直枝政広 (カーネーション/Soggy Cheerios) : Japanese Pop - [2020-12-18]
[Profile]
1959年生まれ。1983年カーネーション結成。1984年に 直枝政太郎名義でオムニバス『陽気な若き博物館員たち』（水族館/徳間ジャパン）でソロデビュー。同年、カーネーションがシングル「夜の煙突」（ナゴムレコード）でレコードデビュー。 以後、カーネーションは数度のメンバーチェンジを経ながら数多くの傑作アルバムをリリース。2000年には直枝政広としての初ソロ・アルバム『HOPKINS CREEK』を発表。同時に鈴井貴之初監督作品『man-hole』のサウンドトラックも手がける。2007年に初の著作となる『宇宙の柳、たましいの下着』を上梓。カーネーションや、鈴木惣一朗とのユニット：Soggy Cheeriosの活動と並行し、ソロ活動や執筆、プロデュース等、精力的に活動中。2020年は活動自粛中に自宅録音した音源をBandcampで毎月配信中。
1. Adrianne Lenker / Songs And Instrumentals (4AD) 2LP
Big Thiefのヴォーカリストがコロナ渦にマサチューセッツの山中にこもって作った2枚組。そんな作品があるということを知って＜やられた＞と思った。アナログ・テープ・レコーダーなどを山小屋に持ち込み、虫や鳥の声、レコーダーのスイッチを切る音もかまわず収録。透明感ある美しい弾き語り（最小限のダビングも含む）が文句なしに素晴らしい。オーディオ的にも優れており、アナログ盤はプレスも丁寧な素晴らしい仕上がり。Disc2の"Instrumentals"は制作時の素材を編集してつくられた長尺なアンビエント作品。音のミストを浴びて心の底からとろける。
ADRIANNE LENKER - SONGS AND INSTRUMENTALS
Big Thiefのリード・ヴォーカリスト/ギタリストによる5枚目のソロ・アルバム。
2. 山本精一 / Selfy (P-Vine) CD
精一さんの新作を買ったのは『カフェ・ブレイン』に続いて今年2枚目。本作は歌もののアルバムで、夢のような日常を支える演奏やアイデアが優しくも切れ味がいい。言葉と音を＜自録り＞し、宇宙を＜自撮り＞しながら考えて歩く鬼才の背中が浮かび上がる。曲もサウンドもロック音楽の最高峰。言うなればここ50年で最高の一枚。
山本精一 - SELFY
約5年ぶりとなる「うた」にフォーカスしたニュー・アルバム!!
3. Park Hye Jin / How Can I (Ninja Tune) 12"
韓国の女の子。音源は旅移動の中で打ち込んで仕上げたというが、そんなインスタントな発想と図太い態度が頼もしい。2020年のK-Houseはレヴェルのぶっこみ具合も過激で最高。
PARK HYE JIN - HOW CAN I
Peggy Gou、Yeajiに続いて大ブレイク必至の一枚!!
4. 田中ヤコブ / おさきにどうぞ (Newfolk/Mastard) CD
若くして音楽のツボを知っていることの末恐ろしさ。期待感しかない。おれが思うロックのDNAは彼に受け継がれている。止まる事を知らない創作意欲にも感服するし、ギタリストとしても同じステージに立ったが、耳がすこぶる良く、且つ豪腕である。未来は彼にまかせておけば大丈夫。
田中ヤコブ - おさきにどうぞ
『お湯の中のナイフ』から2年4カ月、遂にセカンド・アルバムが完成!!
5. Pizzicato One / 前夜 ピチカート・ワン・イン・パーソン (Universal Music) CD
まるでTim Hardinのよう。詩的な静寂がたまらなくいい。ぼくは「地球最後の日」の歌詞に心を強く揺さぶられた。話すように書くって画期的。でも、これこそが詩だなと。何か忘れていた大事な事を思い出したような気分に。すごい曲だ。小西くんには同世代の音楽家として大きな刺激を受けて来たけれど、随分と長い事お会いしていない。でもお元気そうで良かった。今、こうして自分で歌うことはとても素晴らしいと思った。
PIZZICATO ONE - 前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン
2019年10月、ビルボードライブに於ける実況録音。
6. Chicano Batman / Invisible People (Ato) LP
路地裏に巣食うR&B感をスペイシーに翻訳したような、前作のやさぐれ感が好きだったけれど、本作は結構オタクっぽい仕上がり。過剰なリミッターの深さは新しいのかどうなのか。でもだれもやらないスタイルで曲を作っている。Foxygenらと似た地下組織っぽい面白さ。
CHICANO BATMAN - INVISIBLE PEOPLE
『Freedom Is Free』から3年。さらにパワフルでスウィートな最高作完成!!
7. Dan Penn / Living On Mercy (Last Music Company) LP
いいものはいい。ライヴ盤などはあったが、26年ぶりのソロ新作。ソング・ライティングはいぶし銀で間違いない。こういうものは時代を超えて聴ける。
DAN PENN - LIVING ON MERCY
Dan Pennによる26年ぶりとなる新録スタジオ・アルバムがリリース!
8. O.S.T. / It's Okay to Not Be Okay（「サイコだけど大丈夫」） (Bugs music) CD
今年は韓国ドラマにハマりまくった年なのだが、その中でも特に音楽が好きだったのがこの『サイコだけど大丈夫』。IUみたいに歌がうまいHeize"You're Cold"、Elaine"Wake Up"など良い曲ばかりだが、60年代サイケを感じるコード感を持つ短いオープニング曲Janet Suhh"Sketch Book"が特に好き。たった15秒だけど、聴くたびにKeith Westの"Teenage Opera"を思い出す。
V.A. - IT'S OKAY TO NOT BE OKAY OST
TVN放送ドラマ『サイコだけど大丈夫』サントラ盤が2枚組CDでリリース!!
9. Hyukoh / Through Love (Genie Music) CD
6曲入りのEPだけど、このくらいのサイズ感もいい。バンドとして新しい音を持っている。ドリーミーに攻めつつ、アイデア負けしないシンプルな発想が信頼できる。あと、たまに出現するファズ・ギターが最高。後に発表された収録曲"Silverhair Express"のチャン・ギハのリミックスもとってもよかった。
HYUKOH - THROUGH LOVE
韓国オルタナティヴ・ロックを代表するHyukohの2020年6曲入りEP!!
10. Neil Young / Return to Greendale (Reprise) LP
スタジオ録音の本家『Greendale』は超高音質の名作だがそのライヴ盤も最高。来日公演の時のニールはとても充実していた。歌と気持ちにダイレクトに繋がった大らかでスリリングなギター・プレイを集中して追っていると、つい時間を忘れてしまう。現在ツアー中の身としてはこの爆音は栄養剤のようなものである。
NEIL YOUNG & CRAZY HORSE - RETURN TO GREENDALE
'03年の伝説的なツアーの模様を収録したこのライヴ・アルバム!
11. Bob Dylan / Rough and Rowdy Ways (Columbia) LP
最初にLPで聴いたけれど訳詞が欲しくなって国内盤CDも買った。夢とうつつの境界をボートでひたひたと彷徨うように気持ちのいいバックの演奏は、ロック音楽の様式から随分と遠く離れてしまった。あの60年代のアンサンブルを彷彿とさせる曲もあるが、もはやそのような無駄なサーヴィスは必要ないだろう。詩を書き散らし、その意味を一切語る事など無く、そしてだれのためでもない歌を聴かせてくれればぼくは満足だ。
BOB DYLAN - ROUGH AND ROWDY WAYS (180G)
通算39作目となる2020年最新スタジオ・アルバム!!
[イベント情報]
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[関連サイト]
https://www.carnation-web.com/
https://soggycheerios1959.tumblr.com/
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