It Too"(I Know You Got Soul)あたりと並んで、UBBでは2番(通称黄色)に収録されています。Greedy Recordsから出ているオリジナル7インチは、あろうことかブレイクがカットされている、大変マニア泣かせなシングルでした(つまりUBBに収録されているのは12インチバージョンの方)。それが今回めでたく7インチ化、しかもこのレーベル・デザインの仕様ときたら、これはもう買わないわけにはいかないでしょう。以前Big Bird And His Blowers"Sesame Street"とのカップリングで出た7インチ盤ともヴァージョン違いであり、冒頭からちゃんとドラム・ブレイク入り、というのも嬉しい限り。ちなみに本盤B面は、こちらも定番ブレイクのFuzzy Haskins"The Fuz And Da Boog"(甘いワナ)で、こちらは白盤も含めておそらく初7インチ化だと思われます。
5
ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS - S.T.
ソフトロック超名盤のスペシャル7インチ・ボックスが登場!!
今でこそソフト・ロックの大名盤という扱いを受けていますが、本アルバムが日本で初めて広く知られたのは、1987年に日本発で世界初CD化された時であり、まだフリーソウルもサバービアも無かった時代の話でした。それが今からちょうど30年前。季節も今に近く、寒かった頃だと記憶しています。当時はA&Mの権利をPony Canyonが持っていて、80タイトルものアルバムが一気にCD化。その中にA&MのAことHerb Alpertや、拙い英語をウィスパー・ヴォイスで歌う元祖ヘタウマClaudine Longet(早瀬優香子、カヒミ・カリィ、やくしまるえつこの源流と書いたら書きすぎでしょうか)に混じり、ひっそりと送り出されたのが本盤でした。当時監修した長門芳郎によれば、氏がかつて営んでいたレコード店Pied Piper House(パイド・パイパー・ハウス)でのLPの売れ行きの良さから勝機を感じ、城戸真亜子さんがジャケットを描いたThe Paradeのアルバム等と一緒に、めでたく世界初CD化となったようです。実際に売れたかどうかはさておき、少なくとも1987年のCD化によって、本アルバムの素晴らしさが青山の骨董通り一帯のみならず、広く世間に知れ渡ったのでした。かくいう自分もそれによって知ることが出来た一人。CDを再生した瞬間に、スピーカーから流れたハーモニーの虜になったわけです。ただ残念だったのは、当時のCDの音質の問題もあり、低音域がほぼスカスカに聴こえたこと。四半世紀後にオリジナル7インチ盤で聴いたら、その豊かな低音域に驚いたのでした。そういえば小西康陽さんが本盤の各国7インチ盤を買い集め、アルバムの曲順通りにDJしたのに、フロアの誰も反応しなかった、という寂しいエピソードもありましたっけ。兎にも角にもこの7インチ再発は素晴らしい。と同時に、例えば私の娘のように、本アルバムを初めて聴いたフォーマットがLPでもCDでもなく7インチ・シングル、なんて世代を妬ましくも思ってしまうわけです。こちらもUniversal Musicから。
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