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Dr.Looper / 2018-05-02
1
ISAAC HAYES - HUNG UP ON MY BABY
ヒップホップ・ネタでもあるIsaac Hayesのメロウ・インスト名曲をリエディット!
いきなり昔の話で申し訳ないのですが、1990年代前半の東京では、本曲が収録されたサントラ盤『Tough Guys』ですら入手するのがなかなか難しかった気がします。あのレンガまみれのレコードを自分が初めて手にしたのは、渋谷東急ハンズ向かいの、ドトールコーヒーが入っているビルの地下にあった頃のDance Music Recordsで、カット盤のデッドストックでした。家に帰りすぐに針を落とすと、聴き覚えのあるこの曲のフレーズが。Geto Boys"Mind Playing Tricks on Me"ネタであると同時に、当時ECDがライブで2枚使いしていた印象が強く残っています。実際に使いやすそうな曲でしたが、既にECDが使っていたというのもあり、そのままサンプリングするのを諦めたことをよく覚えています。さて、ECDはこの2枚使いでどの曲を演っていたんだっけ?今回この原稿を書くにあたって、ECDの初期のアルバム数枚を聴き直しましたが、結局分かりませんでした。「ECDの"東京っていい街だなぁ"」だったような気もするのですが、恥ずかしながら、どうも記憶が定かではない次第。ネットで調べてみましたが、まったく手がかりはありませんでした。でも、確かにこの曲の2枚使いでECDはラップをしていたのです。これを読んでいる誰か、覚えていませんか?ご本人亡き今、事の詳細を覚えているのはツボイ君しかいないかもしれませんけど。
2
LEROY HUTSON - LUCKY FELLOW (DISCO FREAKS EDIT)
レアグルーヴ/フリーソウルとしても人気の名曲のリエディット7"がリリース!!
これといったヒット曲がない、と書いたら冷たすぎるでしょうか。でも自分にとってLeroy Hutsonは、ニュー・ソウル・ムーヴメントの一端を担った数多くの才能あふれるソング・ライター達の中でも特別な存在。Impressionsの前任者であり、お師匠さん的な存在のCurtis Mayfieldほど情熱的でもないし、政治的メッセージ性も弱く(ニュー・ソウルのキーワードは「公民権運動」と「普遍的な愛」だったと思います)、大学時代のルームメイトだったDonny Hathawayほどキリスト教や白人音楽への歩み寄りは少なく、もちろんMarvin Gayeほどのカリスマ性や官能性もなく、実に中庸なイメージのLeroy Hutsonですが、楽曲の流麗さ(もちろんシカゴ仕込みの弦使い、そしてパーカッションのアレンジ)や完成度の高さは、本人の歌声の繊細さと相まって唯一無二の世界観を感じさせてくれると思います。ですのでここは思い切って、Curtis MayfieldよりもDonny HathawayよりもMarvin Gayeよりも、自分はLeroy Hutsonが好きだと書いておきます。本当に最高。本盤は名曲"Lucky Fellow"のリエディットと、"Don't It Make You Feel Good"という組み合わせで、去年突如として出た未発表曲"Positive Forces"と同様に、発売元は英Acid Jazz。ちなみに現在Leroy Hutsonの楽曲の権利を所有するのはAcid Jazzなんですね。さすがお目が高い。
3
LONNIE LISTON SMITH & THE COSMIC ECHOES - EXPANSIONS / A CHANCE FOR PEACE (180G)
【Record Store Day限定盤】ジャズ・ファンク~レアグル・クラシックス!!
今月も『Ultimate Breaks & Beats(以下UBB)』関連盤をご紹介。どちらも鍵盤奏者なのでLonnie Smithと混同されがちなLonnie Liston Smithは、きっとデビューが後からだったのでListonというミドル・ネームを付けたのでしょうけど、実はLonnie Smithより2つ年上だったりします。なんといってもStetsasonic"Talkin' All That Jazz"ネタの印象が強い本曲は、UBBではThe Emotions"Blind Alley"(Big Daddy Kane"Ain't No Half-Steppin"!)や、Tom Scott"Sneakin' In The Back"(リム・ショットのドラムブレイクは珍しいので重宝した方も多いかと)などと共にUBB24番、通称「拳」に収録されています。さて。Lonnie Liston Smithは、Art BlakeyやMiles Davisといった巨人たちのバックバンドでの活動を通じて薫陶を受け、共にPharoah Sandersのバックを務めた縁で、Cecil McBee(本曲の印象的なベースも彼です)らと初のリーダーグループLonnie Liston Smith and the Cosmic Echoesを結成。そして3年後の1976年に、本曲が収録されている3枚目のアルバムを発表しました。しかし当時は商業的には芳しくなかったようで、昔からレア盤として扱われていた1枚でした。Acid Jazzブーム期のUKでも評判が高く、1993年に世界で初めてアナログで再発したのは、実は日本のBMGでした。当時は、秘蔵のサンプリング・ネタ盤がコンピや再発によって次々と世の中に知れ渡っていくことを快く思っていない人も多かったようで、渋谷WAVEでイシさん(DJ Krush)と偶然お会いした際に、「こんなのまで再発されちゃったねえ」と苦笑いしながら指差されたのが、他でもないこの"Expansions"でした。愛想半分で同調しつつも、実はまだオリジナル盤を持っていなかった当時の自分は、そっとその再発盤を買ったのですが、そのやり取りをまるで昨日のことのように良く覚えています。
4
V.A. - PRAISE POEMS VOLUME 6
激レア・ファンク/ソウルを収録した、Trampの人気コンピーレーション第6弾!!
ところで貴方はDon McCaslinをご存知でしょうか。同名のサックス奏者もいるようですが、ここでは1926年にシアトル南部のタコマに生まれ、サンホセで育ったDon McCaslinの話を。大学卒業後は15年間高校教師を務めたものの、音楽を生業とする夢を捨てられず1970年にサンタクルーズへ移住。レストランのお抱えバンドとしてステージに上がり、90歳を超えた今も現役でプレイし続けていると聞きます。ピアノやヴァイブ、ギターなど演奏し、Warmth(このネイミングで彼の人柄がお分かり頂けるはず)というバンド名義で、計4枚のアルバムを残しています。もちろん(と書くと失礼ですが)商業的成功とは縁遠いミュージシャン。でも、音楽が大好きで収入は度外視で、毎日真摯に演奏を続けることに喜びを感じている彼に対して、否定的な思いなど湧くはずもなく。むしろ眩しさを感じるしかないわけで。中でも独Trampが7インチ再発した名曲"Praise Poems"は、Michael Franks(そういえば彼もアメリカ文学博士号を取得し、UCLAで働いていたアカデミシャンでしたね)のような繊細なヴォーカルと、Steve Kuhnのような儚い楽曲の融合はとにかく最高。人生の最後に聴きたくなるような音楽。そして、その曲名を冠したコンピレーション(Warmthの"Praise Poems"はvol.1に収録)は、タイトル通り繊細さや儚さを大切にした曲ばかりの素晴らしい内容で、世の中にはまだ知らないこんな上質な曲があったのか、と毎回驚かされてしまうわけです。そのシリーズ6枚目が本盤。繊細な曲の数々を、ここは是非ヴォリューム控えめで聴いていただきたいと思います。
5
松原みき - 真夜中のドア
【Record Store Day限定盤】究極の80'sジャパニーズ・ライト・メロウ~シティポップ・クラシックが初12インチ化!!
1959年生まれということは、山下久美子や中原めいこと同い年ということになります。ドラムス林立夫、ベース後藤次利という鉄壁のリズム隊の本曲は売上枚数は10万枚を超え、松原みきにとって最大のヒット曲となりました。作・編曲を手がけたのは、ごぞんじ林哲司。そして林哲司といえば、同時期(3か月前)に発売され、こちらも10万枚を超えるヒットとなった、竹内まりや"September"の作曲と編曲も手掛けています。どことなく似ているこの2曲、どちらも70年代AORの影響を感じさせる美しい楽曲で、自分の中では双子の姉妹曲のような印象があります。デビュー曲のヒットに恵まれた松原みきは、80年代後半までシングルを出し続け(10枚目のシングル曲"Paradise Beach"は細野晴臣が作曲)、時にはスージー松原名義で『Gu-Guガンモ』のテーマ曲「ガンモ・ドキッ!」なんて楽曲も発表。1990年代からは作曲家として裏方に回り、2004年に惜しくも亡くなってしまった訳ですが、彼女が残した数多くの楽曲の中で1曲を選ぶとなると、やはり本曲ということになるでしょうか。SONYウォークマンが発売された1979年に発表された本曲は、パンプスに真っ赤なルージュ、髪を後ろで結んだ女の子が、インベーダー・ゲームに夢中になる彼氏の横で、退屈そうにカンパリソーダを飲んでいる、そんなイメージ。清楚系女子大生の竹内まりやとは対照的とも言える、元気で快活な松原みき。日本の安定成長期を真空パックしたような本曲の、2003年の再発の際に作られた"Stay With Me Original club mix Mixed by D.O.I"が、15年越しに再び12インチ化されました。実はIncognitoのBlueyが手がけたリミックスというものもあるのですが、そちらは次回のお楽しみに、ということでしょうか。
Dr.Looper Chart
2020-03-15
2020-02-08
2020-01-20
2019-12-07
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2019-10-07
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2019-08-06
2019-07-04
2019-06-03
2019-05-01
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2019-03-04
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