山崎まどか : アイ・キャン・シー・ザ・ミュージック - Vol.14 [2015-05-15]
皆さん、いかがお過ごしですか。華やかな曲やミュージック・ビデオが似合う季節ですね。
さて、私は映画やミュージック・ビデオに登場する「ティーン・エイジャーの部屋」が大好きです。ティーンが自分の部屋にお気に入りのバンドのポスターを貼り、古くはラジカセ、今ならパソコンやiPhoneから流れる曲にのってベッドの上で跳ね回ったり、ダンスしたり、エアギターしたりするシーンがひとつでもあればその映画や、ミュージック・ビデオを愛することができるほど。そんな風にティーンが聞いているのだろうなあと思える曲やアーティストも大好き。今ならば、Charli XCXが、まさしくそんな存在なのではないでしょうか?
そのCharli XCXがYouTube音楽賞でお披露目した「Famous」のビデオは、ティーンの部屋が舞台。黄色い壁いっぱいにCharliのポスターやフライヤーを貼って、彼女の曲に合わせて踊る可愛いティーン・エイジャーの女の子。Charliの大ファンらしいけれど、彼女がCharliの曲を聞くのはCDでもなければ、ダウンロードした音源でもなく、YouTubeにアップされたミュージック・ビデオを通してのみ。だからWiFiの具合が悪いと、途端に音楽は途切れてしまう。女の子は曲に合わせて踊りながらも、ひっきりなしにショート・メッセージを打ち、自撮りした写真をSNSにあげています。典型的なSNS依存症のティーンです。やがて彼女は、SNS地獄に落とされることに…! YouTubeの番組を使って、こんな辛口なメッセージをポップに仕上げたビデオを発表するなんて、Charli XCXはやるなあと思います。
可愛いけれどちょっと危ない雰囲気のこのビデオを撮ったのは、コメディアンとしても知られる鬼才、エリック・ウェアハイム。2013年、いろんな媒体のベストMVに選出されたBeach Houseの「Wishes」のビデオも彼の作品です。
Charli XCXのポスターやフライヤーならまだ可愛いけれど、これがジャスティン・ビーバーだったらどうでしょう。ニューヨークのアンチ・フォーク・シーンで注目されているFrankie Cosmosの「Art School」で、ちょっと気だるげなへなちょこソングにのって彼女が踊っているのは、ジャスティンのポスターや切り抜きでいっぱいの部屋。
「アート・スクールにいけばワイルドになれる/本当の学校はハイになりたいって思わせるものなの/でも高校はクレイジーな気持ちにさせるだけ/高校は悲しくなるだけ」
『ゴースト・ワールド』を思わせるようなそんな歌詞の曲で、ジャスティン枕に顔を埋めるフランキー。何となく物悲しくて滑稽です。ちなみにフランキー、俳優のケヴィン・クラインとフィービー・ケイツ(リッジモント・ハイ!)の娘さんでもあります。お母さんのように赤いビキニは着そうにないけど、ちょっと気になる、クセになる感じのシンガーです。
ミュージック・ビデオに出てくる女の子の部屋といったら、Vivian Girlsの「Take It As It Comes」を忘れるわけにはいきません。ベッドに寝転がって電話で友人に恋の相談なんて、最高のシチュエーション。映画『ボーイズ・ドント・クライ』やラモーンズのポスター、ローラー・スケートなど、部屋のディテールも可愛いければ、Shangri-lasっぽい、語りの入った曲も最高です。
【関連商品】
CHARLI XCX - SUCKER
全米大ヒット・シングル"Boom Clap"含むセカンド・アルバム!!
BEACH HOUSE - BLOOM
名作『Teen Dream』に続く2012年作4th.アルバム!!
VIVIAN GIRLS - SHARE THE JOY
説明不要のUSジャングリー・ガールズ最高峰バンド。サード・アルバム登場です!!