UG Noodle : Japanese Pop - [2020-12-18]
[Profile]
大阪在住時にはハードコアパンク・バンドshe luv Itでギターを担当、神戸移住後にはSumahama?や林拓と波のメンバーとしても活動し、tofubeatsの『POSITIVE』にもギタリストとして参加しているマルチプレイヤー/シンガーソングライター。
1. Pizzicato One / 前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン (Universal Music) CD
人前で自作曲を歌うことの気恥ずかしさのようなものがひしひしと感じられる。しかしその気恥ずかしさこそが、スタンダード・ナンバーに挑み続ける作者の「パーソナリティ」であったのだろう。個人的なことをさらけ出すことほど恐ろしく、また意義深いことはない。この記録からはそうした気恥ずかしさを暖かく包み込むような友情も聞こえてくる。この録音はソングライターたる作者にとって、締切のない宿題のようなものだったのかもしれない。『11のとても悲しい歌』アナログ盤のリイシューを期待しています。
PIZZICATO ONE - 前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン
2019年10月、ビルボードライブに於ける実況録音。
2. Haim / Women In Music Pt. III (Columbia) 2LP
Lou ReedからA Tribe Called Questに渡ったリフを、いま最も正しいやり方で継承したのがHaimの"Summer Girl"だ。かの女らは他者の意匠をたんに「領有」するのではなく「消化/昇華」するという全うなプロセスを通じて(あの欺瞞と虚飾にまみれた)ロックンロールを、ヒップホップ時代のオルタナティヴとして蘇生した。この作品から聴こえてくる様々な音楽は世界のどこかで名もなき誰かが生み出したものであり、この「女性たち」が住まう場所そのものでもあるのだ。強調するまでもなく「ガールズ・ロック」ではない。
HAIM - WOMEN IN MUSIC PT. III
大ヒット作『Something to Tell You』以来となる待望のアルバム!!
3. 072×Ymat / World Is All Fiction (裏面(スパイス feat.Pciii) : Loud-Cut Edition) (Ieill Rec.) 7”
加古川に拠点を置くMC・トラックメイカーの7インチ作品。声やフロウ、ビートの個性といったスケールで測ってもその才能は明らかだが、二人の人間的な信頼関係そのものがそのままレコードに化けたかのような、作品のテクスチュアそれ自体が何よりも雄弁にかれ・かの女の霊感に満ちた青白い情熱を物語る。アンダーグラウンド的な実験性を標榜しつつもオーセンティックなグルーヴに軸足を置くRAWなバランス感覚からは、いまの加古川・神戸・淡路のローカリティが聴こえてくるはず。
072×YMAT - WORLD IS ALL FICTION (裏面(スパイス FEAT.PCIII ) : LOUD-CUT EDITION)
北海道~加古川、活動20周年を記念した7"シングルがリリース!!
4. Bisca / It's A Romance (It's A Romance Production) 7”
タイトルと同名の新興ラヴァーズ・ロック専門レーベルによる第一弾作品。昨今のシティポップ・リヴァイヴァルを問い直し、大阪に深く根を張るレゲエのコミュニティに落とし込むという意義深い仕事。さわやかな甘さに満ち溢れたしなやかなリディムに瑞々しい日本語の歌声が映える。ダブ・リミックスも最高に気持ちがいい。レーベル自体はそもそもラヴァーズ・ロックの歌詞研究会として発足したようである。音楽に対する真摯な愛情を感じさせるのはその由縁か。
BISCA - IT'S A ROMANCE
夜空の星に想いをはせる甘く儚いラヴァーズ・ロック・レゲエ激最高曲!!
5. Isayahh Wuddha / Urban Brew (Wotnot Music) LP
此岸と彼岸の狭間で、この国とあの国の狭間で、茫漠と怪しげなダンスを踊るその男の頭の中で、何かが光ったその瞬間、すべては終わっている - それがイサヤー・ウッダの音楽だ。完成から一年を置かずしてイギリスでフィジカル化され、瞬く間に世の好事家を巻き込んでいったこの珍奇なファンクの本質とはそのような、目をみはる瞬発力そのものである。12月16日に発売される2ndアルバム、翌1月に発売される7インチシングルもきっと2021年のフェイヴァリットになるだろう。
ISAYAHH WUDDHA - URBAN BREW
ソフト・サイケ・メロウネスを極めるロウファイ・インディ・ファンク&ソウル激烈最高作!!
6. Run The Jewels / RTJ4 (BMG) 2LP
PharrellとZack de la Rochaをフィーチャーした"JU$T"は、立身出世主義に突き動かされるがままに学問を修め(Master)インスタグラムを使いこなす(Master)ことがいかにドル札の真ん中でポーズを取る「奴隷主(Slave Masters)」の支配力を温存させているか、という構造的人種差別の問題を鮮やかに告発した、本年のアメリカ音楽とその社会を象徴する一曲。コロナ禍で遊びに出る機会が減ったが、クラブに行けば誰かが(その一人はDJ Cronosfaderだが)必ずこのアルバムをかけていたという意味でも印象に残っている。
RUN THE JEWELS - RTJ4 (NEON TRANSLUCENT MAGENTA VINYL)
Greg NiceとDJ Premier参加の先行曲"Ooh La La"も評判の新作『RTJ4』が2LPで登場。
7. Yuksta-Ill / Banned From Flag EP2 (Rcslum) CD
この作品を聴いていなくても状況は変わらないが、状況への向き合い方は、となるとすこし違っていたはずだ。新しい生活様式の構築とは単に「良いこと」と「悪いこと」を分別して互いに警察し合う作業ではない。この作品は過度の相互監視が生む、ウイルスの症状とは別種の「息苦しさ("I can't breathe!")」に対するまごうことなき「新薬」であり、生活のために必要なあらゆる人的活動への力強い肯定だ。
YUKSTA-ILL - BANNED FROM FLAG EP2
既に忘れられない年となった2020年。混沌とした世界に向けてNYC経由RCS産の新薬を投与。
8. Brad Stank / Kinky Om (Heist Or Hit) LP
だらしのないおじさんの音楽が昔から好きで、正直困る。同じ趣味のおじさん仲間を除けばだれからも喜ばれない。このBrad Stankは前作をATOSONEさんから教えてもらって以来フェイヴァリットに入れているリヴァプールのおじさんだ。そういえば高橋源一郎さんがラジオで「今の世の中に足りないのはよく分からないが魅力的なおじさんだ」と言っていた。同じような話をCE$さんともした。わたしたちは子供の頃、得体の知れないおじさんたちにそそのかされてこうなっ(てしまっ)たのだ。全部おじさんが悪い。
BRAD STANK - KINKY OM
エキゾ化したPuma Blue??本当そんな感じのインディ・ジャジー・ポップ激最高作!!
9. Marker Starling / High January (Tin Angel) LP
映画音楽も手がけるカナダ在住のシンガー・ソングライターによる無国籍AOR作品。わたしの崇拝するThe High LlamasのSean O’Haganがプロデュースを手がけ、StereolabのLaetitia Sadier、Andy Ramsay、Nicholas Krgovichが参加している。抑制されたリズムとボーカルにトリッキーなコード進行が映える。地味な作品であることは否めないが、時に夢から醒めるかの如く、はっとする瞬間がある。なんでもないときに、コーヒーを淹れて呆ける時間に聴く音楽として長く付き合える作品か。「家具の音楽」としてのソング・ブック。
MARKER STARLING - HIGH JANUARY
2018年作『Trust An Amateur』に続く2020年アルバム!!
10. Pink Siifu & Fly Anakin / FlySiifu’s (Lex) LP
そもそもヒップホップの動向に疎いのだけれども、Fly Anakinに関しては、2018年に出たBig Kahuna OGとの『Holly Water』以来、継続して作品を追い続けている。今年はデモ音源をまとめた『The 8's (2015-2018)』とソロ名義による新譜『At The End Of The Day.』の二作を発表しており、いずれも優れたローファイ・ドリーミー・ヒップホップ作品であったが、ようやくフィジカルで手に入る新作が出て嬉しい。リッチモンド界隈のヒップホップとして、あるがままに売れまくってほしい。
PINK SIIFU & FLY ANAKIN - FLYSIIFU'S
Pink SiifuとFly Anakin周辺の才能溢れる音楽コミュニティをそのまま形にしたような作品。
[イベント情報]
12/20(Sun) 「METHOD MOTEL in Kobe - SAND CASTLE - day 2」 @神戸 旧グッゲンハイム邸
w/ Isayahh Wuddha / DJ Holiday / Gringoose / Theodore Linus / DJ Highschool
[関連サイト]
https://ugnoodle.tumblr.com
[関連商品]
UG NOODLE - 夢の恋人
スウィートでトロピカルなエキゾチック・レゲエ・ヴォーカル激最高曲!!
UG NOODLE - ポリュフェモス
優しくまどろむ甘口トロピカル・サイケデリック・シンガー・ソングライター!!
UG NOODLE - ポリュフェモス
非凡な才能、UG Noodleの2nd.アルバムがRCSLUMからリリース!!
TOFUBEATS - POSITIVE
約1年ぶりとなるメジャー・セカンド・アルバムが完成!!