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Dr.Looper / 2018-08-05
1
LEO'S SUNSHIPP - 45S COLLECTION
いつの時代も語り継がれる伝説のソウル・アンセムが2枚組み7"へと姿を変え電撃リリース!!
近年の7インチブームに呼応するかのように、2017年から精力的に再発7インチをリリースしている英Dynamite Cutsですが、これまでのJames Mason、Mighty Ryders、Skull Snaps、100%Pure Poisonなど、文句なしのレアグルーヴ名盤に続いて、遂に登場したのが本盤。しかも7インチ2枚組。もちろん"Give Me the Sunshine"、そしてMarlena ShawやAl Johnsonもカヴァーした(特にAl Johnsonのヴァージョンは最高)"I'm Back for More"、さらにTavaresがカヴァーした(これも最高)"Madame Butterfly"も収録されております。やたらと「最高」を連発してると叱られそうですが、本当に「最高」なので仕方がないわけで。さて。メンバー全員が獅子座、という共通点からLeo's Sunshippと名乗った彼ら3人のうち、最も著名なのはKenneth Stoverということになるでしょうか。兄弟や従兄弟とともに1960年代にMotownと契約、Marvin GayeやDiana Rossのバック・コーラスや、時にはソング・ライティングの手伝いも("You're the Man"や"Let's Get It on"は共同執筆)。1970年代中盤にJohnny SimoneとAlvin FewとともにLeo's Sunshippを結成。アルバム・レコーディングを済ませたのですが、癌を患ったSimoneの逝去によりグループは空中分解。Stoverは翌年にFinished Touchに参加することになります。Leo's Sunshipp唯一のアルバムは当然プレス枚数も少なく、知る人ぞ知る名盤でしたが、アルバム発売から18年後の1996年に英Expansionが再発LP化。それ以降は今に至るまで、レアグルーヴ名盤として君臨し続けている次第です。もしかしたら、ExpansionとDynamite Cutsとの間にはなにやら深い関係があるのかもしれません。なんて思ったり。
2
RANCE ALLEN GROUP - REASON TO SURVIVE
フリー・ソウル/レア・グルーヴ名曲"Reason To Survive"が7"再発!!
音楽教育をろくに受けていなかったにもかかわらず、耳コピだけで創作活動を始めたという、驚くべき経歴の持ち主The Mizell Brothers(以下ミゼル兄弟)は、もともとはMotownのソング・ライティング・チームの一員であり、そんな彼らの最初期のレコーディングは、Jackson 5の"I Want You Back"(1969年)だったそう。そしてそのMotownといえば、ミゼル兄弟がプロデュースしたものの御蔵入りとなっていた、Marvin Gaye"Where Are We Going?"が2014年に12インチ化、追って2016年に7インチ化されたのも記憶に新しいところです。1970年代初頭にカリフォルニアに拠点を移したミゼル兄弟ですが、ARP Soloist、Maestro Rhytm King、4トラックレコーダーなどで作った彼らのデモ曲を聴いたDonald Byrdが、アルバム『Black Byrd』の制作の際にプロデューサーとして彼らを招聘。その大ヒットでプロデューサーとしての地位を確立したミゼル兄弟は、Sky High Productionの名義で精力的に制作活動を始め、1973年から75年のわずか2年間のあいだに、5つのレーベルから9枚のアルバムを送り出しました。本盤はGary Bartzの名アルバム『Music Is My Sanctuary』と同じく、1977年(翌年1978年にはA Taste Of Honey"Boogie Oogie Oogie"の大ヒットが控えています)にプロデュースしたThe Rance Allen Groupのアルバム、『Say Me Friend』からのシングル・カット。両面とも最高ですが、特にB面"Peace of Mind"ではミゼル兄弟節(一言で言うなら「緩急をつけた16ビート」でしょうか)が炸裂。文句なしの名曲ですし、オリジナル7インチはめったにお目に掛かることが出来ませんので、ぜひこの機会に。
3
DONALD BYRD - LOVE HAS COME AROUND / I FEEL LIKE LOVING YOU TODAY
ロフト~ガラージ・クラシック、永遠のフロア・アンセムが嬉しい12"リイシュー!!
「フェイバリット・アルバム」を訊かれたらかなり悩むと思いますが、「フェイバリット・アーティスト」ということであれば、真っ先に名前が浮かぶのはこの人かもしれません。自分にとってDonald Byrdとはそれほどに特別な存在。会ったことも話したこともありませんが、まずどう考えても人柄が素晴らしいはずでは、と。駆け出しの頃のHerbie Hancockに、音楽ビジネスとの関わり方を指南したのも彼でしたし、人格者として知られているそのHerbie Hancockの、「Donald Byrdは生まれながらの教育者であり、常に若いミュージシャンを育てて励ましていた」という言葉に、受け手であるリスナーのことは元より、出し手である後進の演奏家たちにも深い愛情をもって接していたことを窺い知ることが出来ます。事実Donald Byrdは、ラトガース大、ニューヨーク大、ハワード大など様々な教育機関で教鞭をとっており、数多くのミュージシャンを育成したと言われています。その中でも特に有名なのが、ハワード大の教え子によって結成されたThe Blackbydsではないでしょうか。同じくトランペット奏者ながら、究極に自己中心的と言われたしゃがれ声の「あの人」とは、180度異なるタイプと言えるでしょう。彼が残した作品について書くならば、教え子たちによって結成された上述のバンドの名前の由来にもなっている、『Blackbyrd』(1973年)のことをスルーする訳にはいきません。MotownからMizell兄弟を登用して出来上がったこのアルバムが、結果としてBlue Note史上最大のヒット作となったからこそ、クロスオーヴァー、あるいはフュージョンと呼ばれる音楽の新しい潮流が生まれた、と言っても決して過言ではないはず。彼の音楽作品はもちろん、The Blackbyrdsをはじめとする後進世代の育成や、ジャズという音楽の変革など、Donald Byrdが残した功績はあまりにも大きいと思います。本盤は比較的肩の力が抜けた後期の作品ですが、発売された当時のDonald Byrdは、現在の自分と同じ年。奏でる音楽の若さに、ただただ舌を巻きながら聴いています。
4
PLEASURE / RUSTY BRYANT - JOYOUS / FIRE EATER
ブレイク・クラシックのファンクをリエディットするBreaks & Beats第7弾!!
今月も『Ultimate Breaks Beats(以下UBB)』関連盤をご紹介。英Breaks & BeatsからのUBB収録曲リエディット7インチの第7弾となる今回、意図的かどうか分かりませんがA面がFantasy音源、B面も同じくFantasy傘下だったPrestigeの音源という組み合わせに(現在は両方ともUniversalグループ)。A面は、実は3曲もUBB収録曲がある(もしかしたら最多かも)Pleasureの3rd.アルバムの表題曲でもある"Joyous"で、Rufus Thomas"The Breakdown (Part 2)"やDelegation"Oh Honey"あたりと一緒にUBBの23番、通称「ボックス・アフロ・ミキサー」に収録されています。The CrusadersのWayne Hendersonが立ち上げた、At-Home Productionsがプロデュースした本曲は、曲頭からいきなりサックス・ソロという珍しいフォーマットの曲で、思わず夏のドライヴで聴きたくなるかのような疾走感が肝。個人的には映画『House Party』サントラ盤に収録された、LL Cool J"To Da Break of Dawn"(1990年)ネタ、という印象が強いですが、実はこの曲、いわゆるドラム・ブレイクは入っていません。ちなみに本盤では、美味しいところだけがぎゅっと詰まったナイス・エディットとなっております。一方、Idris Muhammadがこれでもかと叩きまくるB面"Fire Eater"はUBB未収録ながら、Luv N'Haight初期のコンピレーション『Jazz Dance Classics Volume One』(1993年)や、DJ Shadow & Cut Chemistの『Brainfreeze』(1999年)にも収録されたクラシック・ブレイク。何か所かあるブレイクを実に上手く配置しなおしたエディットとなっております。
5
BABADU - WE’RE NOT TO BLAME / ALL I’VE GOT TO GIVE
Lemuriaと双璧をなすハワイアン・ソウル~A.O.R.最高峰Babadu世界初7"化!!
まだまだ終わる気配のない異常な酷暑に、正直ぐったり気味の毎日ではありますが、せめて音楽ぐらいは涼し気な気分になりたいもので、そんな気分にぴったりの、ハワイ産AORをご紹介。オアフ島出身のギタリスト兼ヴォーカリストBabaduが、1979年に残した唯一のアルバムから、最高の2曲がカップリングされて世界初の7インチ化に成功。プロデュースはKalapanaのオリジナル・メンバーでキーボディストのKirk Thompsonで、彼はまたハワイアン・レア・グルーヴ屈指の名盤として人気の高い、Lemuria『Lemuria』(1978年)にも参加しています。Kirkは初めてBabaduの歌声を聴いた時に「Mackey FearyとStevie Wonderの融合」と絶賛、急遽トップ・クラスのスタジオ・ミュージシャン達を集めてプロデュースしたそのアルバムが、知る人ぞ知る名アルバム『Babadu!』なのでした。B面はLemuriaのカヴァー"All I've Got to Give"で、夏の夜にとても似合う最高の一曲です。ここで浮遊感溢れるフルートを吹いているのは、同じくKalapana出身のMichael Pauloであり、彼は彼でサックス奏者として計7枚のアルバムを残していますが、デビュー作のリリース元はなんと日本のTrioだったりします。先月ここでご紹介したLuiと同様に、今の季節にピッタリな一枚と言えるでしょう。
Dr.Looper Chart
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