ECD : 失われたWANT LIST - 大竹かおる『ジェラシー・ゲーム』 [2015-06-24]

 2千円以上の中古レコードはそれなりの評価をされているからその値段なのであって、好き嫌いはあれど買って聴いても損はないのだと考えていた。それが今年に入ったあたりから千円以下のレコードばかり買っている。中でも80年代の日本のシティ・ポップは安くても良いものが多く、自ずと買値が安くなるということもある。また、少し前まで千円以下や百円コーナーで売ってたようなレコードが希少でもないのにいきなり高値になって もっと読む...

なかの綾 / はせはじむ : 白熱教室。 - 第三回 [2015-05-15]

はせ)さあ、ジャパレゲですよ!綾さん、好きでしょ。   綾)やった~!!!こう暖かくなってくると、やはり聞きたくなりますね。   はせ)はい、でもちょっとテイストが違うかもしれませんけど...
行ってみましょう。
今回取り上げるのはダンスホール以前、レゲエが「レガエ」と表記されていた頃から80年初頭まで、そんな時期の名曲を。
なので、80年代後半からの「コッチ側」の方々の演奏す もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.14 [2015-05-15]

皆さん、いかがお過ごしですか。華やかな曲やミュージック・ビデオが似合う季節ですね。 さて、私は映画やミュージック・ビデオに登場する「ティーン・エイジャーの部屋」が大好きです。ティーンが自分の部屋にお気に入りのバンドのポスターを貼り、古くはラジカセ、今ならパソコンやiPhoneから流れる曲にのってベッドの上で跳ね回ったり、ダンスしたり、エアギターしたりするシーンがひとつでもあればその映画や、ミュージ もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - 水橋春夫グループ『考える人』 [2015-04-01]

 CDの帯文にはこうある。 「48年の時を経て解き放たれる、元ジャックスの水橋春夫によるソロ・アルバム」  そう、水橋春夫はジャックスのギタリストだった。リード・ヴォーカルをとっている曲もあるし、作詞作曲を担当した曲もある。本作にも収録されている「時計をとめて」は水橋春夫の作詞作曲、そしてジャックスの代表曲のひとつでもある。  僕はこれまでジャックスについての文章は随分書いてきた。しかしその時僕の もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.13 [2015-01-17]

2014年のミュージック・ビデオのベストを各媒体が出す季節がやってきました。 ウェブでざっくりとさらってみると、メジャーどころのベストはやはりSiaの"Chandelier"、Iggy Azaleaと Charli XCX が映画『クルーレス』を完コピした"Fancy"、テイラー・スウィフト がテイラー・スウィフトと恋に落ちるとどんなことが起こるか端的に説明してみせた"Blank Space"、業 もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - いわさきゆうこ『マジカル リキュール』 [2015-01-17]

 この二、三年くらいの間に中古盤で買った和モノで一番多かったのが、70年代後半から80年代前半くらいまでに出たシティポップ系の女性シンガーのアルバムである。ざっと100枚くらいは買っていると思う。何故そういうことになったかというとまず単純な話とにかく母数が多いのである。ちょっと中古盤店のエサ箱を漁るだけで知らない女性シンガーのアルバムが腐るほど出てくる。  70年代後半から80年代前半当時の自分は もっと読む...

なかの綾 / はせはじむ : 白熱教室。 - 第二回 [2014-12-30]

はせ)さあ、二回目にしてすでにネタに詰まったというか、、、   綾)えぇ!詰まったんですか(笑)! 
最初連載のお話いただいたときにネタ続くかと懸念する私にこんなの朝飯前だよ、と豪語してたじゃないですか。   はせ)いや、色々あるんですが、ちょっとベタかなって。   綾)ベタ、とは?   はせ)例えば、モータウン・ビートやSavannah Band系の曲を特 もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.12 [2014-10-07]

ようやく秋めいてきましたが、皆さんお元気でしょうか。 私は悪い秋刀魚に当たって、九月を棒に振りました。食欲の秋だというのに…食べる力を取り戻すべく、現在活躍中のバンドで最もおいしそうな名前を持つ、The History of Apple Pie の発売になったばかりのニュー・アルバムからのシングル・カット"Jamais Vu"のMVから話を始めましょう。   Jamais もっと読む...

なかの綾 / はせはじむ : 白熱教室。 - 第一回 [2014-09-30]

はせ)さあ、綾さん始まりました!「白熱教室。」。
 どっかで聞いたことあるタイトルですね。   綾)はせケル・サンデル先生ですね。
 写真がなかなかいい味出してます(笑)。   はせ) お互い不本意ですね(笑)。
 合成の雑さが、我々本来の美しさを損なっておるように思いますが、、、
 それはそうとして、このコラムは「日本の曲」に焦点を当てて、毎回お題にそって抗議?厚誼?講義?を もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - YUKI OKAZAKI『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』 [2014-09-09]

 岡崎友紀が加藤和彦プロデュースの元、YUKI名義で80年にリリースしたアルバム(ワーナー・パイオニア / K-12003W)。11月にリリースされたこのアルバムではジャケットに岡崎友紀との漢字表記はないもののYUKI OKAZAKIとその名が明かされているが、6月に先行リリースされたシングル盤「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」にはYUKIとの表記しかない。最初は岡崎友紀であることを明かさず覆面シ もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.11 [2014-07-02]

YouTubeの新有料サービスからインディ・レーベルがはねられたことで、今後はYouTubeでインディ・バンドのミュージック・ビデオは見られなくなるかもしれません。まだどういった形でミュージック・ビデオがはねられるか、はっきりしたことは分からないのですが…今後はVimeoに期待をするしかないのでしょうか? とりあえず、行方を見守ることにしましょう。 さて、相変わらずインディ・バンドの もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - ブラウン・ライス『旅の終わりに』 [2014-06-10]

 ヒマがあればディスクガイド的な本をパラパラめくっている。そうしているうちに「これは」と思ったレコードのジャケットが記憶に刻みこまれる。レコ屋でレコードを漁る中で「お、このジャケ、どっかで見たな」とそのレコードをエサ箱に戻す手が止まるが、その時点ではもちろんそのジャケをどこで見たのか、どんな評価をされていたのかも思い出せるわけではない。試聴ができる店なら念のため試聴するが、できなければ自分のおぼろ もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.10 [2014-04-07]

春は卒業と入学のシーズン。いろんな分野から人が出たり、入ったりします。ミュージック・ビデオの世界も同じです。 写真で活躍している人がミュージック・ビデオの監督をしたり、ミュージック・ビデオの監督を足がかりにして映画の世界に羽ばたいたりします。 近年のミュージック・ビデオから転身組の監督の出世頭といえば、やはりスパイク・ジョーンズとミシェル・ゴンドリーということになるでしょうか。二人は映画監督になっ もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - ザ・タイガース『ヒューマン・ルネッサンス』 [2014-03-21]

 ついこの間のこと、 "DJの最中に「GSかけてくれたらずっと踊ってあげるのに」って言われてぶんなぐってやろうかと思った。"  というツイートを見かけた。このぶんなぐられそうになった客にとってGSは踊れる和モノの代名詞なのだろう。ぶんなぐるかわりにこのDJ氏は『ヒューマン・ルネッサンス』でもかけてやればよかったのに、と思う。GSの王者ザ・タイガースのアルバムだから文句も言えまい。そして踊れるものな もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.9 [2014-01-06]

明けましておめでとうございます。 今年もいい音楽と、そしてミュージック・ビデオと出合えますように。 といっても、この原稿を書いているのはまだ2013年の末で、私はダウンロードしたビヨンセの新譜に付いてきたMVを全部見られていません。全部で一時間以上あるんだもの…。 ネット上では各音楽マガジンの「ベスト・ミュージック・ビデオ2013」が出そろったところです。私がこの連載で取り上げたもの もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - 八代亜紀『MU-JO / 愛しすぎる女 / 残心 / 赤い街』 [2013-12-06]

 八代亜紀である。演歌である。  演歌といえば少し前に読んだ『創られた「日本の心」神話「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』(輪島裕介著)という本が面白かった。≪現在の意味での「演歌」が昭和四十年代にようやく成立した≫というのがこの本での著者の主張である。中でも≪『平凡パンチ』と「演歌」≫という頃で紹介される≪当時の若者文化における「エンカ」の位置付け≫の推察は興味深いものだった。しかしその当時十歳前後 もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.8 [2013-10-08]

 読書の秋。インディ・ロックの秋。色々と興味深い新譜が出ていますが、ブルックリンの三人娘、Au Revoir Simoneの復帰アルバム『Move in Spectrums』はもうお買い求めになったでしょうか? 私が日本版のライナーを書いているという事実は置いておいても、心から推せるアルバムです。彼女たちの音楽で夢見心地に秋をお過ごし下さい。  MVに関していうと、三人の佇まいがクールだった「So もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - 堺 正章『サウンド・ナウ!』 [2013-09-23]

 藤圭子の訃報を伝えるテレビ報道で、「新宿の女」「圭子の夢は夜ひらく」が大ヒットした1970年にはそれらのシングルだけでなく、収録したアルバムも当時としては異例の売り上げを記録したということを知って意外に思った。  1970年当時の歌謡界はまだまだシングル中心で、アルバムはシングル・ヒットの余波で熱心なファンが手に取ってくれればよいという程度のものでしかなかった。そもそも、シングルは出ていてもアル もっと読む...

山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.7 [2013-07-08]

「女子とニューヨーク」という本を出してしまうほどニューヨークの街が好きな私ですが、この街を舞台にしたMVの傑作は枚挙に暇がありません。パブリック・エネミーの「Fight The Power」、ビースティー・ボーイズの「An Open Letter to NYC」……もちろん忘れてはいけないマイケルの「Bad」。     今年もまた、そうした名作 もっと読む...

ECD : 失われたWANT LIST - 藍 美代子『わたしの四季』 [2013-06-17]

 このコラムでも繰り返し述べてきたように自分にとって和モノを掘るということは歌謡曲で模倣される洋楽の流行を追いかけることだった。もっとも、あくまでもDJプレイで使えるかどうかが主眼だったから、どうせ踊れないだろとスルーしてきたジャンルもある。そのひとつがフォークだ。  もちろん、自分にとってだけの話でも三上寛のように大きな存在のフォーク歌手はいるし、ちょっと前には日本のフォークが喫茶ロックのよう もっと読む...