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Dr.Looper / 2018-11-29
1
L.T.D. - LOVE TO THE WORLD (KON'S BREAKDOWN MIX)
メロウ・ディスコ・大ヒット曲をKonがリミックス!!こちらは7"ヴァージョン.。
"DJ Koco Edit"が入った日本盤7インチに続きこんな7インチも登場。もしかしていま流行ってるの?それとも有名曲でサンプリングされた?と思い慌てて調べてみましたが、特にそのような楽曲のリリースは見つからなかった次第。先日レコ屋でKocoちゃんにばったり会った時に訊いてみたら「偶然です」とのこと。あ、そうでしたか。Konについて調べてみると、ボストン出身で1976年からレコード蒐集を開始、1991年以降はクラブDJとして活動、1996年にDJ Amir Abdullahと出会いKon & Amir名義で次々とミックス盤をリリース。2006年には独Rapster RecordsからMuro君と一緒に『The Kings Of Diggin』を出したり、2007年以降英BBEから出した『Off Track』シリーズが反響を呼び、Giles Petersonからは「Edit/Rework King」などと称賛されたり。という輝かしい経歴の持ち主。ちなみにKonは「King Of Nothing」の略なんだとか。そして彼は驚くことに、Stevie Wonder、Barry White、Michael Jackson、Cerrone、Slave、George Benson、Mizell兄弟らのレコーディング音源のオリジナル・マルチ・データを所有する(!!!)匿名グループの一員らしく、本盤もそれらをマテリアルとして作られたようです。少し前に「2チャン・ミックスからヴォーカルだけ(あるいはビートだけ)を抜き出してしまう」iZotope社製ソフトウェアRX7が一部で大きな話題となりましたが、まさかオリジナルのセッション・データを所有しているとは・・・恐れ入りました。まさに「ディガーの極み」という感じ。なんだか全然「King Of Nothing」ではない気もしてきましたが、今後Konがそれらをネタにどんなエディットをリリースしてくれるのか目が離せません。
2
JOAO DONATO E DONATINHO - LEI DO AMOR / QUEM E QUEM
「ブラジル版Tuxedo」と話題となった'17年作より人気曲2曲が国内妄想ジャケで登場!!
去年馴染みの神保町の中古レコード店で自分の知らない好みの曲がかかっていて、店主に「これ何ですか?」と訊いて出されたのが、この曲が収録されている『Sintetizamor』というアルバムのLPでした。「いくらですか?」と訊くと「いや、これは売り物じゃないんです」と頭をかく店主。自分はそのお店でソウルやジャズ系のレコードを買うことが多いのですが、よく考えたら店主はブラジル物やAORもお好きなようで、そんな彼にとっては好みの部類の音楽なんだな、と思いつつ、今考えると「レコード屋が売り物ではないレコードを店でかける」なんて、なかなか凄いことな気もします。その後別のレコード店で無事にLPを入手出来たので早速聴いてみたところ、とても新録とは思えない、良い意味で80'sなファンクネスが感じられました。わかり易く例えるなら、TuxedoやDam-Funkあたりが好きな人であればきっと気に入る感じなのではないでしょうか。ブラジルの巨匠João Donato(ドナート)が、彼の実子であるDonatinho(ドナチーニョ)と共に作った親子共作アルバムで、そういえばAzymuthのベーシストAlex Malheirosの娘、Sabrina Malheirosも素晴らしいアルバムを出していますから「最近ブラジルの2世ミュージシャンが元気だな」なんて思ったりも。本盤でヴォコーダーを操るのは息子のDonatinhoの方で、ずばりHerbie Hancockに捧げた"Surreal"という曲もアルバムに収録されていて、US盤はそちらがB面だったのですが、本盤では"Quem E Quem"という別の曲に差し替えられてます。7インチ盤蒐集家の方は、どちらもぜひ。
3
MIAMI - I CAN SEE THROUGH YOU
Showbiz & A.G."Soul Clap"ネタ、ブレイク・クラシックが初7"化!!
最近勢いに乗る英Dynamite Cutsから出た、『Ultimate Breaks Beats』関連盤をご紹介。B面"Chicken Yellow"はThe Blackbyrdsの"Rock Creek Park"やFoster Sylversの"Misdemeanor"などと共に、19番(通称「レコードプラネット」)に収録されていました。ネタの使用例としては、Neneh Cherryの"Buffalo Stance"(1988年)やKanye Westの"Good Night"(2011年)あたりが有名どころですが、自分にとっては何といっても、Showbiz & A.G.の"Soul Clap"で使われていた印象が強い曲でもあります。軋むハイハットの質感が最高のドラム・ブレイクがあります。そういえばかのRhymesterも、「なんもやる気しねぇ」という曲の未発表デモ・ヴァージョンで使っていましたっけ。ついでに個人的なことを書けば、"Party Freaks"は良く見かけるのに、"Chicken Yellow"(1975年)のオリジナル7インチ盤は意外と探し出すのが大変で、ついにはマイアミ方面へ短期留学に出かける友達に、買ってきてくれるよう拝みこんで頼んだりもしてみましたが結局見つからず(当たり前)、ようやく2016年1月に海外のレコード店のセット・リストで入手しました。それにしても。なんで「ひよこ」なのか?1970年代初頭のファンク曲のタイトルには動物がよく出てきますが、その起源はどうやらRufus Thomasらしく、曲中に動物の鳴き真似を織り込むのが得意だったようで、その曲のタイトルに動物の名前を冠していたようです。"Do the Funky Chicken"とか、"Bear Cat"とか。一方でPファンクのアーティストはとにかく犬が大好きで、何かにつけて曲名に"Dog"が出てきたりします。ホーンがひよこの鳴き声を想起させる本曲、以前もリプレスされましたが今回はDynamite Cutsからということでジャケ付き。ぜひ。
4
MARK IV - SIGNS OF A DYING LOVE
激レア・モダン・ソウル"Signs of a Dying Love"未発表ヴァージョン!!
Mark IVというのは同名のグループがいくつか存在してまして、Patrick Adamsのユニットとして1980年代後半にTuff Cityから数枚シングルを出していたMark IVや、前身のRhythm Makersから名前を変えて1950年代後半に活躍した、シカゴ出身の同名のコーラス・グループなんかも存在するのですが、こちらのMark IVは1970年代にニューヨークで活躍した、4人組のヴォーカル・グループです。彼らが1973年にMercuryに残したたった1枚のアルバムのプロデューサーは、あの"Impeach the President"でお馴染みのThe Honey Drippersを率いたRoy C.だったそうで。ところで、当時の大統領を糾弾する曲だから、という恐らく大人の事情でクレジットから外されたRoy C.という人は、そのとき名前が外されてさえいなければ、「世界で最も有名なドラム・ブレイクを残したアーティスト」として語り継がれたかもしれないのになあ、なんて考えたり。そのRoy C.が手がけたMark IVのアルバムは内容的にも素晴らしく、収録曲でシングル・カットもされた"Honey I Still Love You"は、当時の全米R&Bチャートにおいて13位のヒットを記録。が、その後はシングルを数枚遺したきりでフェードアウトしてしまったようなのですが、それらのシングルの中でも、特に"Take This Love"(1982年)の7インチ盤は、某レコード屋で買い取り価格が実に25万円というウルトラ・レア盤として知られています。そして今回は彼らが1977年にOTB Recordsに遺した最高のメロウ・ダンサー"Signs of a Dying Love"の未発表バージョン(いつの日にかオリジナル7インチを入手したいものです・・・)。BPM的にオリジナルよりも少しだけ遅めで、オリジナル・ヴァージョンよりもむしろこちらの方が好み、という意見も既にありそうな最高の一曲。こういうレコードは侮れません。在庫があるうちにぜひ。
5
BLACK MOON - HOW MANY EMCEE'S (MUST GET DISSED)
93年のデビュー作『Enta Da Stage』収録の特大クラシックがなんと7"化!
1990年代初頭、まだヒップホップのクルーが東京に30組ほどしか存在しなかった頃の話。当時ライブでCTI~KUDU系のアナログを2枚使いをしていたグループとして、真っ先に思い出されるのがEast Endで、次点は"Super Strut"を1枚使いしていたKrush Posseでしょうか。イシさん(DJ Krush)がMuro君のラップ中に音を抜き、すかさず曲頭に戻してタイミングよく出していたのは、たぶん1990年のクラブチッタ川崎での話。CTI~KUDU系の楽曲の多くが、オケとして音数がいい塩梅(多くもなく、少なくもなく)だったことや、Rudy Van Gelderのミックスの特徴として、ビートがしっかりと立っていたことなどもありますが、なんといっても当時の中古レコード相場的に盤自体が安かったことも大きかったはずで、CTI~KUDU系のほとんどのアルバムは300円以下で買えたことが挙げられます(当時はCDへの移行期でLPを手放す人が多かったので、市場に在庫がダブついていたのでしょう)。そうしたEast Endのセンスに触発された自分は、さっそくCTI~KUDU系のアルバムを集め出して、Grover Washington Jr.の『Feels So Good』というアルバムを入手。収録はたった5曲でしたが、その中でもBrothers Johnsonの片割れLouis Johnsonの弾くチョッパーのベースラインが、Kenneth 'Spider Webb' Riceの叩くドラムに絡みつくジャズ・ファンク・チューン、"Hydra"に特に惹かれたのでした(イントロのスネア単体の出音も良かったので実際にサンプリングもしました)。そしてその"Hydra"を2枚使いするためにもう1枚、いや実は予備として同じLPを3、4枚買い集めて、当時のRhymesterのライヴのレパートリーとして、"The God the Mad"をステージで演り始めたわけです。このルーティーンの息は長く、本曲ではなく敢えてオリジナルの"Hydra"2枚使いにこだわり、長きに渡ってそのスタイルで演り続けたのを記憶しています。そういえばかつて「オールナイト・フジ」に出演した時にも使いましたっけ。きっと渋すぎて当時は誰にも伝わらなかったでしょうけど。この曲を聴くと、そんなことを思い出します。
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