The Wisely Brothers : post in shimokitazawa - vol.4 [2016-05-13]
暖かくなった、あとは夏が来るだけ。と思いきやたまに寒い夜がくる季節にデートにでかけた。
そのデートに目的はなく、季節が過ぎてゆく下北沢を自分以外の誰かと歩きたかっただけなのかもしれない。
あのタスマニア島の王子は元気にしているかなぁ。
なんて
わりと遅めのエイプリルフールでした。
連載も第4回目にさしかかったところで
下北沢で一人暮らしをスタート。周りのものの見方が色々と変わる出来事なんですね。
まさか自分がお皿を好きだなんて知らなかった。ちゃぶ台を求めて古物屋「ばら商店」を頻繁にチェックすることも多くなった。
高校生のときからよく三人でご褒美のときに食べに行くクレープ屋さん「アンドレア」に、ある日一人でクレープお持ち帰りをしたことは二人には内緒です。
おそるべし一人暮らし!
たまに寄る古着屋「FILM」でとても着てみたいワンピースを見つけたんだ。
新しい季節のお気に入りに。もうすこし、売れないままにそこにいてほしい。
ブラウンがかったスモーキーのフランスのお皿も気になっていて、眺めているだけで楽しくおもう。
かわいいヴィンテージよ、下北沢まできてくれてありがとう。
FILMから茶沢通りを奥にと進んでいく。
代沢せせらぎ緑道は今年の春も桜がざわざわと咲きほこって、
散ったあとも新芽の緑がまぶしいくらいにそこにおります。
ワイズリーブラザーズは、冬が明けたまだ少し寒い時期からこの緑道で会議をはじめる。森のリスたちのように。
通りすがりの犬や鳥、有名人に気を取られながらも、三人でいろいろと話すのが楽しいんだよ。
だいたいアイスかパンを片手に!
早朝や深夜にこの緑道をランニングしていた時期がある。
目黒川まで続くこのせせらぎ緑道は、広すぎず長すぎず緑豊かなので、走っていてとても気持ちが良い。水の流れている街はなんだか好きだな。
かつてこの緑道沿岸には、近代日本文学を担う多くの作家・詩人・歌人が近辺に住んでいて普段着で散歩をしたり歌を詠んだりしていたようです。「北沢文学の小路」とも呼ばれるみたい。
ぴったりだ。(前回の記事参照)
そんな緑道が桜満開だったタイミングに、高校三年生の時に訪れたストックホルムで出会ったスウェーデン人のイラストレーターが初めて日本にやってきたので、私たちは下北沢南口で待ち合わせをした。
鶏の唐揚げ定食をフライドチキンランチと訳してしまったけれどそれってなんか違う気がする‥と心配しつつもジャパニーズスタイルランチが食べられる「山角」でお昼ごはんを食べて、「ヴィレッジヴァンガード」でお土産を買い、話しながら一緒に下北沢を歩いているとき私は猛烈にもう一度ストックホルムに行きたくなってしまった。
あの街には円形の大きな図書館と、すこしやる気がない表情が愛らしい動物たちがいる世界最古の野外博物館、そしてそこら中に公園があって暖かくなったらみんながそこへ寝そべっていて、適度に気をぬくことのできる街だった。
お気に入りの郵便博物館に寄ってから、カモメの鳴く夕暮れ時に海辺で足をぶらぶらさせながらまたパンをもぐもぐ食べたいって思った。
そうか、私が過ごしたいもうひとつの街はストックホルムなんだ。
様々な街があるなかで、人は自分らしくいれる場所を探しているような気がする。
いつかは分からないけれど、あの街にもう一度行くときがきっとくる。
思えばストックホルムに行くきっかけになったのも下北沢から歩いていけるところにあった小さなカフェ「LITEN BUTIKEN」だった。現在は下高井戸に移転しているけれど、私にとってとても大切なお店。
つまり
街は街をつないでいくもの?
はやいものでThe Wisely Brothersの下北沢紹介、今回で最終回。
読んでいただきありがとうございました。
はじめてのコラム。何を書こうか悩んだりしたけれど、自分が普段見ている下北沢を改めて歩くことができて楽しかったです。
お休みの日は「かいそ」でパンを買って右手に下げた黄色いビニール袋から香るパンのにおいを楽しみつつ、代沢郵便局で誰かに手紙を書くための切手を買いたす。ノートをちぎって即席ハガキ、さて その時おもった何かをポストに放り込む。
そんなことをしたくなる下北沢が私は好き。
三年前くらいに、
できたての新曲のことを考えながら下北沢の街を歩いていた。
今までよりもずっと これが今の私なんじゃ、と意気込んでいた。
西口のあたりでふと上を向いたところに、ある三文字が浮かんでいるのが目に入る。
「とびら」
とびらとはとびら、カーテンとはカーテンである。
私はその新しい曲の名前をトビラにしようと決めた。
それからというものの、その曲名に使ってしまった看板のタイ料理屋「とびら」には行ったことがなかったんだ。
あの時からも下北沢はいろいろと変わっていて、私はそれを日々見ている。だけど、どんな下北沢も自分の思い出とともにあって友人の一人のように寄り添っている。
ふとそんなことを思いだした数日前、初めてとびらのドアをひらいてビール一杯と食べてみたかったエビトーストを注文する。店員さんに話しかけられてちょっと嬉しかった。
自分がこの街をどう楽しむのか、
私はそれをなんとなく知っている気がした。
アデュー!